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「まるい目に一目惚れ」27歳で選んだ初代コペン、職場で見知らぬ男性に「売ってくれませんか」

  • 2026.7.21
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

かわいい車に乗りたい。車に詳しくないAさん(37歳・女性)が、結婚1年目の当時に見た目だけで選んだのは初代ダイハツ・コペンでした。しかし実はその車、車好きから熱い視線を集めるマニア垂涎の一台だったそうです。

職場で売ってほしいと頼まれたり、オープンカーなのに一度も屋根を開けなかったりと、意外なエピソードが尽きません。子どもが生まれて手放すまでの、ご夫婦の人生のステージに寄り添った愛車のお話を伺いました。

まるい目に一目惚れ。限定モデルのシリアルナンバーに惹かれた27歳の決断

Aさんが結婚して1年が経った27歳の頃、ご夫婦は2人暮らしの生活を送っていました。当時は実用性だけで車を選ぶというよりも、少し背伸びをしてでも自分たちらしい車に乗りたいという思いがあり、お二人で車探しを始めたそうです。

車にそれほど詳しくなかったAさんが惹かれたのは、現行型のスポーティなデザインではなく、初代コペンのコロンとしたまるいヘッドライトでした。そこで、車に詳しい旦那様のアドバイスを受けながら、中古車店をいくつか回ることにしたといいます。

いくつか店舗を巡る中で出会ったのが、発売から10周年を記念したアニバーサリーモデルでした。内装を確認しようとドアを開けた瞬間、運転席の足元にあるスカッフプレートに刻まれたシリアルナンバーが目に飛び込んできたそうです。限定という言葉に弱かったご夫婦にとって、その数字は自分たちだけの一台を手に入れたような特別感を与えてくれました。このシリアルナンバーが最後のひと押しとなり、購入を決意した当時の高揚感を、Aさんは嬉しそうにお話ししてくれました。

街乗りで大活躍。でも旅行では前日から荷物のサイズ確認が必要

購入したコペンは、ご夫婦の日常生活ですぐに活躍し始めました。休日にカフェを巡ったり、都市部へ買い物をしに行ったりする際には、そのコンパクトなボディがとても便利だったそうです。

車体が小さく車幅も狭いため、狭いコインパーキングでも気にすることなく楽に駐車できたと教えてくれました。さらに、背の高い車は断られがちな機械式駐車場でも、低い車高のおかげでスムーズに入庫できたといいます。小さな車は不便だと思われがちですが、都市部の入り組んだ道や限られた駐車スペースでは、むしろその小ささが強力な武器になるようです。

一方で、収納スペースが限られているため、旅行の際には少し工夫が必要だったとのことです。トランクにスーツケースを積む予定がある場合は、前日までにしっかりとサイズを測って入るかどうかを確認しなければなりませんでした。しかしAさんは不便さを嘆くどころか、それすらもコペンらしさであり、夫婦2人だからこそ成立した楽しい時間だったと温かく振り返ります。

職場で売ってほしいと頼まれるほどの熱い視線

Aさんにとってはかわいらしい愛車でしたが、乗り始めてみると、実は車好きの方々からも熱く愛される車だったことに気がついたそうです。コペン好きが集まるオフ会が開催されていることを知ったり、高速道路を走っているときに偶然十数台のコペンの列に遭遇したりと、驚きの連続だったと語ってくれました。

見ず知らずの車好きの方から話しかけられることも何度かあったといいます。中古で購入した時点でホイールやシートがカスタムされていたこともあり、駐車場などでそれらを褒められると、自分のセンスを肯定されたようでとても嬉しかったそうです。

そしてある日、職場の従業員駐車場に停めていたコペンを見た年配の男性が、わざわざ事務所まで訪ねてくるという出来事が起こりました。関係者以外が立ち入ることが少ない場所だったため、最初は何か苦情を言われるのではないかと身構えたとのことです。しかし用件は、なんと「その車を私に売ってくれませんか?」という懇願でした。

丁寧にお断りしたものの、少し驚きつつも、それほどまでに人の目を引く魅力的な車に乗っているのだと誇らしく感じたと、Aさんは当時を思い返していました。

オープンカーなのに屋根は開けない。夫婦それぞれの楽しみ方

コペンの最大の特徴といえば、電動で開閉できるオープントップです。しかし驚くことに、Aさんは購入してから手放すまでの間、ご自身では一度も屋根を開けなかったそうです。

目立つことへの恥ずかしさや、周囲の視線に対する少しの怖さがあり、オープンカーという機能そのものにはあまり興味が向かなかったと教えてくれました。せっかくのオープンカーなのにもったいないと思われるかもしれませんが、車の楽しみ方は人それぞれです。

その一方で、屋根が開く車に密かに憧れを抱いていた車好きな旦那様は、Aさんが乗っていない時に一人でこっそりと屋根を開けてオープンドライブを楽しんでいたそうです。すべての機能を使い切らなくても、夫婦それぞれに自分たちなりの楽しみ方があり、それがコペンとの豊かな時間を形作っていたのだと思います。

子どもが生まれて手放した小さな贅沢。人生のステージに寄り添う車選び

夫婦2人の大切な時間を彩ってきたコペンですが、子どもが生まれたことで転機が訪れます。最大の理由は、コペンがそもそも2人乗りの車であるということでした。

子どもが生まれて家族が3人になったため、当然ながら家族全員でドライブに出かけることはできません。助手席にチャイルドシートを載せるという選択肢もありますが、それでは夫婦のどちらかが乗れなくなってしまいます。加えて、日々の買い物での荷物の多さなどを考慮すると、これからの暮らしに合う車とは言えなくなってきたそうです。

そこで、今後の生活を見据えて、スライドドアの軽自動車へ乗り換える決断をしました。約140万円で購入したコペンは、約1年前に約70万円で売却できたといいます。年式と走行距離を考えれば良い取引だったと感じており、趣味性の高い車は、年数が経ってもある程度の価値が残るのかもしれないですねと、ご夫婦で頷き合ったエピソードも添えてくれました。

コペンを手放した理由は、決して不便な車だったからではありません。人生のステージが変わったことで、その時の暮らしに必要な車が自然と変わっていった結果です。長い人生の中で、自分のためだけに選んだ車に乗れた時間は、思っている以上に贅沢で尊いものでしたと語るAさん。

「次に車を乗り換えるときはどんな車を選ぶのでしょうか?」という問いに対するお話には、コペンへの深い愛情と、これからのカーライフへの静かな期待が込められていました。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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