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寄り添わない。仲良くならない。でもそれがたまらない! 体格も性格も全く違う2匹の猫との「つかず離れず」の日常が愛おしい【書評】

  • 2026.5.21

【漫画】本編を読む

『うちの猫たちは気が合わない』(とみた黍/オーバーラップ)は、同じ家で暮らしながら、なかなか仲良くしない2匹の猫との日常を描いたコミックエッセイである。猫同士が寄り添い、毛づくろいをしあい、一緒に眠る姿に憧れる飼い主は多いだろう。だが現実は理想通りになるとは限らない。本作は、そんな「猫飼いあるある」をユーモラスに、そして愛情たっぷりに描いた作品だ。

登場するのは、著者・とみた黍氏の愛猫「きびお」と、とみた氏の弟の愛猫「ハル」。きびおは大きくてどこかどんくさく、ハルは小柄で身軽。性格も育った環境もまったく違う2匹は、同居することになっても仲良し猫にはならない。片方が近づけばもう片方が離れるなど、絶妙な距離を保つ。その噛み合わなさが、見ている側にはたまらなく愛おしい。

この「仲良しじゃないこと」に本作の魅力がある。猫にもそれぞれ個性や性格があり、べったりしない関係こそがその子たちらしさなのだと教えてくれる。つかず離れず、それでも同じ空間で暮らしている。それだけで、十分ではないかと思わせてくれる。

さらに、猫たちを見守る著者の視点も心地よい。思い通りにならない猫たちに一喜一憂しながらも、無理に仲良くさせようとはしない。ただ観察し、笑い、必要なときには手を差し伸べる。それは動物と暮らすうえで忘れてはならない姿勢だろう。

コミカルな描写も秀逸だ。のんびりしたきびおと、マイペースで強気なハルの日常の小さな出来事に、猫好きなら「わかる」とうなずきっぱなしになり、猫と暮らしたことがない人でもその姿に頬がゆるむはずだ。

仲良しじゃなくても一緒にいる。思い通りにならなくても愛情はある。本作が描くのは、少し不器用で、だからこそ愛おしい日々だ。猫との暮らしの豊かさを、存分に感じさせてくれる作品である。

文=Y・イノウエ

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