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『心筋梗塞を起こしやすい人』には“汗の出方”に共通点があった。見逃してはいけない「危険なサイン」とは?【医師が解説】

  • 2026.7.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「心筋梗塞といえば冬の病気」と思っていませんか?実は、夏には冬場とは異なる特有のメカニズムがあり、誰もが心筋梗塞を引き起こすリスクを抱えています。特に注意すべきは、自覚症状がないまま体から水分が失われていく状態です。

「なぜ暑い夏に心筋梗塞が起こるのか?」「一刻を争う事態を知らせるサインとは何か?」という疑問について、麻酔科医の松岡雄治さんに詳しく解説していただきました。正しい知識を身につけ、この夏を安全に乗り切りましょう。

冬とは違う?夏特有の「心筋梗塞」が起こるメカニズム

---心筋梗塞は冬に多いイメージがありますが、夏にも発症するリスクがあるのはなぜでしょうか?その原因を教えてください。

松岡雄治さん:

「夏の心筋梗塞の発症には、冬場とは異なる夏特有のメカニズムがあり、原因は『暑さと脱水による血液のドロドロ化』と『血圧の低下』にあります。

気温が上がり暑さを感じると、体は熱を発散させようとして皮膚の血管を拡張させます。これに発汗による水分の喪失(脱水)が加わると、全身を巡る血液量が減少することになり、結果として血圧が下がりやすくなります。血圧が低下すると、心臓の筋肉を養う冠動脈へ血液を押し込む圧力も下がるため、心臓が虚血になってしまうのです。

また、汗で水分が失われると血液中の水分が減り、赤血球などの割合が高くなって血液が粘度を増し、血の塊(血栓)ができやすくなってしまいます。この血栓が心臓を栄養する冠動脈に詰まってしまうことで心筋梗塞を起こすおそれがあるのです。

ここで特に注意すべきは、自覚のない『隠れ脱水』です。湿度の高い屋内では汗が蒸発せず皮膚が濡れたままになるため、『乾燥』を感じにくく、体から水分が失われていることに気づきにくくなります。汗はかいているのでそのうち喉が渇きますが、その頃すでに体内では血液が濃縮されているのです。
他に、就寝中にクーラーを切る設定にしている場合、寝ている間に多量の汗をかいて、朝方に深刻な脱水状態に陥ってしまっている危険もあります。

若い方の場合には、動脈硬化はそれほど進行していないことがほとんどですが、血管の内側にできたわずかな傷に夏の脱水が重なると、ドロドロになった血液によって急激に血栓が形成されて心筋梗塞に至るケースがあります。喫煙などの生活習慣の乱れも、これを誘発する強力な要素です。」

見逃してはいけない緊急サイン!突然の「冷や汗」に隠された危険

---運動もしていないのに突然「冷や汗」が出る場合、どのような危険が体に起きているのでしょうか?

松岡雄治さん:

「運動もしていないときに、涼しい室内や安静時に突然『冷や汗』が出る場合、それは単なる暑さによる体温調節の汗ではなく、体内で一刻を争う事態が起きている緊急のサインかもしれません。

心筋梗塞の発作時に見られる冷や汗の最大の原因は、心臓の血管(冠動脈)が塞がり、心筋への血流が途絶えて細胞が壊死し始めることで生じる『強烈な痛み』です。この激痛によって体が命の危険を察知し、交感神経が極度に緊張・興奮するため、全身から一気に冷たい汗が噴き出します。

しかし、さらに恐ろしいのは、高齢者や糖尿病の方などで神経障害があり『痛みを感じにくい』ケースです。この場合でも、心筋が壊死して心臓のポンプ機能が突然落ち、血圧が急低下すると、体はショック状態(命の危機)から血圧をなんとか保とうとして交感神経を猛烈に働かせます。その結果、胸の痛みがなくても全身からじっとりとした冷や汗が噴き出すのです。無痛性の心筋梗塞において、この『理由のない冷や汗』は臨床的に重要なサインといえます。

この『危険な汗』は、胸を激しく締め付けられるような痛みや圧迫感だけでなく、肩、背中、のど、歯、みぞおちなどに生じる『放散痛』に伴って現れることもあります。また、冷や汗に加えて『めまい』『吐き気』『息苦しさ』を伴う場合は、血圧が下がりショック状態に陥りかけている極めて危険な状態の可能性があります。このようなときには、どうか我慢せず、救急車を呼んでください。」

命を守る正しい水分補給法と、夏を乗り切るための「予防策」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---夏の心筋梗塞を防ぐために、私たちはどのようなことに気をつけて生活すべきでしょうか?効果的な対策を教えてください。

松岡雄治さん:

「夏の心筋梗塞を防ぐための最も効果的かつ重要な予防策は、正しい水分補給の習慣を身につけることです。

まず大前提として、『喉が渇いてから水を飲む』のでは遅いことをぜひ知っておいてください。摂取した水分が体に浸透し、実際に血液の濃度を改善するまでには約20分近くの時間がかかると言われています。のどの渇き(口渇感)を感じた時には、すでに体は深刻な水分不足と血液の濃縮に陥っています。そのため、『時間を決めてこまめに飲む』ことが命を守るコツです。特に血流が滞りやすい就寝中への対策として、寝る前と起床後には必ずコップ1杯の水を飲む習慣をつけてください。

また、夏の楽しみである『おいしいビール』にも危険な罠が潜んでいます。アルコールには強い利尿作用があるため、水分補給のつもりで飲んでいても、実際には摂取した以上の水分が尿として体の外へ排出され、かえって脱水を加速させてしまうことがあります。お酒を楽しむ際は、必ず同量のお水(チェイサー)を一緒に飲むように意識してください。

さらに、外出時や運動時には『戦略的撤退』を念頭に置いておきましょう。日本の年平均気温は変動しつつも着実に上昇しています。
『今までも大丈夫だったからこのくらい大丈夫』と過信せず、少しでも具合が悪い、息切れがすると感じたらすぐに周囲に伝えて涼しい場所で水分と休憩をとるようにしましょう。

「まさか自分が」を防ぐために。今すぐできる夏の健康習慣

冬だけでなく、夏にも「脱水」と「血圧低下」によって引き起こされる心筋梗塞。喉が渇く前にこまめに水分を補給することや、就寝前後のコップ1杯の水、お酒を飲む際のチェイサーなど、日々の小さな習慣が命を守る最大の予防策になります。

気温が上昇する現代の夏において、「今まで大丈夫だったから」という過信は禁物です。少しでも息切れや体調不良を感じたら無理をせず「戦略的撤退」を判断し、涼しい室内での突然の「冷や汗」といった緊急サインを見逃さず、万が一のときには我慢せず救急車を呼びましょう。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。"

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