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医師から『心筋炎』を宣告された50代男性→“ただの喉風邪”と思いきや…数日前から起きていた“異変”に「あの時、無理をしなければ…」

  • 2026.7.7

 

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさんこんにちは、日々さまざまなお悩みを持つ患者さまと向き合う麻酔科専門医の松岡です。

「ただの喉風邪だよ。熱も下がってきたし、いま仕事を休むわけにはいかない。気合で出社しよう」。Aさん(50代男性)は家族の「もう少し休んだら?」という忠告を聞き流し、無理をして働き続けました。

しかし数日後、Aさんは救急搬送されていました。診断は「劇症型心筋炎」。ただの風邪をこじらせただけだと思っていたのに、翌日には全身を管に繋がれ、集中治療室のベッドの上に横たわり、人工心肺(ECMO)で一命を取り留めている状態になっていました。

その後の治療によって社会復帰できましたが、心臓の機能は低下してしまい、激しい運動は難しくなりました。「あの時、無理をしなければ」と後悔しています。

風邪ウイルスが引き起こす「心臓のポンプ急停止」

なぜ「ただの風邪をおして働く」という油断が、ECMOを要するほどの致命的な心不全につながるのでしょうか。それは、喉や気道にいたウイルスが心臓の筋肉(心筋)に到達し、急激な炎症によって心臓を破壊するためです。

【風邪から劇症型心筋炎に至るフロー】

  • ウイルスの侵入:風邪の原因となるウイルスが血流に乗り、心臓の筋肉に感染して増殖します。
  • 激しい炎症の惹起:免疫細胞がウイルスを退治しようと戦う結果、心筋そのものが強い炎症を起こして破壊されます。
  • ポンプ機能へのダメージ:心臓が正常に動けなくなり、命に関わる不整脈や心原性ショック(劇症型心筋炎)を急激に引き起こし、全身に血液が送れなくなってしまいます。

「ただの風邪の長引き」と「心臓へのウイルス侵入」の境界線

「風邪くらいで休んでいたら職場に迷惑がかかる」「長引いているけれど、市販薬でやり過ごそう」。そう自分に言い聞かせるのは、ごく自然な心理です。忙しい日々の中で、疲れた体を奮い立たせて出社することもあるでしょう。

ただし、ぜひお伝えしたい事実があります。劇症型心筋炎は、発病初期にはただの風邪や胃腸炎と全く区別がつきません。ウイルスが体内にいる時期に「過労」や「過度な運動」などの身体的ストレスが加わると、ウイルスの増殖が助長され、心臓への負荷が急激に高まって劇症化のトリガーとなるのです。

「気合で乗り切る」行動が、思いがけずただの風邪をただの風邪では終わらせないようにしてしまっていたのです。

重症化する前に、確認すべき3つのサイン

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

重症化する前に、以下のサインがないかを確認しましょう。ただの風邪ではなく、心臓がウイルスによって炎症を起こしている可能性があります。

1. 風邪症状に続いて胸の痛みが出てきた

胸に痛みを感じることが多い特徴があります。風邪症状が出現した後、1〜4週間以内に起こることが多いです。

2. 少しの動作での息切れ

夜、布団に横になると息苦しくなり、体を起こして座ると少し楽になるのは、重篤な心不全が進行していることを示唆しているかもしれません。

3. 動悸がする

ドキドキと脈が早くなるばかりではなく、いつもと違うリズムで、脈が乱れていることを感じることもあります。心臓の電気信号を伝える箇所に影響が出ているサインの可能性があります。

ただの風邪と侮ると取り返しのつかないことになるかもしれません

「ただの風邪だから、大げさにしたくない」と無理をしてしまうのは、決して特別なことではありません。しかし、風邪症状を侮ると知らず知らずのうちに心臓まで蝕まれてしまうかもしれません。

劇症型心筋炎は時間との勝負です。もし発症した場合には、早期に異常に気づき、安静を保って適切な医療介入を受ければ、最悪の事態を防げる可能性があります。「風邪の治りかけに、おかしな息苦しさやだるさがあるな」と感じたら、ご自身で判断して無理を重ねず、まずはお近くの循環器内科にご相談ください。不調時の休息と、違和感への対応が大きな分かれ道になるかもしれません。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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