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猛暑日の宅配員「オレのトラック、冷房全然効かないんです」真夏の配達の“知られざる裏側”と配達員の工夫

  • 2026.7.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さまこんにちは。元宅配員のmiakoです。

梅雨が明けたと思ったら、朝からいきなり気温が上がり、熱中症警戒アラートや光化学スモッグ注意報が発令される。そんな日が続く季節になりました。

近年は家の中にいても油断できないほどの暑さが続くこともあり、体調管理に気を配っている方も多いのではないでしょうか。

そんな時、家にいながら荷物が届く宅配サービスは、とても心強い存在です。

24時間いつでも注文でき、冷房の効いた部屋の中で完結する。
暑い中わざわざ外に出かけなくても手元に届く仕組みは、多くの方の生活を支えています。

しかしその裏側では、暑さに耐えながら走り続ける人たちがいます。
今回は、そんな宅配員たちが実践していた、知られざる暑さ対策についてお話ししたいと思います。

「エアコンが効かない」同僚の一言から見えた配送車の弱点

ある朝のことでした。
出発前の点呼の場で、同僚の宅配員がこう訴えました。

「店長、オレのトラック、冷房つけても熱風しか出なくて全然効かないんです。修理を頼んでるんですけど全然来ないので催促お願いします」

すると店長が聞き返しました。

「確認しておきます。ちなみにクール室は冷えてる?」
「クールは大丈夫です」

配送車には、冷蔵・冷凍の荷物を保管するための荷室が備わっています。
すべての車両ではありませんが、当時私や同僚が乗っていた一部の配送車では、運転席の冷房を強くかけすぎると構造上、クール室の温度管理に影響が出ることがありました。

「そもそもこの暑さで冷房を強くかけると、クール室の温度が上がっちゃうんですよね。自分も極力運転席の冷房は弱く使ってますよ」
「この時期はだいたいどのトラックもそうですよね」

点呼を待っていた他の宅配員たちも、この暑さによる運転席の状況に悩みがあることを口々に話していました。
荷物を守るための工夫が、結果として自分たちの体力を消耗させる一因になっているという現実を、あらためて感じた朝でした。

知人からの言葉で知った、現場の過酷さ

そんな同僚たちの話を聞いて、先日の出来事を思い出しました。

ある日の夜、プライベートの知人から声をかけられたときのことです。
知人は隣町の少し大きな病院で看護師をしていました。

「今日、うちの病院にあなたと同じ制服の男性が二人、立て続けに運び込まれてきたんです。こんな時期に外を走り回るお仕事をされていて、体調とか大丈夫ですか」

連日のように『熱中症による救急搬送』のニュースが報じられていますが、私たち宅配員にとってもそれは決して他人事ではありません。同業者の中には、配達中に体調を崩してしまうケースもあるという、身近にある危険な現実を常に意識させられます。

幸い早めの処置で入院せずに済んだそうですが、中には入院に至るケースや、氷水で急いで体温を下げる処置をしても体温調節機能がうまく働かず、症状が進んで最悪の事態に至るケースもあるという、身近にある危険な現実を教えてくれました。

同じ制服を着て、同じように外で働く私を心配して、声をかけてくれたのだと思います。

身近に潜む過酷さと、それぞれの自衛策

その日は確かに暑かったものの、当時私が乗っていたのは軽トラックだったので、車内が狭く冷房もそこそこ効いていたのと、いろいろな対策のおかげで身の危険を感じるまでには至りませんでした。

運び込まれたという宅配員たちは、おそらく軽トラックではない大きなトラックに乗っていたのだと思います。
私とは多少状況が異なるだけで、身近に潜む過酷な状況は同じである可能性を、あらためて感じた出来事でした。

しかし、同じ軽トラックに乗る夜間担当の同僚からは、また違った苦労を聞きました。
車種によってはバッテリーへの負荷を考慮し、あえて冷房を控えめにするなど、ドライバー自身で調整を余儀なくされるケースもありました。

夜であっても、昼間の熱がアスファルトに残って蒸し暑く、30度近い気温の中、冷房を自由に使えないのは、やはりつらいものがあるそうです。

宅配員たちの暑さ対策、その工夫の数々

そんな環境の中で、宅配員たちはそれぞれ、自分に合った熱中症対策を重ねていました。

水分補給の方法ひとつとっても、人によってさまざまです。
5リットルくらい入る大容量の水筒を持つ人もいれば、2リットルのペットボトルを何本もそのまま持参する人もいます。500mlのペットボトルを数本とマイボトルを組み合わせる人もいて、それぞれのやり方で水分を切らさないよう工夫していました。

