1. トップ
  2. 住まい
  3. SNSの「頭金は入れずに手元に残せ」を信じた30代夫→新築購入から5年後…転勤で発覚した“厳しい現実”

SNSの「頭金は入れずに手元に残せ」を信じた30代夫→新築購入から5年後…転勤で発覚した“厳しい現実”

  • 2026.8.25
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。「手元にお金を残したいから、頭金は入れない」という買い方は、SNSでもよく見かける考え方です。

手元資金に余裕が生まれる半面、見落としやすい代償もあります。今回は、物件価格の全額を借りて新築マンションを買い、転勤時に査定額がローン残高に届かなかった事例を紹介します。

SNSの「頭金は入れない」に沿った4,200万円の買い物

Cさん(30代後半・会社員)は、妻と子どもの3人家族です。2021年、郊外の駅からバスで10分の新築マンションを4,200万円で購入しました。

SNSで「頭金は入れずに手元に残せ」という考えを繰り返し目にしていたため、頭金なしでローンを組み、諸費用の一部も借入に上乗せしています。融資率(物件価格に対する借入額の割合)が9割を超える借り入れは、貸す側から見てもリスクの高い借り方です。

フラット35でも、融資率9割以下と9割超では金利が分けて設定されています。返済初期は利息の割合が大きく、元金はなかなか減りません。

査定3,700万円、残るローンは約4,000万円

2026年春、Cさんに転勤の内示が出ました。マンション価格の上昇が続くというニュースを見てきたCさんは、売却に強気でした。ところが査定は3,700万円前後で、ローン残高の約4,000万円を下回ります。

「都心の値上がりと同じにはいかないんです。駅から距離のあるこのエリアは、新築時の価格までは戻っていません」

不動産会社の担当者は、Cさんにそう説明しました。相場全体が上がっていても、新築時に上乗せされていた価値、いわゆる「新築プレミアム」は、中古になると剥がれてしまいます。

駅から距離のある物件であるため、相場の上昇分では、新築プレミアムがなくなったことによる価格の落差を埋めきれていなかったのです。残債を完済できなければ、金融機関が物件を担保に取る抵当権を外せません。

売却には、差額に仲介手数料などを加えた400万円超の現金が必要でした。手元に残したはずの資金は、入居時の家具・家電と教育費で目減りしています。

Cさんは借入先の銀行に転勤の事情を相談し、承認を得て自宅を貸し出すことにしました。貸し出した自宅の家賃は月13万円で、ローンの返済額とほぼ同じです。Cさんは妻子とともに赴任先の社宅へ移りました。社宅の家賃は大半が会社負担で、自己負担は月2万円ほどで済んでいます。

管理費と修繕積立金の分は持ち出しになるものの、家賃で残債を減らしながら、戻る時期に売却か再入居かを決めることにしています。

数年後の残債と中古価格を見比べてから選ぶ

マンション価格の上昇が続いているといっても、上がっているのは都心や駅の近くが中心です。郊外や駅から離れた物件では、Cさんのように売値がローン残高に届かない場合があります。

頭金を入れないと、借入額が大きいぶん元金の減りは遅くなります。ローン残高が売値を上回っている間は、差額を現金で用意しないと売れません。契約前に、5年後・10年後のローン残高がいくらになるかを、営業担当に試算してもらいましょう。

その金額を周辺の中古マンションの売り出し価格と見比べてみてください。残高のほうが高ければ、その差と諸費用が売るときに用意する現金の目安です。

参考:融資率とは(住宅金融支援機構【フラット35】)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