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『食後に咳が出る…』“乾燥のせい”と放置した50代男性→市販の咳止めで治らず受診すると…医師から指摘された“意外な原因”

  • 2026.7.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

食後だけ咳が出ても、歯の症状と結びつける方は少ないでしょう。今回紹介するのは、前歯がしみたことで、数ヶ月続いていた咳についても相談することになったケースです。

Aさんに起きたこと

Aさんは50代の男性会社員です。数ヶ月ほど前から、食後しばらくすると咳が出るようになっていました。胸やけや胃もたれはなかったため、「ホコリや乾燥のせいかもしれない」「先月の風邪が長引いているだけだろう」と、市販の咳止めを飲みながら様子を見ていたそうです。

ある朝、冷たい麦茶を飲んだとき、上の前歯がキュッとしみました。数日経っても変わらなかったため、久しぶりに歯医者を受診します。

診察では虫歯が見つからなかった一方、上の前歯の裏側がすり減っていました。「酸っぱい飲み物をよく飲みますか」と聞かれましたが、Aさんに思い当たる習慣はありません。
そこで、歯科医師が食事や体調について尋ねました。Aさんは初めて、食後に咳が出ることと、朝は喉がイガイガすることを一緒に伝えます。

歯の状態だけで断定はできませんが、胃酸の逆流が関係している可能性もあるため、歯科医師はAさんに消化器内科の受診を勧めました。こうしてAさんは、長引く咳やのどの違和感について、一度医師に診てもらうことにしたのです。

胃酸が歯に触れて起こる酸蝕症

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

歯が溶ける原因は虫歯菌だけではありません。細菌ではなく、酸が直接歯の表面を溶かす「酸蝕症」があります。

酸の原因は、炭酸飲料や柑橘系飲料、酢など、口の外から入るものだけではありません。胃酸が食道から口まで上がってくることによって、歯が影響を受ける場合もあります。

胃酸による酸蝕症では、上の前歯の裏側や奥歯の噛む面などに変化が現れることがあります。ただし、歯のすり減り方だけで胃食道逆流症と判断することはできません。飲食習慣や嘔吐の有無、体の症状を合わせて確認します。

胃食道逆流症というと、胸やけや酸っぱいものが上がる感覚を思い浮かべるかもしれません。しかし胸やけは目立たず、慢性的な咳や喉の違和感だけが現れる方もいます。咳には他の原因も考えられるため、内科などを受診する際は、症状が出るタイミングや続き方を医師へ詳しく伝えることが大切です。

食後の咳と歯のしみを一緒に伝える

歯のしみや表面の変化に気づいたときは、飲食習慣だけでなく、食後の咳や朝の喉の違和感といった「全身の気になる症状」も、ぜひ歯科医師に伝えてみてください。いつから咳が出始めたか、食事との関係はあるか、横になったときに変化があるかなどを整理して伝えていただけると、より適切なアドバイスや相談先をご提案しやすくなります。

Aさんはその後、市販の咳止めだけで済ませるのをやめました。咳が出た時間、その前に食べたもの、朝の喉の状態をノートに記録し、消化器内科で説明できるように準備したそうです。

一見無関係に思える体調の変化も、大切なヒントに

虫歯だけでなく、胃酸のような思いがけない原因で歯がダメージを受けていることもあります。

歯のしみや喉の違和感、食後の咳などは一見まったく無関係に思えますが、あわせて相談することで隠れた原因に気づけることがあります。気になる変化があれば、別々の問題と決めつけず、ぜひ歯科医師に伝えてみてください。

Aさんは、咳を止めることだけでなく、「いつ出るのか」を記録するようになりました。歯医者での一言が、数ヶ月続いていた咳を医師に相談するきっかけになったのです。


参考:
胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(日本消化器病学会)
患者様とご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド2023(日本消化器病学会) 

執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。

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