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「ここは俺のベランダだ」BSアンテナ撤去拒否を続けた50代男性が突然死…タワマン管理組合が直面した"数年越しの難題"

  • 2026.7.13
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

マンションのベランダを見ると、物干し台やプランター、衛星アンテナなど、さまざまな物が置かれている光景を目にすることがあります。「自分が使うスペースだから、好きなものを置いても問題ない」と考えてしまう方も多いでしょう。

しかし、強風や台風などで落下するおそれがある場所に物を設置していると、人や物に被害を及ぼす重大な事故につながる可能性があります。

今日は、管理規約で禁止されているにもかかわらず、ベランダの手すりへBSアンテナを設置し続けた男性のケースをご紹介します。当初は「自分だけの問題」と思われていた出来事が、突然の相続をきっかけに管理組合や住民全体を巻き込む長期的な問題へ発展した実例です。

「ここは俺のベランダだ」撤去を拒み続けた50代男性

これは、タワーマンションに住む入居者から直接聞いた実際の事例です。このタワーマンションで暮らしていた50代の男性Aさんは、BS放送を視聴するためベランダの手すりへアンテナを設置していました。

ところが、そのマンションでは管理規約により、手すりへのアンテナ設置が禁止されていました。強風や台風によってアンテナが落下すれば、人身事故や物損事故につながるおそれがあるためです。

管理組合はAさんに対し、口頭で何度も撤去を求めました。

「Aさん、危険ですので速やかに撤去をお願いします」

しかし、Aさんは首を縦に振りません。

「ここは俺のベランダだ。何を置こうが俺の勝手だろう」

そう言って、設置を続けていたのです。

内容証明郵便を送付。それでも撤去されなかった

その後も管理組合は、書面で何度も改善を求めました。しかし、状況は変わりません。

最終的には内容証明郵便(いつ・誰が・誰宛てに・どのような内容の通知を送ったかを郵便局が証明する郵便)を送付し、正式にアンテナの撤去を求めることになります。

それでもAさんは応じませんでした。次第に住民からも不安の声が聞かれるようになります。

「〇〇号室のベランダにBSアンテナがあるけど、大丈夫なのか…」「台風が来るたびに落ちないか心配になる」「もし落下して誰かに当たったら大変じゃない?」

管理組合としても危険性は十分に認識していました。

しかし、管理規約に違反しているからといって、管理組合が所有者の承諾なくアンテナを勝手に撤去できるわけではありません。対応は難航し、問題は解決しないまま時間だけが過ぎていきました。

突然の死で問題は"相続"へ発展

事態が大きく動いたのは、その数ヶ月後でした。Aさんが突然亡くなったのです。住戸は空き家となりました。

ところが、相続人がすぐには決まらず、部屋は長期間そのままの状態になってしまいます。問題となっていたBSアンテナも設置されたままでした。

管理組合としては危険性を十分認識していましたが、ベランダは一般的に共用部分の専用使用部分とされており、設置物を管理組合が独断で撤去することは容易ではありません。

また、相続人が確定するまでは、誰と協議を進めればよいのかも定まらない状況でした。そのため、アンテナは撤去されないまま時間だけが過ぎ、問題は数年にわたって解決できなかったそうです。

台風のたびに住民は不安を抱え続けた

その後も大型台風が接近するたびに、住民からは不安の声が管理組合へ寄せられました。理事会でも何度も議題に上がりましたが、相続手続きが終わるまでは対応できる範囲に限界があり、抜本的な解決には至りませんでした。

その後、相続人が確定し、管理組合との協議を経てようやくBSアンテナは撤去されます。問題が完全に解決するまでに、数年を要したそうです。

Aさんは「自分のベランダだから問題ない」と考えていたのかもしれません。しかし、その判断は亡くなった後も影響を残し、管理組合や相続人、さらには他の住民まで巻き込む長期的な問題へと発展してしまいました。

マンションでは管理規約を踏まえてルールを守る

ベランダへの設置物については、管理規約で認められた方法や設置場所で適切に利用されているマンションも数多くあります。

一方で、マンションのバルコニーは一般的に共用部分の専用使用部分、つまり居住者が日常的に使用できるものの、マンション全体で共有する部分とされており、手すりへのアンテナ設置やその他の設備について制限が設けられているケースも少なくありません。

トラブルを防ぐためにも、次のようなポイントを押さえておきましょう。

  • 管理規約や使用細則で設置可能な設備を確認する
  • ベランダ手すりへのアンテナや物干しなどの設置ルールを確認する
  • 管理組合から改善要請を受けた場合は早めに対応する
  • 将来の相続も見据え、規約違反の状態を残さない

マンションの管理規約は、自分だけでなく、居住者全員の安全や住環境を守るために定められています。今回は大きな事故には至りませんでしたが、もし強風でアンテナが落下すれば、人や車などに被害が及ぶおそれもあります。

だからこそ、マンションでは管理規約や使用細則を事前に確認し、ルールを守って利用することが、将来のトラブル防止につながります。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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