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ジョウブ&ママがLGBTQ+の解放の先に見据える、“自分軸”で生きる幸せのかたち

  • 2026.6.24
Courtesy of Instagram @yukakana555

2026年1月より放送された、Netflixによる男性同士の恋愛リアリティショー「ボーイフレンド」シーズン2。愛する息子のためにおでんを作り、大阪からはるばる北海道までやってくる元気な姿で視聴者たちの心を射抜いた、母のユカさん。その愛を素直に受け止める姿がまぶしい、息子のジョウブさん。番組で見られたふたりのハッピーな関係性は大きな反響を呼んだ。

プライド月間となる6月某日、このハッピーな親子から“何か”を学ぶべくインタビューを敢行。彼らの心のキャッチボールを眺めていると、LGBTQ+を排除、区別、軽視しない、いたってベーシックな思想が見えてくる。その気負いない考え方や多様性を受け入れるヒントを、3つの学びポイントとともにお届け。

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クィアエンタメを通じて、LGBTQ+を“マイノリティ”と受け取らない

ユカ 私、ジョウブと一緒で海外ドラマが大好きで暇さえあればずっと観ているんですけど、その中にいろんなカップルや夫婦がでてきますよね。たとえばとある作品では、いろいろ出てくる中の一組はゲイのカップルだったり。それを特別とも思わないし、普通のカップルや家族のひとつとしかみてなくて。

ジョウブ 昔からずっと家では海外ドラマや映画を観ていて、その影響もあって海外に留学をしました。お母さんと同じ作品を観てきたかどうかはわからないけど、それぞれ自然にクィアが登場する物語を観てきたのは事実です。さまざまなセクシャリティを眺めてきたというか。

ユカ ジョウブくんに教えてもらって、「glee/グリー」(2009〜2015)は全部観ました。3回は観ているかな。私、好きになると何度も何度も繰り返し観るタイプで。

「glee/グリー」カート&ブレインの“クレイン”カップル。 FOX / Getty Images

ジョウブ 僕がいちばんはじめにハマったのが「glee/グリー」です。この作品に学んだ、というわけではないけど、“人は人”、同じ人なんて他にいない、という考え方として少なからず影響は受けているかも。生まれてきた場所や環境、人間関係とか何もかもが違う。同じ人なんて一人もいない。

ユカ そうね。それはママも同じかな。

ジョウブ だからいろんな意見があるし、それが個性だし。それがおもしろい。こういう考え方って多分お母さんから受け継いでいて、大人になった今、それについて心底よかったと思えます。

ユカ そうそう。どっちが正しいとか間違っているとかはないの。ないない。

ジョウブ 僕の環境が正解でほかは間違っているとか、そういう話ではないんです。このような考え方や母を含めた家庭環境に対して周りから「いいよね」と言われることも多いけど、これが理想とも思ってなくて。ただ、“僕”という例であって、今とても幸せに暮らせているっていう事実があるだけ。

ユカ たまに「昔からゲイの友人がいたのですか?」と聞かれることがありますが、特にいません。自分の中であの子はそうだったのかな……?とフワッと思うことはありますけど。でもドラマとかを通じて、ああ、こういうかたちがあるんだと思ってきたことくらい。お互い好きになったり、よくある男女と同じようにやきもちをやいたり、ケンカしたり、仲直りしたり。何も変わらないですよね。

【ジョウブ&ママからの学びポイント①】

ユカさんの偏見の無さは最高。昔、高校生の頃にとある同級生(女性。好きな漫画は『BANANA FISH』)が「男同士の恋愛って男女より純粋だよね」と熱く語っていてそこに強い違和感を覚えたが、それはすべてのセクシャリティが同列になっていない視点だったからだろう。ジョウブさんやユカさんがエンタメを通じてごく自然に、この恋愛もあの恋愛も同じ、と感じたように、個々の感情がつながる行為にクィアもヘテロセクシュアルも関係ない。同列である。ふたりのように気負わない視点でクィア作品を鑑賞してみると、自分なりの発見があるかもしれない。

「ピンクまみれ」「プリキュア好き」も受け入れ、スタイルを否定しない

ジョウブ 僕、お母さんにあれダメこれダメって言われた記憶がないんです。子どもの頃から。戦隊ものではなくて「プリキュア」(2004〜)を観ていたし、選ぶものはキティちゃんだったり。

