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鏡を見ると“前歯に謎の黒い点”が。→「ただの着色汚れ」と放置するも…数ヶ月後、医師に指摘された“意外な原因”とは?

  • 2026.7.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

鏡を見たとき、歯茎に小さな黒い点があったら、皆さんはどうしますか。差し歯の近くなら、「中の金属が透けているだけ」と考えるかもしれません。

しかし、口の中の黒い色素斑は、見た目だけでは原因を区別できない場合があります。

Aさんに起きたこと

Aさんは50代の女性。ある日、洗面台の鏡を見ていると、上の前歯の差し歯のすぐそばにある「小さな黒い点」に気づきます。

「差し歯の金属が透けているだけかしら」と思い、特に気に留めず放置。毎朝コーヒーを飲む習慣もあったため、「ただの着色汚れかも」と軽く考えていました。

痛みも腫れも全くないため、そのまま気づけば数ヶ月が経過。そんなある日、定期検診のために訪れた歯医者で、お口の中をチェックしていた歯科医師の手がふと止まりました。「Aさん、この歯茎の黒い点はいつからありますか?」

「数ヶ月前だったと思います……」と答えたものの、いつからできていたのか、大きさに変化があったのかまでは思い出せません。カルテに残っていた過去の写真を確認してもその部分までは写っておらず、経過が追えない状態でした。

歯科医師は、黒い点の大きさや盛り上がり、出血の有無などを慎重に確認して写真に記録。差し歯の近くだからといって金属の影響とは決めつけられないため、他の色素性病変と区別するために、Aさんは口腔外科を紹介されることになりました。

原因は歯科用金属による「メタルタトゥー」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

紹介された口腔外科では、差し歯を入れた時期や経過を確認したうえで、詳しい診察がスタート。しかし、やはり見た目だけでは原因を決められず、黒い部分の組織を少しだけ採取して調べる「病理検査」を受けることになりました。

ドキドキしながら待った検査の結果、黒い点の正体は「メタルタトゥー(金属沈着)」であることが判明。 差し歯の金属そのものが透けていたのではなく、過去の治療時に飛び散った細かな金属片が歯茎の組織内に入り込み、青黒く見えていたのです。

幸いにも悪性を示す所見はなく、今後は歯医者で定期的に写真を撮って経過観察することになりました。ここでようやく、数ヶ月間放置していた黒い点の正体がはっきりしたのです。

見逃したくないのは口腔内の悪性黒色腫

お口の中の黒い点には、メラニン色素や今回のような金属の沈着、ほくろ(色素性母斑)など様々な原因があり、その多くは心配のないものです。

しかし、最も気をつけたいのが「悪性黒色腫(メラノーマ)」という悪性腫瘍。メラニンを作る細胞が悪性化したもので、口の中では特に上の歯茎や上あごの粘膜などに発生しやすい特徴があります。

もし、黒い点が「急に大きくなる」「形や境界がギザギザしていて不規則」「色の濃淡がバラバラ」「盛り上がってきた」「出血する」といった変化が見られた場合は、早めに受診が必要です。とはいえ、こうした特徴だけで自己判断はできません。見た目だけでは金属沈着と見分けるのが難しいため、Aさんのように口腔外科での組織検査が必要になります。

Aさんは「ただの差し歯の金属だと思っていたけれど、見た目だけでは病気と区別がつかないのですね」と、検査の大切さを実感した様子でした。それからは、お口の中に気になる色の変化を見つけたらすぐに写真を撮り、撮影日を記録して早めに相談する習慣がついたそうです。

黒い点は、原因が分かるまで決めつけない

今回は、差し歯の近くにできた「メタルタトゥー」の体験談をご紹介しました。「差し歯があるから金属のせいだろう」と自分で決めつけてしまうと、万が一、重い病変が隠れていたときに見逃してしまうリスクがあります。

もし歯茎に黒い点を見つけたら、

・いつからあるか
・大きさや形、色の変化があるか
・痛みや出血、硬さがあるか

といった情報を整理し、差し歯や詰め物を入れた時期と合わせて歯医者へ伝えてみてください。早い段階での相談が、お口の健康を守ることにつながります。


参考:
口唇や頬の粘膜に黒い色素斑がある/歯茎に色素斑がある(日本口腔外科学会)
悪性腫瘍(日本口腔外科学会)
金属冠装着歯周囲の着色歯肉に関する臨床病理学的研究(Journal of Oral Biosciences) 

執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X: https://x.com/kikimama0405 

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