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家族で焼肉に行った夜。「胃もたれしている…」“市販の胃薬”を飲んで放置→数日後、40代女性の身体を襲った“恐ろしい異変”

  • 2026.8.16
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさん、こんにちは。全身管理を通じて救急医療の最前線に立つ麻酔科専門医の松岡雄治です。

「ちょっと食べ過ぎてしまったかしら。いつもの胃もたれかしらね」家族と久しぶりの焼肉を楽しんだ夜、みぞおちの痛みを市販の胃薬で耐え忍ぼうとした40代女性のCさん。

しかし数日後、病状が一気に悪化し、敗血症によるショック状態で緊急搬送される事態に陥ってしまいました。結果として胆のうの摘出と集中治療室での治療を余儀なくされ、Cさんは「ただの胃もたれだと思わずに、もっと早く病院に行っていれば…」と振り返ります。

なぜ「ただの胃痛」という思い込みが、これほど深刻な事態につながってしまったのでしょうか。今回はCさんの事例をもとに、胆のう炎の仕組みや注意すべき危険なサインについて解説します。

胃薬で対応している間に進行する炎症のリスク

なぜ「ただの胃痛」が、集中治療が必要な敗血症にまで発展するのでしょうか。その背景には、胆のうにできた石(胆石)が引き起こす連鎖的な炎症があります。

【胆のう炎・胆管炎が悪化するフロー】

  1. 石の詰まり:脂っこい食事の刺激で胆のうが強く収縮し、胆のうの中にできた石が管に転がり落ちて排出経路を塞ぎます。
  2. 細菌の猛繁殖:せき止められて行き場を失った胆汁の中で、腸内細菌が一気に繁殖し激しい炎症が起こります。
  3. 壊死と敗血症:パンパンに腫れた胆のうの組織が傷んだり、増殖した細菌が血液に乗って全身を駆け巡る「敗血症」を引き起こしたりして、命に関わるリスクが生じます。

初期段階で医療機関を受診できれば、抗菌薬の投与や腹腔鏡を用いた身体への負担が少ない手術などで安全に治療できるケースがほとんどです。しかし、「胃薬で我慢できるから」と受診が遅れることが、重症化の一番の原因となります。

「いつもの食べすぎ」という油断と「胆石」の身近さ

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「仕事も頑張ったし、週末くらい脂っこいお肉をお腹いっぱい食べたい」「胃が痛いときには、胃薬を飲んで寝れば治るだろう」。忙しい日々で、痛みを市販薬でやり過ごそうとするのはごく自然な対応です。

また、「胆のうに石ができるなんて珍しいのでは?」と感じるかもしれません。しかし、実は成人の約10人に1人が胆石を持っているとされ、肥満傾向のある方の場合はその割合が約25%に上るといわれています。

胆石の多くは無症状のまま潜んでいますが、焼肉や天ぷらなど脂質の多い食事をとると、消化のために胆のうが強く収縮し、石が管へ押し出されやすくなります。恐ろしいのは、自分で「ただの消化不良」と思い込み、胆のうが上げているSOSサインを見落としてしまうことです。

重症化を防ぐために確認すべき4つのサイン

食後にみぞおちの痛みを感じたとき、それが「ただの胃痛」か「危険な胆のうの炎症」かを見極めるため、以下の3つをご確認ください。

1. 右脇腹や右肩・背中へ抜ける痛みがある

一般的な胃の痛みはみぞおち付近に留まりますが、胆のうが原因の場合、右側のあばら骨の下から右肩や背中にかけて、突き抜けるような強い痛み(放散痛)が走ることがあります。

2. 痛みが数時間以上、一定して続く

波のある痛みが続く胃痙攣(いけいれん)などとは異なり、強烈な痛みが数時間以上途切れずに持続するのが特徴です。

3. 発熱や寒気を伴う

細菌が繁殖し、全身に炎症が広がっているサインです。一般的な胃もたれで高熱や強い寒気が生じることは基本的になりません。

4. 目や皮膚が黄色くなる(黄疸)・尿の色が濃くなる

胆汁の通り道が塞がると、黄色い色素(ビリルビン)が血液中に溢れ出し、白目が黄色くなったり、紅茶のような濃い色の尿が出たりすることがあります。

食後の激痛や発熱を見逃さず早めの受診を

脂っこい食事をきっかけに胆石が詰まると、胆のう内で増殖した細菌が全身へ広がり、短期間で急激に重症化するおそれがあります。

右脇腹から右肩・背中へ抜ける痛み、数時間以上引かない激痛、発熱や寒気、黄疸といった症状は、体が発している緊急の注意サインです。

胆のう炎や胆管炎は、早期に発見できれば適切な内科的治療や腹腔鏡手術などによってスムーズに治すことができます。「ただの食べ過ぎ」「いつもの胃もたれ」と自己判断して胃薬で耐え忍ばず、食後に普段と異なる強い痛みや熱を感じた際は、早めに消化器内科や救急外来を受診して大切な体を守りましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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