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「夫の意識がないんです」帰宅した妻が発見…→救急隊が現場で気づいた“違和感”とは…?

  • 2026.7.21
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

「帰宅したら、夫が倒れていて反応がないんです」

妻からの通報を受けた時点では、脳卒中や心臓の病気など、命に関わる状態も考えなければなりません。

現場へ向かう救急隊にも緊張が走ります。

しかし、男性の様子や室内の状況を確認していくと、通報内容だけでは分からなかった“ある可能性”が浮かび上がってきました。

今回は、帰宅した妻が、呼びかけに反応しない40代の夫を発見した事案をご紹介します。

帰宅した妻が見つけた反応のない夫

現場に到着すると、妻が不安そうな表情で救急隊を迎えました。

男性は室内で横になっており、目を閉じたまま動きません。
妻によると、仕事から帰宅すると夫が床に横たわっていたとのこと。

何度名前を呼んでも返事がなく、体を揺すっても目を覚まさなかったため、怖くなって救急車を呼んだそうです。

救急隊が声をかけても、男性からは、すぐにははっきりとした反応がありませんでした。

呼吸や脈拍は確認できたものの、なぜ意識が低下しているのかは分かりません。

意識障害には、脳卒中や低血糖、薬の影響、頭部のけがなど、さまざまな原因があります。

救急隊は、まず命に関わる異変がないか、全身状態を慎重に確認していきました。

室内に転がっていた数本の缶

男性に近づいて呼びかけた際、救急隊は強い酒のにおいに気づきました。

周囲を見ると、男性の近くには空になったビールの缶が2〜3本転がっています。

救急隊が飲酒量について尋ねると、妻は「缶が2〜3本あるので、そのくらいだと思います」と答えました。

ただし、妻は帰宅したばかりで、男性が飲んでいるところを実際に見たわけではありません。

缶を片づけていた可能性や、別の場所にも空き缶があることも考えられます。

男性から漂う強いにおいや反応の鈍さを見ると、目に見えている缶の本数だけでは説明しきれない印象がありました。

救急隊が男性に刺激を加えると、目を開けて体を動かす反応が見られます。

完全に意識を失っているというより、強い刺激で一時的に覚醒する状態でした。

そこで、救急隊は強い飲酒によって意識が低下している可能性も考えました。

「酔っているだけ」とは判断できない

男性の状態には、飲酒が大きく関係しているように見えました。

しかし、酒のにおいがするからといって、「酔って眠っているだけ」と決めつけることはできません。

飲酒後に転倒して頭を打っている可能性もあります。
脳卒中や低血糖などが起きていても、酔っているように見えることがあるためです。

救急隊は、手足に動かしにくさがないか、顔に左右差がないか、体にけががないかなどを確認しました。

さらに血圧や脈拍、血液中の酸素の値を測り、妻には最後に夫と連絡を取った時刻や、普段の飲酒量についても聞き取ります。

妻は帰宅するまで夫の様子を見ていなかったため、いつからこの状態だったのかも分かりませんでした。

飲酒による意識低下の可能性を考えながらも、ほかの病気やけがを見落とさないよう観察を続け、男性は大事を取って医療機関へ搬送されました。

搬送先では急性アルコール中毒と診断され、その後、男性の意識は回復しています。

現場にある情報だけで決めつけない

今回、妻が答えた「2〜3本」という飲酒量は、室内に転がっていた缶を見て推測したものでした。

家族であっても、留守中に本人がどれだけ飲んでいたのかを正確に把握するのは難しいものです。

突然、夫が呼びかけに反応しない状態で見つかれば、妻が強い不安を感じたのも無理はありません。

救急隊は、家族の説明だけでなく、本人の反応やにおい、室内の状況、全身状態を照らし合わせながら原因を考えます。

飲酒が関係しているように見えても、その陰に別の病気やけがが隠れていないかを確認することが欠かせません。

男性は搬送先の医療機関で急性アルコール中毒と診断され、その後は意識も回復しました。

結果的には飲酒が原因でしたが、目に見えている空き缶や酒のにおいだけで決めつけず、一つずつ状態を確認することの大切さを感じた事案でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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