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ユカ 懐かしいです。それにピンクも好きだったね。

ジョウブ 気がついたらピンクを選んでいて、自分のYouTube(Jobu Jobu Jobu)でも出していますが、中高ではめちゃピンクまみれだったりして。でも、お母さんからやめなさいって言われたことは一回もなかった。

ユカ 小学生の頃は眼鏡が好きで、たくさん持っていました。

ジョウブ 10種類は持ってて。気分で変えたりしていたのですが、目立ってしまうことへのちょっとした不安はわずかにあったかも。でも、大きくなるにつれて、これでいいかと思えるようになった。中学生になってそれが爆発しました。

ユカ 私自身が服やファッションが大好きで、ジョウブくんが子どもの頃からいろんな服を着せていました。小学2年生くらいまでは私の趣味を受け入れていたんですけど、3、4年生くらいから『この服がいい』と主張が出てきて。

ジョウブ シルバーアクセサリーが好きだった時もあったよね。

ユカ そう、すごい買い集めたり。それを手に入れて嬉しそうにしている姿をみて、すごく可愛いなって。高校生の頃はとにかく派手な色が好きだった様子で、それも面白いし、いいなって思っていました。

ジョウブ 本当はこういう服を着たかったけど着させてもらえなかった、といった話を聞くこともあるから、自分とは違う環境もあるんだなとは思いました。僕はお母さんから服や趣味に関して一度も否定されたことがなかったので、相当派手でしたが「人と違っていいんだ」って思えたのかな。

ユカ 今もふたりで原宿とかでショッピングするんですけど、同じもの欲しくなることもある。

ジョウブ そうなんです。お母さんのための買い物を一緒にする親子はいると思うけど、同じ目線で一緒に買いまくるってあまり聞かないので珍しいかもとは思います。

ユカ 私が買った服をよく持って帰られます(笑)

ジョウブ 感性が似てるので一緒に共有できたり、楽しめたりするのはやっぱり嬉しいですね。それはきっとお母さんも同じだと思います!

【ジョウブ&ママからの学びポイント②】

この会話の後、ユカさんは自身の母(ジョウブさんの祖母)がかつて“ヘア爆盛りガール”だったことを明かした。自由な感性は受け継がれるのだな、と実感。もちろんさまざまな家庭環境があるけれど、「感性を否定しない」というのはきっとどの家庭にも必要な意思だと感じる。ファッションを否定されない、ある種の成功体験によってほかのカテゴリーに対しても寛容になることは想像できる。LGBTQ+を解く前に、多くの許容が存在することを学んだ。

ちなみに、ジョウブさんが「仕事を辞める」と打ち明けた時も、ユカさんはまったく否定しなかったそう。「自分がやりたいようにやればいい。なんとかなる!」と。

“自分軸”で生きる。人生を楽しむ先に願う、クィア偏見の解放

ジョウブ お母さんが僕の年齢の頃と今を比べると、世界はより寛容になってきていると思います。もちろんまだまだ壁はある。変わっていかなきゃいけないこともある。けど、それこそ僕が出演した「ボーイフレンド」のようなリアリティショーは30年前にはなかったわけで。エンタメ作品として、「ソウルメイト」(2026)や『10DANCE』(2025)が生まれたり、時代は変わってきてはいると思う。

ユカ 昔とは違うね。

ジョウブ “普通”の概念がちょっとずつ変わっている世代にいるなって思いますね。

ユカ でもでも、昔も今も同じではありますよね。私、女子校だったんですが、ショートカットでスポーツ万能なかっこいい先輩がいたらみんなでキャーキャーとなるあの感覚ってあるじゃないですか。それって、男とか女とかって関係ないと思っていて。私自身も憧れの先輩に手紙を渡したり、逆に後輩にもらったり。でもそれってレズビアンかどうかは関係なく、憧れの気持ちに境界線はない。

ジョウブ 僕は男子校で、みんな女の子の話で盛り上がっていて。当然そこには自然に入れなかった。寂しい思いをしていた中で、ある友人に自然にカミングアウトをしました。「俺、男が好きなんだよね」って。そしたら、あ、そうなんだ、みたいな感じで。たまたま僕は一人目に打ち明けた人が受け入れてくれた。一人から二人、さらに三人と少しずつ打ち明けて今に至ります。

