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ライブ後に“胸や背中”の痛み→「このまま息ができなくなるのでは」呼吸が苦しくなって受診すると…医師に告げられた“思わぬ病”

  • 2026.9.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。周術期管理や救急・全身管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「叫びすぎ!跳ねすぎだよ!」という家族の忠告を「ライブだからこのくらい当然だよ」と笑顔で聞き流し、大好きな音楽で日常のストレスを発散させていたAさん(20代女性)。翌日、「少し胸や背中が痛むけれど、はしゃぎすぎて筋肉痛になっちゃった」と、よくある疲労だと思って違和感を放置してしまっていました。

しかし、その筋肉痛だと思っていた痛みが治まらず、次第に深呼吸すら苦しくなり、「このまま息ができなくなるのでは」と感じ、受診しました。
原因は、筋肉痛ではなく、肺に穴が開いて空気が漏れ出す「気胸」でした。
なぜ、「ライブでのはしゃぎすぎ」という楽しい時間が、胸の中での思わぬトラブルを引き起こすのでしょうか。

ライブの「歓声とジャンプ」は肺への大きなプレッシャー

ただの筋肉痛と勘違いしやすい胸の痛みの背景には、胸の中の構造的な物理メカニズムが存在します。

【肺がしぼむ連鎖のフロー】

  • 大歓声とジャンプによる圧力の急上昇:大声を出す力みや激しい跳躍により、胸の中(胸腔)に一瞬で過度な圧力がかかります。
  • 肺表面のもろい風船(ブラ)の破裂:もともと肺の表面にできている壁の薄い風船(ブラ)が、圧力に耐えきれず弾けてしまいます。
  • 空気漏れと肺の圧迫(気胸):漏れ出た空気で胸の中に圧力が溜まり、風船のように肺が外側から押し潰され、息苦しさや痛みを引き起こします。

「最高の発散」と「肺への負荷」の境界線

ライブ会場で思い切り叫び、飛んで跳ねるのに手加減をすることはないでしょう、つい夢中になってしまうのは人間として当然の心理です。
気胸といえば「背が高く痩せた若い男性の病気」というイメージが強いかもしれません。しかし実際には、女性や小柄な方であっても、体質によって肺の表面に小さな風船(ブラ)を持っている人が一定数存在します。特別に病気というわけではなく、普通の生活では何も起きません。
しかし、以下のような「物理的負荷が重なる条件」が重なると、性別や体型に関係なくブラが破裂するリスクが高まります。

息を止めて(力んで)叫ぶ大声:胸腔内の圧力を一気に高めます。
連続した激しいジャンプ・運動:肺への振動と圧力が連続して加わります。
過度な疲労状態:体のリカバリー力が落ちている時に重なると、負担が大きくなります。

手遅れになる前に確認すべき3つのサイン

「ライブの翌日からなんだか胸が苦しい…」と感じたら、深刻化する前に次の3つのサインをチェックしてください。

1. 片側の胸・肩・背中に走る「突然の鋭い痛み」

風船(ブラ)が破れ、空気が漏れ出した瞬間の典型的な初期症状です。ただの筋肉痛とは違い、急に痛む感覚があります。

2. 深呼吸ができない・息苦しさや乾いた咳

漏れた空気で肺が圧迫され、十分な酸素を取り込めなくなっています。

3. 体を動かした時に胸の中で空気が動く違和感

胸腔内に溜まった空気が移動することで、ポコポコとした感触を覚えることがあります。

叫んだり飛び跳ねたりした翌日に胸の痛みを感じたら

気胸は案外身近な病気です。また、痩せた若い男性に確かに多いですが、そうでない方もやはりいます。

もし胸の痛みが続くなら、「ただの筋肉痛」と我慢せずに呼吸器内科や呼吸器外科を受診してみてください。程度によりますが、安静にして経過を見ることもあれば、胸に細いチューブを入れて空気を抜く治療や、手術でブラを切除することもあります。

いずれにしても、上記のサインに当てはまる点がある場合には、無理をせず速やかに受診してください。なお、急激に息苦しさが強まる場合は重症化の可能性があるため、早めの救急受診も検討しましょう。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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