首から下げる扇風機やハンディファンを使う人、ファン付きベストを着用する人もいます。
首や頭にタオルを巻いたり、汗拭きシートを常備したりする姿もよく見かけました。

暑いとつい薄着になりたくなりますが、実はインナーの選び方次第で対策の効果が変わってきます。長時間、直射日光にさらされると体感温度が上がり、体内に熱がこもりやすくなります。そのため、肌に直接触れるインナーには、汗の吸収と発散、体温上昇やムレを防ぐ役割が求められるのだそうです。

私自身も、夏の間は制服の下に冷感素材で吸湿性と速乾性の高い長袖インナーとスパッツを身に着けていました。
特にハイネックの長袖インナーは重宝しました。首回りや腕を日焼けから守りつつ、汗によるべたつきや衣類が肌に擦れるストレスも和らげてくれます。もちろん、その上から半袖の制服を着用していました。
ズボンの下にも冷感素材の滑らかなスパッツを履くことで、汗による肌への張りつきやズボンとの摩擦も減り、動きやすさが変わることも実感しました。

首回りのケアも欠かせません。
28度以下になると凍る冷却ネックリングを、毎日2本持って出勤し、1本を身に着け、もう1本は冷蔵保管庫に置いておくようにしました。
身に着けていた方が液状化したら交換する、という使い方をして、常に首周りの熱を下げるように心がけていました。
気温によっては1時間も経たずに液状化することもあり、こまめな交換が必要でした。

このほかにも、冷感素材の汗拭きシートや冷感スプレー、濡れタオルや冷却タオルで首元や肌を冷やす人もいます。
肌の表面温度を一時的に下げることで、脳へ送られる血液の温度も下がり、熱中症予防につながるといわれています。

こうした冷感グッズを使っていても、真夏はたくさん汗をかくため、脱水症状への注意も欠かせません。
水筒やペットボトルを持参し、途中で自販機やコンビニで買い足すなどして、水分を切らさないよう心がけていました。
私の場合、水筒の中身はミネラルウォーターが多く、スポーツドリンクや麦茶などをペットボトルで用意し、保冷庫の隅で冷やしながら補給することが多かったです。

夏の持ち物は冬に比べて増え、重くもなりますが、それはすべて自分自身と、お預かりしている荷物を守るためのものでした。
仕事の途中で自分が倒れてしまっては、お客様にも同僚にも迷惑をかけてしまいます。

自衛することもまた、仕事の一部だったのです。

営業所ぐるみのサポート体制

「こまめな水分補給を忘れずに。アイススラリーと塩飴もちゃんと持っていってくださいね」

点呼を終える時、店長が必ず声をかけてくれました。

私の所属していた営業所では、数年前から事務所の冷凍庫にアイススラリーを凍らせて用意し、塩飴や塩タブレットとあわせて、宅配員たちが自由に摂取できる環境を整えてくれていました。
配達の途中で少しでも体調に違和感があれば口にするようにと、各トラックの冷凍保管庫には最低1つ入れておくこともチェックされていました。

「家に帰ったら真っ先に水風呂に入らないと熱がこもって寝られない」と話していた先輩もいました。
家に帰ってからのクールダウンも、翌日の仕事に向けた大切なひとときです。

最近では置き配が増え、宅配員の顔を見る機会が減っているという方もいるかもしれません。
それでももし顔を合わせることがあれば、暑い中頑張っているその姿を、そっと応援していただけたら嬉しく思います。

もし少しでも顔色の悪い宅配員を見かけたら、声をかけて日陰で休むよう促していただくことも、大きな助けになります。
配達に追われるあまり、自分の異変に気づくのが遅れてしまう人もいるかもしれません。
ちょっとした声かけが、思わぬ形で誰かを守ることにつながることもあります。

夏の宅配便を支えているのは、荷物を運ぶ技術だけでなく、宅配員一人ひとりの体調管理でもあります。
今日もどこかで、酷暑に立ち向かいながら、荷物を待つお客様のもとへ向かう宅配員たちがいます。

これからも現場と技術の両方の力で、暑さの中でも安心して働ける環境と、安心して荷物を待てる日々が続いていくことを願っています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた"宅配のリアル"を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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