ユカ ジョウブくんはこんなに可愛いのに女の子にモテないなあ(笑)、って思っていたから、男の子が好きなんだろうなと分かった時は自然に「そっか」って思いました。

ジョウブ 僕はたまたまこのような環境で、カミングアウトへの抵抗も困難もなかったから、困難を乗り越えることを前提としたアドバイスはできないけど、でも、お母さんと仲良くすることが何かの一歩にはなる気がしています。セクシュアリティを理解してもらうこと“だけ”が重要なわけではなくて、それ以外で親と深くつながる手段はあると思っていて。

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ユカ ジョウブくんの友達や大阪にあるゲイの方々が集まる店で知り合う人など、最近、ゲイの男性とお話する機会が増えて。そこで親にずっと会っていない、っていう(カミングアウトができてない)子がいて。その時、私こう言ったんです。「きっとお母さんは会いたいはず。会ってきて!」って。お母さんだってひとりの人間。大人だとしても考え方は変わっていくものです。ずっと同じ考え方ではない。

ジョウブ 僕はたまたまお母さんと仲良しだけど、それに近づいてって意味ではなくて、何気ない会話をするだけでも何かが変わるかなとは思います。カミングアウトをする、しないはそれぞれの自由であることは大前提で、もし理解されたいっていう人がいたら、まずは多くは望まないでただ会うだけ……を大切すればいいというか。うまく言えないのですが。

ユカ でも、ジョウブくんの存在で変わる何かもあるんじゃない?

ジョウブ そうだ。最近、とある中学生くらいの男の子に話かけられたんです。その子はお母さんといて、その方が「ほらジョウブくんだよ。お話したら?」と。そしたらその子が僕のことを好きでシリーズを観てくれていたと話してくれたんです。

ユカ 素敵だね。

ジョウブ その時、このふたりはどういう気持ちで「ボーイフレンド」を観ていたんだろうって想像しました。微力ながら、そういったことで背中をそっと押すことができたり、何かの気持ちのサポートができていたならすごく嬉しいなって。セクシュアリティのことがすべてではなく、さまざまなことがよりよくなって、その先にクィアやセクシュアリティの偏見や差別がなくなっていたら……という考え方です。

ユカ いろんなセクシュアリティの人がいるって、本当に特別なことではなく普通のことですからね。

ジョウブ 軸にあるのは、自分が自分らしく。自分の人生なので、自分の人生を生きる。お母さんも同じようにお母さんだけの人生を生きていて、自分もそう。自分勝手ってわけじゃないけど、やっぱり自分を中心に据えてはいて。

ユカ それは私も同じかも。私は“子どもに会いたい”という気持ちに素直になって、「ママ今日はこんなことすんねん」とか、いろいろメッセージを送っています。迷惑かもしれないし別に知りたくないかもしれないけど(笑)。相手のことは考えながらも、自分の気持ちも言わないと相手には通じないから。

ジョウブ 一番大事にしている自分らしさを、お互いに共有し合っているような感じです。だから、まずはみんなが自分らしく生きること。その中にセクシュアリティのことがあり、さらにその先にセクシュアリティのことも含めて“自分”と自然に掲げることができるのが理想だと思います。それは僕のように、という意味ではなく、もちろんそれぞれの方法で。世界平和を願う、みたいな言い方になってしまいましたが、“自分軸”で生きることが本当に大切だと思っています。

【ジョウブ&ママからの学びポイント③】

かつて、ゲイをカミングアウトしている男性が、社会に打ち明けていない男性に対して「え、言えばいいじゃん」と言い放っている場面を見たことがある。そこに彼の笑顔はなかった。ジョウブさんの考えの通り、人それぞれの歩幅やタイミングが存在し、そこの中央に立っているのは「自分」。セクシュアリティを解放するためのルールはなく、自分でしか決められない。

ふたりのあたたかなやりとりを見ていると、LGBTQ+の解放のために必要なことがいかにシンプルかがわかる。悲観的なテーマとしても深堀りできるからこそ、今、明るい輝きとともに語っていきたい。そう。光は愛。おでんさながらの熱〜いママの愛情は、明るい未来へ、解放という名のバトンタッチとして受け継がれるだろう。それはアツアツで、超ポップなピンクかもしれない。

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