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「蚊も増えたし、蜂の巣もできないか」隣が空き家になって5年、枝が敷地まで…30代夫婦が2週間後にとった行動

  • 2026.7.28
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「隣の家が、数年前から空き家なんです。夏になると庭の草木が伸び放題で、木の枝がうちの敷地まで入ってきていて。蚊も増えたし、蜂の巣もできないか心配で…。でも、よその家の木を勝手に切っていいのか分からなくて」

そう話すのは、5年前に郊外の住宅地に一戸建て(4LDK・延床約30坪/土地約42坪、約3,400万円)を買ったUさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

買ったときは隣にご高齢の方が住んでいましたが、数年前に空き家になりました。夏を迎えるたびに庭の草木は生い茂り、枝はUさんの敷地に越境。洗濯物に葉が触れ、蚊に悩まされるようになりました。

よその木の枝は、勝手に切ってはいけない

まず知っておきたいのは、隣の木の枝は、たとえ自分の敷地に入ってきていても、勝手に切ってはいけないのが原則だということです。

空き家も、その庭の草木も、持ち主の財産です。民法では、境界を越えてきた枝は「木の所有者に切除させる」のが原則で、断りなく切るとトラブルのもとになります。

ただ、2023年4月の民法改正で、ルールが少し変わりました。(1)持ち主に枝を切るよう頼んだ(催告した)のに、相当の期間(目安として2週間程度)たっても切られない、(2)持ち主が誰か、どこにいるか分からない、(3)台風で枝が折れかかっているなど急迫の事情がある。このいずれかにあてはまれば、越境された側が自分で枝を切れるようになったのです。

かかった費用も、基本的には持ち主に請求できると考えられています。ただし、実際に支払ってもらえるかは別の問題です。持ち主が分からなければ請求のしようがなく、応じない相手に支払いを求めるには裁判などの手間もかかるため、費用は自己負担になる場合もあると考えておくのが現実的です。なお、境界を越えてきた「根」は、以前から自分で切ることができます。

空き家問題は、どこの住宅地でも起こりうる

見落とされがちなのが、空き家がもはや特別な話ではないことです。

総務省統計局の調査では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%と、いずれも過去最多・過去最高です。この30年間で約2倍に増えました。買ったときは住んでいた隣家が、住み手の高齢化や相続を経て空き家になることは、どこの住宅地でも起こりえます。

そして夏は、草木がもっとも伸びる季節です。手入れされない庭は数か月で茂り、蚊の住みかになり、蜂が巣を作ることもあります。管理されない空き家に対しては、法律(空家等対策特別措置法)に基づいて市区町村が持ち主に指導などを行う仕組みもあり、多くの自治体に空き家の相談窓口があります。

Uさん夫婦はどう対応したのか

そこでUさん夫婦は、手順を踏むことにしました。まず、法務局で登記事項証明書を取り(土地や建物の持ち主が記録された書類で、数百円で誰でも取得できます)、空き家の持ち主の住所を確認。内容証明郵便で、越境している枝の剪定をお願いしました。あわせて、越境のようすを写真に撮り、記録を残しました。

2週間ほど待っても対応がなかったため、改正された民法のルールにそって、敷地に入ってきた枝だけを自分たちで切りました。幸い手の届く範囲だったので、かかったのは道具代くらいで、費用の請求はしませんでした。切ってよいのは越境した部分だけで、切りすぎはトラブルのもと。迷ったら、自治体の無料法律相談などで手順を確かめると安心です。

あわせて、市の空き家相談窓口にも連絡しました。空き家の場合、自治体から持ち主に連絡を取ってくれることもあります。

「勝手に切ってはだめ、でも手順を踏めば切れる。ルールを知って、気持ちがずいぶん楽になりました」とUさんは振り返ります。

隣が空き家になったら「手順」を思い出して

空き家は持ち主の財産であり、こちらから勝手に手を出すことはできません。一方で、困ったときの手順は、きちんと用意されています。隣の空き家に悩んだら、以下の順で動いてみてください。

・越境や被害のようすを、日付のわかる写真で記録する
・登記事項証明書などで持ち主を調べ、まず内容証明郵便などの記録が残る方法でお願い(催告)する
・市区町村の空き家相談窓口や、無料法律相談を利用する
・その上で、相当の期間を待っても対応がなければ、越境部分に限って自分で切ることを検討する

感情的にならず、記録とお願いから始める手順を知っていれば、隣が空き家になっても落ち着いて対処できます。

参考:
令和5年住宅・土地統計調査(総務省統計局)
越境した枝の切取りルールの改正について(横浜市)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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