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庭の手入れで“指を切った”50代男性→「絆創膏を貼っておけば大丈夫」と放置したら…2週間後、待ち受けていた“悲惨な結末”

  • 2026.7.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは。周術期管理において、あらゆる病気をお持ちの患者さまを日々安全にお守りしている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「庭のバラで指を少し切っただけ。絆創膏を貼っておけば大丈夫」。週末のガーデニングを楽しむLさん(50代男性)が、妻の「念のため病院に行ったら?」という心配を笑い飛ばしたのは、何気ない日常の一コマでした。

しかし2週間後、彼は突然口が開かなくなり、全身の筋肉が弓なりに反り返る強烈な痙攣に襲われました。救急搬送先で告げられた診断名は「破傷風」。

集中治療室で人工呼吸器につながれる過酷な闘病の末、一命は取り留めましたが、現在は著しく衰えた筋力のリハビリを続けながら、「あの時、ただの傷だと油断せず、すぐに水で洗って病院に行けばよかった…」と深い後悔を口にしています。

破傷風は小さな傷口から侵入する「神経の暴走」

なぜ、庭いじりの小さな傷から全身の痙攣が起こるのでしょうか。土の中の細菌が人体のコントロールを奪うメカニズムは、次のように進んでいきます。

【全身の筋肉が暴走するフロー】
傷口からの侵入:破傷風菌は実は、日本中のどこの土にも潜んでおり、庭いじりや畑仕事中の小さな傷口から体内に侵入します。
密閉空間での毒素放出:酸素を嫌うこの菌は、密閉空間で増殖し、猛毒を放出します。
ブレーキの破壊:毒素が神経を伝わり、筋肉の興奮を抑える「ブレーキ」の働きを破壊します。
筋肉の暴走:脳の意識ははっきりしたまま全身の筋肉が激しく痙攣し、最後は呼吸ができなくなる危険な状態に陥ります。

「サビた釘」のイメージと「ただの土」に潜む危険な境界線

「トゲが刺さっただけで病院に行くなんて大げさだ」「絆創膏を貼ってやり過ごそう」。忙しい日々の中でご自身の小さな不調をやり過ごしてしまうのは、無理もありません。

しかし、医師としてお伝えしたい「危険な境界線」があります。多くの人が破傷風を「古い工事現場でサビた釘を踏んだときの特別な病気」と思い込んでいるかもしれませんが、最大の罠はガーデニングなどの「普段の土いじり」にあります。破傷風菌は、どこにでもあるありふれた細菌なのです。

さらに、「子供の頃に予防接種を打ったから大丈夫」という過信も禁物です。ワクチンの効果は最後に打ってから10年程度で薄れます。また、現在50代以上の大人の多くは、幼少期に接種していない可能性が高く、一度も抗体を持っていない場合があります。

※一度も打っていない人は追加1回ではなく、計3回の基礎免疫接種が必要です

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

「ただの疲れや肩こり」と、筋肉が毒素に侵され始めている破傷風を見分けるために、以下の3つの初期サインをご確認ください。

1. 首やあごが強張り、「口が開きにくく、食べ物が飲み込みにくい」

食べ物を噛むときに違和感があり、あごの筋肉に引きつるような強い抵抗感を覚えます。

2. 自分の意思とは無関係に「ニヤリと笑っているような顔になる」

顔の表情筋が毒素によって持続的に引きつるため、笑っているような不自然な表情になります。

3.傷口の周囲がピリピリと痛み、こわばりが首や背中へと広がっていく

傷口の周りの筋肉が不自然に引きつり、その違和感が徐々に体幹へと広がっていきます。

実は破傷風は身近に潜んでいます

「まさか小さな傷から、これほど恐ろしい病気になるなんて」そう思うのも無理はありません。

予防の第一歩は、「土がついた傷は、絆創膏を貼る前に水道の流水でしっかりと洗い流す」ことです。深い刺し傷や土が取りきれない傷は、自己判断で密閉せず外科や救急外来を受診してください。

もちろん、追加のワクチン接種も有効です。ガーデニングや庭仕事をするような場合には接種を検討しても良いでしょう。
趣味をこれからも安心して楽しむために、正しい知識を持っておきましょう。また、ご不安の時にはいつでもお気軽に受診してください。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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