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全裸で倒れた父「苦労かけて申し訳ない」→せん妄から回復した父の“隠された本音”に「心が救われた」【作者に聞く】

  • 2026.5.17
「父が全裸で倒れてた。」カバー 作=キクチ
「父が全裸で倒れてた。」カバー 作=キクチ

右耳難聴や子宮内膜症など、自身の体験をわかりやすくコミカルな漫画で描いてきたキクチさん(kkc_ayn)。なかでも、母親の自宅介護と看取りがテーマのコミックエッセイ「20代、親を看取る。」では、自宅介護の現実や、“親との死別”と向き合うなかで複雑に揺れ動く感情が描かれており、同じ経験がある人や親の老いを感じ始めている同世代などから大きな反響を集めた。

※本作は著者の闘病体験を描いたコミックエッセイです。紹介している病状や治療の経過には個人差があり、医学的な見解を代弁するものではありません。気がかりな症状がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。

第1話1-1 作=キクチ
第1話1-1 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ
 第1話2-1 作=キクチ
第1話2-1 作=キクチ

コミックエッセイ「父が全裸で倒れてた。」は、母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れてしまう物語である。母の介護・看取りを経たことで落ち着いて対応できることは増えたものの、一人っ子として頼れる家族がいないなかで、キクチさんはさまざまな決断を迫られることになる。いつかは誰もが直面する“親の老いと死”について紹介する。今回は、本格的なリンパ腫治療の開始と、父からのビデオ通話に関するエピソードだ。

コロナから回復!本格的な治療開始と父からのビデオ通話

父親がコロナにかかってから少し経ち、担当医師に呼び出されたキクチさん。コロナで抗がん剤をストップしていたせいで腫瘍が大きくなっているという心穏やかではない報告だったが、コロナからは回復しつつあるため、ここから本格的に治療が始められるという。父が倒れてから約2カ月弱、さまざまな困難を乗り越えてきたなかで喜ばしい一歩だ。

「腫瘍が大きくなっていると聞いたときは、やはり不安になりました。それでも幸いなことに、やっと本格的な治療ができると聞いて安堵しました。これまでは身体がズタボロだったので、標準的な抗がん剤に耐えられる体力がないということから、様子を見ながら少量で投与するなどしていたのです。つまり本格的な治療ができるということは、父の体力も随分復活してきたということです。ここからがスタートラインだと感じました」

スマホで文字を打てるまで容体が安定した父親から、なんとビデオ通話がかかってきた。担当医師から「リンパ腫が悪くなっているかも」と聞いた直後だったが、“顔つぶれすぎ”な1コマやあっけらかんとした話し方からは、前著「20代、親を看取る。」でも描かれていた、元気だったころの父親に近い様子が見て取れる。実際はどうだったのだろうか。

「ビデオ通話を受けて映った画面が“コレ”だったので、本当に笑いました。いつもよりむくんだ顔が、余計につぶれた表情を誇張していましたし…。コロナに罹ってたとは言え、医師が言っていたようにほとんど症状がない状態で、かつ体力も復活してきたことから、元気だったころの父が戻ってきた印象でした」

せん妄の記憶を持つ父からの謝罪と、安堵の先の不穏な結末

父親は、自分がせん妄だったときのことを断片的に覚えていると話す。「苦労かけてしまっただろうから申し訳ない」という謝罪もあり、せん妄の症状が出ていた父親と対峙していたキクチさんにとっては、苦労が報われるような言葉となった。

「せん妄は脳の意識障害なので、まさか覚えているとは思いませんでした。今思えば『意識がありながらあんなひどいことを言ってたんかい!(笑)』と、突っ込まずにはいられないですが、過ぎ去ったことなので責める気にはなりません。でもやっぱり謝ってもらえると、心が救われました。実際、せん妄を振り返って謝ってくれる人なんて稀なのではないでしょうか。すごく私は幸せ者だと思いました」

コロナも全快に近づき、この先は本格的な治療ができると安堵したのもつかの間、不穏な締めくくりとなった今回のエピソード。つらい状況も淡々と、ときにクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画を、今後も楽しんでほしい。

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