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忘れ物する、遅刻する、段取りが苦手。その生きづらさには理由がある。当事者インタビューが教えてくれる、大人の発達障害のリアル【書評】

  • 2026.6.1
 ©町田粥/祥伝社 FEEL COMICS
©町田粥/祥伝社 FEEL COMICS

【漫画】本編を読む

『発達障害なわたしたち』(町田粥/祥伝社)は、発達障害と診断された人たちへのインタビューをもとに、さまざまな困りごとや生きづらさ、そしてそれぞれが工夫していることを描いたコミックエッセイである。作者自身と担当編集者も当事者であり、外側から語るのではなく同じ立場から話を聞き、ともに考えていく構成が大きな特徴だ。

登場するのは、ADHDやASDなど、さまざまな特性を持つ人たち。忘れ物や遅刻が続いてしまう、大事なことほど手が付けられず後回しにしてしまう、仕事の段取りが苦手など、困りごとは多岐にわたり、人によってまったく異なる。同じ「発達障害」という言葉で括られていても、症状の現れ方も、困っているポイントも、必要な配慮も、一人ひとり違うのだと教えてくれる。

印象的なのは、困りごとの原因が「努力不足」ではないと可視化される瞬間だ。本人の怠慢や性格の問題として片づけられてきたことに対して、別の視点が与えられる。それがどれほど救いになるか。本書には大きな説得力がある。

また、発達障害を必要以上に深刻に描いていないところも魅力だ。苦しみは確かに存在する。しかし同時に、特性を持つからこそ得意なことや、周囲の理解によって生きやすさが大きく変わることも示されている。当事者だからこそ知り得た、「できないこと」だけでなく「どうすれば暮らしやすくなるか」に目を向けている姿勢が前向きで読み心地がいい。

さらに専門書のような難しさはなく、ユーモアを交えたテンポのいい会話で、自然に知識が入ってくる。発達障害について詳しくない人にとっては入門書として、当事者やその家族にとっては「自分だけ、自分たちだけじゃなかった」と思えるだろう。

本書は当事者に対する理解のためだけでなく、「人それぞれの事情」に対して想像力を持つきっかけをくれる作品でもある。

文=ハサン

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