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他車の事故で“飛来物”→離れた場所に駐車していた愛車が破損…修理費は誰に請求すればいい?

  • 2026.9.24
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

交通事故では、事故を起こした車だけでなく、思わぬところまで被害が及ぶことがあります。たとえば、衝突の衝撃でガードレールや車の部品などが飛ばされ、事故現場から離れた場所に駐車していた車が損傷するケースです。

自分は事故に直接関わっておらず、車も駐車していただけ。それでも飛来物によって車が傷ついた場合、「修理費は誰に請求すればいい?」「事故を起こした車の保険で補償してもらえる?」と疑問に思う人もいるでしょう。

また、事故を起こした相手が分からなかったり、相手側から十分な補償を受けられなかったりする場合、自分の車両保険を使えるのかも気になるところです。

そこで今回は、交通事故による飛来物で第三者の車が損傷した場合の補償や保険の扱い、被害に気づいた際に取るべき対応について、損害保険の専門家であるスライカズヤさんに伺いました。

他車の事故による飛来物で車が破損!損害は誰が賠償してくれる?

---他車同士の事故の衝撃で何かが飛んできて、駐車していた自分の車が傷ついた場合、その修理代は誰に請求できるのでしょうか?また、過失割合はどうなるのですか?

スライカズヤさん:

「一般的には最初に接触した車が、第三者の車の損害を対物賠償責任保険を使用して賠償します。

ガードレールとの接触事故のケースを過失割合で分解すると、次のようになります。
・事故車10:ガードレール0:駐車中の車0

ガードレールを車に置き換え、なおかつ双方間で過失が発生していたケースは、次のとおりです。
・事故車①7:事故車②3:駐車中の車0
(※過失割合は一例です)

ここで重要なのは、駐車中の車が事故車①と事故車②の事故に関与していないことです。通常の方法や場所に駐車していれば過失が問われることはありません。ごく例外的に、道路にはみ出して駐車していた車を避けようとして事故が起きたようなケースでは、駐車中の車であっても過失を問われることがあります。

関与していない以上、損害は原則として全額が賠償の対象になります。事故を起こした車が複数ある場合も、被害者側が請求先を選び分ける必要はありません。実務では、過失が大きいと見込まれる側の保険会社が全額を賠償した後に、割合に応じた分をもう一方の保険会社に請求する流れをとることが多く、窓口が1社に集約される形になります。

ただし前提として、その事故で飛ばされた物によって損傷したという因果関係が確認できることが必要です。離れた場所での被害は事故との結びつきが見えにくく、認定が困難になるケースがあります。

また、対物賠償責任保険で賠償されるのは車の時価額までが原則です。修理費が時価額を上回る場合は経済的全損として時価額までの賠償にとどまるため、廃車となるような大きな損傷では、買い替え費用の全額が賄えるとは限りません」

自分の車両保険は使える?使用する際の3つの注意点

---相手の対物賠償だけでは足りない場合や、相手が特定できない場合、自分の車両保険は利用できますか?その際の注意点も教えてください。

スライカズヤさん:

「利用できます。飛来中または落下中の他物との衝突による損害は、補償を絞った車対車+A(エコノミー型)でも対象とされているのが一般的です。事故を起こした車が特定できない場合や、相手が対物賠償責任保険に加入していない場合の選択肢になります。

また、相手が特定できていても、対物賠償責任保険から受け取れるのは時価額までです。全損と判断されて時価額しか賠償されなかった場合でも、車両保険金額がその額を上回っていれば、受け取った賠償額を差し引いたうえで差額を車両保険から受け取れます。

注意点は3つあります。

1つ目は等級です。今回のように駐車中の車に物が飛んできたケースは、運転者側で防ぎようのない偶発的な事故として、1等級ダウン事故として扱われることが多いと考えられます。ただし、どの区分で処理されるかは事故の状況によって変わるため、使用前に確認しておくと確実です。

2つ目は免責金額(自己負担額)です。修理して使う場合は、設定した金額が自己負担になります。ただし全損と判断された場合は免責金額が適用されず、車両保険金額の全額が支払われます。また、相手から賠償を受けられる場合は、その賠償額が免責金額に充当されます。

3つ目は支払いの上限です。車両保険から支払われるのは契約時に設定した車両保険金額が上限です。廃車となるような損傷では、買い替え費用をすべて賄えるとは限りません。

自分は悪くないのに等級を下げてまで自分の車両保険を使うことに、感情の面では納得がいかないかもしれません。ただ、損害額と保険料の増加分を比べたうえで、埋めるべき損害が大きいと判断できるのであれば、使うことが結果的に損を小さくします」

もらい事故に遭ったら!被害者が直後に取るべき5つの初期対応

---もしも自分の車がこのような事故に巻き込まれてしまったら、まず何をすればよいでしょうか。具体的な手順を教えてください。

スライカズヤさん:

「まずは警察へ届出をしましょう。自分の車が動いていなくても交通事故による被害ですので、物損事故として届け出をし、交通事故証明書を取得できる状態にしておくことがスタート地点になります。

次に、現場をそのままにして写真を撮ることです。飛んできた物が車の周りに残っていれば、それも含めて撮影します。損傷箇所と飛来物の位置関係は、事故との因果関係を示す材料になります。片付けたくなる場面ですが、調査が済むまではなるべく動かさないほうが確実です。

飛んできた物や、割れて落ちた部品も、捨てずに保管します。付着した塗料の色や破断面の形状が調べられることがあります。

そのうえで、保険会社に連絡しましょう。相手が分からない段階でも、状況を伝えて相談して構いません。

あわせて、周囲のドライブレコーダーや防犯カメラの有無を確認しておくとよいでしょう。離れた場所での被害は、事故現場を映した映像に自分の車が入っていないことも多く、記録が残りにくいためです。

離れた場所で起きた事故の飛来物は、「その事故によるものだ」と示せるかどうかが結果を分けます。手を加える前の状態を残しておくことが、いちばんの備えになります。」

事故現場から離れていても…被害との「つながり」を残しておくことが大切

交通事故によって飛ばされた物で駐車中の車が損傷した場合、通常の方法や場所に駐車していたのであれば、駐車中の車に過失が問われることは基本的になく、損害は原則として賠償の対象になるとのことです。

ただし、重要になるのが、その損傷が「事故によって飛ばされた物によるもの」と確認できるかどうかです。事故現場から離れているほど事故との結びつきが分かりにくくなるため、被害に気づいたら現場や損傷箇所、飛来物などをできるだけそのままの状態で記録しておきましょう。

また、相手が特定できない場合や相手側の補償だけでは損害を補えない場合には、自身の車両保険を利用できる可能性もあります。補償内容や等級への影響、免責金額などは契約や事故の状況によって異なるため、まずは警察へ届け出たうえで、加入している保険会社にも早めに相談しておくとよいでしょう。


監修者:スライカズヤ

損害保険会社で事案担当者として10年間、示談交渉・損害査定・自動車修理の協定業務に携わり、数多くの事故対応の現場に立ってきた、保険・自動車分野専門のライター。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所主催 本科講座修了。専門性の高い知識を、正確に、分かりやすく伝えることを信条とし、「当事者にならないとわからない」事故と保険のリアルを読者に届ける。


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