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テニス中、ふくらはぎに“バチッ”と強い衝撃が→「ただの肉離れ」湿布を貼って様子を見るが…50代男性を襲った“悲惨な結末”

  • 2026.7.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは。周術期管理で様々な患者さまをお守りしている麻酔科専門医の松岡雄治です。

週末のテニスコート。ラリー中に一歩を踏み出した瞬間、「バチッ」という音とともに、ふくらはぎを強く蹴られたような衝撃を覚えたIさん(50代男性)。「ひどい肉離れだろう」と思い、痛みも強くなく少し歩けたため、湿布を貼って様子を見ることにしました。

しかし、これが受診の遅れにつながってしまいます。完全に切れたアキレス腱が奥で縮み、周囲の組織と癒着を起こしていたのです。手術を受けリハビリを続けているものの回復に時間がかかり、「あの時、肉離れだと油断せず、すぐに受診していれば…」と後悔を口にしています。

なぜ「ただの肉離れ」と思い込んでしまうのでしょうか。今回は、見逃してはいけない「足の痛みのSOS」について解説します。

アキレス腱断裂は「急激な収縮と変性」で起こる

アキレス腱断裂は、主に次のようなメカニズムで発生します。

【アキレス腱が断裂するプロセス】

  • 腱の変性(脆化): 加齢や過度な負担により、筋肉と踵を結ぶアキレス腱が、自覚症状のないまま脆くなります。
  • 急激な収縮による断裂: ジャンプや蹴り出しの瞬間、筋肉が急激に収縮し、耐えきれなくなった腱が断裂します。
  • 他の筋肉による代償: 完全に切れていても周囲の筋肉がカバーするため、多少歩くことができる場合が多いのが特徴です。
  • 腱の短縮と癒着: 放置して歩き続けると、切れた腱が大きく離れたまま縮み、周囲と癒着して自然修復や手術による復元が難しくなることがあります。

「歩けるから大丈夫」という油断が危険な理由

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「アキレス腱が切れたら激痛で動けないはずだ」「歩けるから肉離れだろう」と思い込んでしまう方は少なくありません。

しかし、知っておいていただきたい重要な事実があります。アキレス腱断裂は「切れていても歩けることがある」ということです。この事実が知られていないことが、初期治療を遅らせる大きな要因となっています。

切れた直後であれば、縫い合わせる「手術療法」か、装具等で治す「保存療法」を選択でき、生活に合わせてスムーズな復帰を目指せます。しかし、肉離れだと思い込んで放置してしまうと、腱が縮んで隙間が広がり、元通りの強度に修復することが難しくなってしまいます。

受診の目安となる3つのサイン

「ただの肉離れ」と自己判断して放置してしまう前に、ご自身やご家族と一緒に以下のサインがないか確認してみてください。

1. 衝撃や破裂音があった

後ろに誰もいないのに「蹴られた・ボールが当たった」ような衝撃を感じたり、「バチッ」という音がした場合は、断裂の可能性が高い典型的なサインです。

2. アキレス腱が通る部分を触ると「ぽっかりとへこみ(陥凹)」がある

腱が断裂した部分は、皮膚の上から触ると明らかに溝のような隙間(へこみ)が生じています。

3. うつ伏せでふくらはぎを揉んでも「足首がピクリとも動かない」

膝を直角に曲げた状態で、ふくらはぎを強く手で握ってみてください。正常なら足首が反射的に動きますが、断裂していると動きません(トンプソンテスト陽性)。

心当たりがあるときにはぜひ整形外科へ

アキレス腱の断裂に気づかないはずがない、歩けているから大丈夫というのは本当によくある誤解です。

まずは「うつ伏せになって、家族にふくらはぎをギュッと握ってもらう」という、ハードルの低いセルフチェックから始めてみましょう。

現在は、必ずしも手術をする必要はなく、保存療法の成績もよくなっています。セルフチェックはあくまで目安のため、判断が難しい場合や違和感が続く場合は、セルフチェックの結果にかかわらず専門医に相談するようにしましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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