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「年齢のせいだろう」“前歯のすき間”を放置した50代女性→数ヶ月後、歯医者を受診すると…医師に指摘された“意外な原因”とは

  • 2026.7.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさん、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

ふと写真を見返したとき、「あれ? 前歯のすき間が広がっているかも」と気づくことはありませんか? 痛みがないと、つい「年齢のせいかな」と見過ごしてしまいがちですよね。

Aさんに起きたこと

50代の女性、Aさんもその一人でした。ある日、家族写真を見返していたAさんは、上の前歯の間に黒いすき間ができていることに気づきました。

半年前の写真ではそれほど目立っていなかったため、「年齢のせいで歯茎が下がっただけだろう」と考え、そのときは写真を閉じました。

しかし数ヶ月後、食事のたびに前歯の間に食べ物が挟まるようになってしまいます。さらに、よく見ると片方の前歯が少し外側を向いているようにも見えたため、見た目と食べ物の詰まりやすさを相談するつもりで、歯科医院を受診することにしたそうです。

受診の際、Aさんは半年前と最近の家族写真を2枚持参しました。「この頃からすき間が広がり、こちらの歯が外側へ向いた気がします」と、変化した時期と方向を具体的に歯科医師へ伝えます。

歯科医院では、歯周病の状態、歯の揺れ、噛み合わせ、舌で前歯を押す癖などを詳しく調べました。さらに、歯の根元や周囲の骨をレントゲンで確認すると、顎の骨の中に「影」が見つかったのです。

ただ、レントゲンの影だけでは、具体的にどんな病気かを特定することはできません。骨の中に「水がたまった袋(嚢胞・のうほう)」ができているのか、あるいは「歯に関わる腫瘍(しゅよう)」なのかなどを詳しく調べるため、歯科医師はAさんを専門の口腔外科へと紹介しました。

診断は「鼻口蓋管嚢胞」 他の病気とどう見分ける?

紹介先の口腔外科では、まずCT検査で影の位置や大きさを詳しく確認しました。さらに、前歯の神経が今も生きているかをチェックする検査も行いました。

検査したところ、Aさんの前歯の神経は無事で、影は上の前歯のすぐ後ろ、鼻に通じる細い管の近くにあることがわかりました。

その後、影の原因となっている部分を取り除いて詳しく調べた結果、最終的な診断は「鼻口蓋管嚢胞(びこうがいかんのうほう)」でした。

これは、お母さんのお腹の中にいるころ(胎児期)の組織のなごりが上の前歯の後ろに残り、そこに水がたまって袋のようになってしまう病気です。虫歯などの歯の病気が原因ではなく、自然にできてしまうものですが、この袋が大きくなるにつれて前歯の根元を押し広げ、すき間ができる一因になっていたのでした。

顎の骨の中に影ができる病気には、ほかにも「虫歯で神経が死んだ後に根の先にできる水の袋(歯根嚢胞・しこんのうほう)」や「歯を作る組織からできる腫瘍」などがあります。これらは画像だけでは見分けるのが難しいため、歯の神経が生きているかどうかの確認や、取り除いた組織を顕微鏡で調べる検査などを組み合わせて、慎重に診断を行います。

もちろん、大人の前歯にすき間ができる原因のほとんどは、歯周病や噛み合わせの変化、あるいは舌で前歯を押すような癖などによるものです。「すき間ができた=骨の病気」と、すぐに不安になる必要はありません。

ただ、こういった骨の中の病気は痛みがほとんどないため、自分では気づきにくいという特徴があります。だからこそ、歯並びの変化を「ただの年齢のせい」と片付けず、定期健診のレントゲンなどでお口全体をきちんと確認してもらうことが大切です。

受診の際は「変わった時期」と「歯の動き」を伝えよう

もし大人になってから歯並びが変わったと感じたときは、受診の際に以下のポイントを歯医者さんへ伝えてみてください。

  • いつ頃から変化し始めたか(例:半年前の写真と比べて、など)
  • どの歯が、どの方向へ動いたか
  • 食べ物が挟まり始めた時期
  • 歯の揺れや、顎の膨らみ、しびれの有無

Aさんは診断を聞き、「前歯そのものではなく、その後ろの骨に原因があったのですね」と驚いていました。この経験以来、Aさんは「年齢のせい」と見過ごさず、お口の中に気になる変化を見つけたときは、日付や状態をメモして記録に残すようにしているそうです。

痛みがなくても、変化のサインを伝えて

大人の歯並びは、歯周病や噛み合わせなど、さまざまな理由で変わります。痛みがなくても、短い期間すき間が広がったり、歯の向きが変わったりしたときは、歯科医院で原因を確認しましょう。

今回のAさんの診断は、歯を原因としない「鼻口蓋管嚢胞」でした。

丁寧な神経の検査や病理検査によって、歯根嚢胞や歯原性腫瘍と正確に見分けることができました。

「年齢のせいだから」とそのままにせず、いつ頃からどう動いたのかを具体的に歯医者さんへ伝えたことが、顎の骨の中に隠れていた病気を見落とさずに発見できた何よりのきっかけとなったのです。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X: https://x.com/kikimama0405 

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