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健診で『腎機能の数値』が上がっていた30代男性→泌尿器科を受診すると…医師から告げられた“思わぬ病名”に「痛みはないのに…」

  • 2026.7.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

今回は、「痛みが引いたから大丈夫」と放置していた結果、腎臓の機能が一時的に大きく低下してしまっていた患者さんのエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

「また石か」慣れてしまっていた痛み

Yさんは35歳の男性。20代後半から尿管結石を繰り返しており、これまでに3回ほど経験していました。そのため「また石だな」とある程度の見当がついており、発作のたびに以前処方してもらった痛み止めを飲んでやり過ごすのが、いつものパターンになっていました。

1ヶ月ほど前にも、右の脇腹から下腹部にかけての強い痛みと、トイレの水が赤みがかった血尿(けつにょう)が出現。「またか」と思いながら、手持ちの痛み止めを服用して水分をとり、横になっていると、数時間後には痛みがおさまりました。「今回も流れたんだろう」と考え、病院には行かずそのままにしていました。

それから1ヶ月、痛みはまったくなく、日常生活に何の支障もありませんでした。

健康診断の「数値」が異変を知らせた

転機になったのは、職場の定期健康診断でした。血液検査の結果を見た産業医から「去年と比べて、腎機能の数値(クレアチニン)が上がっています。泌尿器科で一度診てもらってください」と言われ、Yさんは首をかしげながら受診されました。

「痛みは全然ないんですけど…」とおっしゃるYさんに、まず腹部のエコー検査(超音波で臓器を映す検査)を実施しました。画面に映し出されたのは、右の腎臓が風船のようにパンパンに膨らんだ状態「水腎症(すいじんしょう)」と呼ばれる所見でした。腎臓でつくられた尿が流れ出られず、腎臓の中に溜まり続けている状態です。

続いてCT検査を行うと、右の尿管(腎臓から膀胱へ尿を運ぶ管)の途中に、白く光る7~8ミリほどの結石の影がはっきりと映っていました。「1ヶ月前の痛みの時から、ここに詰まったままだったんだと思います」と説明すると、Yさんは「えっ、痛くないのに?」と目を丸くされました。

「痛みが引く」=「結石が外にでた」ではない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

なぜ結石が詰まったままなのに痛みが消えたのか。これはよくある誤解につながるポイントです。

尿管結石の痛みは、結石が尿管につまり、その上の尿管や腎盂が拡張することで出ると考えられています。結石がある場所でぴたりと動かなくなると、ある程度拡張するとその後は刺激が減って痛みが和らぐことがあります。つまり「痛みが引いた」のは、結石が外に出たからではなく、結石が動かなくなったからという場合があるのです。

結石が詰まったまま放置されると、腎臓に尿が逆流・滞留し、水腎症を引き起こします。最初は痛みもなく気づかないまま、じわじわと腎臓に負担がかかり続け、機能が低下していきます。Yさんの場合、1ヶ月でそれが起きていました。

手術で石を取り出し、腎機能は回復へ

治療は「尿管鏡手術(にょうかんきょうしゅじゅつ)」を選択しました。尿道から細いカメラを入れて尿管まで進め、レーザーで結石を砕いて取り出す手術です。全身麻酔でお腹を切らずに行えるため、入院は2〜3日程度。Yさんも「思ったより全然大変じゃなかった」とおっしゃっていました。

術後は水腎症が改善し、腎機能の数値もしばらくすると回復。「痛みがないのに石があったなんて、健診に行っていなかったら気づかなかったかもしれない」と、Yさんはしみじみとおっしゃっていました。

「痛みがなくなった」で終わりにしないで

尿管結石の発作後、痛みが引いても必ず泌尿器科を受診して「結石がどうなったか」を確認することが重要です。流れ出たのか、まだ残っているのか。これは症状だけでは判断できません。エコーやレントゲン、CT検査で初めてわかります。

また、結石を繰り返す方は、食事や水分摂取の見直しによって予防できることも多くあります。「また石か」と慣れてしまうのが一番危険です。痛みが治まったあとこそ、受診のタイミングです。腎臓は静かに悲鳴を上げていることがある。Yさんのケースは、そのことをよく教えてくれています。


執筆・監修:小内 友紀子
公益財団法人ときわ会 常磐病院 泌尿器科 診療副部長、東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師、医師、医学博士
女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。
【資格】医師 / 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医

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