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うっかりミス、忘れ物、遅刻。一生懸命なのに普通のことができないのはなぜ? ADHDグレーゾーンと診断された母親が自分の特性と向き合うコミックエッセイ【書評】

  • 2026.6.22

【漫画】本編を読む

『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』(はなゆい/KADOKAWA)は、「なぜ私は普通のことがこんなにできないんだろう?」という長年の生きづらさに向き合った母親が、自分の特性を知ることで少しずつ生き方を変えていくコミックエッセイである。

著者で主人公のはなゆい氏は2児の母。家事はいつも後回し、忘れ物が多く、予定管理が苦手で、片づけもうまくいかず、常に「ちゃんとした母親」になろうと努力しているのになぜか改善することができなかった。落ち込み、自分を「ぽんこつ」と思い込みながらも毎日を必死に生きていた。そんな彼女があるきっかけから「ADHDグレーゾーン」という言葉と出会い、自分の特性について考え始める。

もちろん、「診断が出たから全部解決!」という話ではない。タイトルにもある通り、はなゆい氏は「ADHDグレー」で、完全に白黒つけられるわけではないという曖昧さの中にいる。だからこそ苦しく、なかなか説明しづらく生きづらい苦しみが痛いほど伝わってくる。

しかし本作は「できない自分」の苦しさを描くだけではない。正しい知識と対処法で、生きづらさを少しでも和らげることを後押しするのだ。忘れ物が多い人には理由があり、それがわかれば忘れないように対策する。はなゆい氏は主治医とともに試行錯誤しながら、グレーゾーンの自分と生きていく覚悟を決める。自分の特性を理解していくなかで、「苦手をゼロにする」のではなく、「どう付き合うか」を少しずつ学んでいくのだ。

近年、「発達障害」や「ADHD」という言葉は広く知られるようになった。しかし、その言葉だけでは救われない人も多い。本作は、診断名のつかない人たちにも、「生きづらかったよね」と寄り添ってくれる作品だ。もしはなゆい氏と同じ苦しみを持っていたら「自分だけではなかった」と、これまでより肩の力を抜いて、その対策について前向きに考えられるようになるはずだ。

文=練馬麟

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