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鉄道員の制服、ここ10年で何が変わった?現役鉄道会社員も唸った、西武鉄道の“夏の衣替え”

  • 2026.7.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役鉄道会社社員の福本明文です。

制帽を被り、ネクタイをピシッと締めた鉄道の乗務員や駅員の制服姿を見て、鉄道ファンならずとも、「格好いい」「凛々しい」と感じる方は少なくないでしょう。制服に腕を通すと、私たち鉄道員も自然と背筋が伸び、プロフェッショナルとしてのスイッチが入ります。

しかし、一見すると変わらない伝統的な姿に見える鉄道制服も、実は時代や社会のニーズに合わせて少しずつ、しかし確実に変化を遂げています。今回は、そんな鉄道制服の変化とその裏側に迫ります。

詰襟からブレザー、そしてスーツスタイルへ

昭和の時代、鉄道員の制服といえば旧国鉄時代に代表されるような学生服に近い詰襟が主流でした。その後、時代の移り変わりとともに親しみやすいブレザータイプへと移行し、ここ10年ほどで急速に増えたのがダークスーツのようなスタイルの制服です。

制帽を脱いでしまえば、一般的なビジネスパーソンと見分けがつかないほどスタイリッシュなデザインが採用されるようになりました。筆者自身も鉄道会社の社員として日々制服に袖を通していますが、自社の制服がダークスーツ調に変更された際、その洗練されたシルエットにとても気分が高揚したことを覚えています。

また筆者は、趣味で漫画やイラストのキャラクターをデザインする際、職業制服の細かな意匠や構造を観察するのが好きなのですが、近年の鉄道制服の隠れた機能美には驚かされます。一見普通のスーツに見えますが、無線機やタブレット端末、多数の鍵など重い装備を身につけても型崩れしない頑丈な縫製が施され、懐中時計をサッと取り出せる専用ポケットや、指差喚呼で腕を大きく上げても裾が引きつらない立体裁断など、現場のリアルな動作に寄り添った精巧な作りになっているのです。

多様性と環境に配慮した進化

ここ数年での制服のアップデートは、単なる見た目のスタイリッシュさにとどまりません。大きなテーマとなっているのが、環境への配慮と多様性への対応です。

近年新調される制服の多くには、使用済みのペットボトルなどをリサイクルした環境配慮型素材が採用されています。また、女性が鉄道の現場で広く活躍するようになったことを背景に、制服のあり方も変化しています。かつては男女で明確にデザインが分かれているのが一般的でしたが、現在では男女共通のデザインを採用するなど、誰もが働きやすいスタイルへと見直しを図る鉄道会社が急増しています。

猛暑を乗り切る「夏の制服改革」

そして今、鉄道現場で最も切実な課題となっているのが夏の猛暑対策です。

かつては真夏であってもネクタイと制帽が必須でしたが、環境省のクールビズ推進などもあり、「ノーネクタイ」の軽装がすっかり定着しました。しかし、近年の暑さはそれだけでは凌げません。そこで最近では、より通気性の良いポロシャツを夏服として正式に導入したり、脱帽を認めたりする会社が増えてきました。

さらに踏み込んだ改革として話題になったのが、西武鉄道が2026年6月に発表した新しい制服着用ルールです。なんと、猛暑への抜本的な対策として、工事現場などで広く普及しているファン付きウェアのベストや、動きやすさを重視したスニーカーの着用が現場の係員に認められたのです。これは安全と健康を守るための、非常に画期的な変化と言えるでしょう。

記号としての役割と働きやすさのバランス

鉄道の制服には、ただの作業着としての機能だけでなく、「私は鉄道の係員です」「何かお困りのことがあれば頼ってください」という、乗客に対する記号的・案内的な意味合いが強く込められています。そのため、あまりにカジュアルになりすぎると、緊急時にお客様が係員を見つけにくくなるという懸念も生じます。

ひと目で鉄道員とわかる安心感や伝統的な格好よさを保ちつつ、現場で働く社員の健康や多様性、そして日々の働きやすさをどう確保していくのか。時代に合わせてしなやかに変化していく鉄道制服の今後のアップデートにも、ぜひ注目してみてください。


参考:
接客制服のリニューアルについて(JR東日本)
現業に従事する従業員の制服を16年ぶりにリニューアルします(東急電鉄)
制服着用時のルールの見直しを行います(西武鉄道)


ライター:福本明文
大学卒業後、鉄道会社に総合職として入社し、同業界に15年以上従事。鉄道部門だけでなく、タクシーやバス、小売りといった関連事業にも幅広く携わる。現在はWebライターとしても、広報を担当した経験を活かし、コラム記事の執筆からSNSへのコンテンツ提供まで多岐にわたって活動中。


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