1. トップ
  2. スポーツ
  3. ボールは赤線を超えた?超えてない?女子プロへの処置に注目

ボールは赤線を超えた?超えてない?女子プロへの処置に注目

  • 2026.5.15

プロゴルファーは、毎日ように試合でしのぎを削る。練習場でボールを打って技術を磨き、クラブなどの道具の調整にも余念がない。そして、技術や道具以上にルールに対する理解が深いことも、プロとして戦う上でとても重要で、それはアマチュアの感覚からはかけ離れたものであることもある。

超えた?超えてない?畑岡プロへの処置が話題

4月にラスベガスで開かれた「アラムコ選手権」最終日、1番ホール(パー4)のグリーンに筆者が2番から遡って到着したとき、すでに畑岡奈紗が1番のグリーン脇でルール委員を待っていた。どうも第2打がグリーン左を流れるクリークに入ってしまったようだ。

クリークとグリーンの境界線には赤線が描かれていて、畑岡はボールが最後にクロスした地点を特定して、ボールをドロップする位置の確認をルール委員に求めていたのだ。この時、グリーン脇にいたTVクルーの囁きが聞こえてきた。

ボールは赤線を超えた?超えてない?女子プロへの処置に注目
ドロップ位置付近

「畑岡のボールはレッドライン(赤線)を超えてない。絶対超えてない。でも、我々はそれを言う立場にはないんだ」これが本当なら、畑岡がドロップすべき場所は、グリーンの脇ではなく、グリーンからずっと手前の地点になりそうだった。この囁きは、さらに別のギャラリーからも聞こえてきた。

「私も見た。ボールはクロスしてなかった」こんな囁きを聞いている間に、畑岡はルール委員の指示に従ってドロップ位置を決め、ボールをドロップした。場所はグリーン上となり、第4打(パーパット)から2打でカップインしてこのホールをボギーとした。

ボールは赤線を超えた?超えてない?女子プロへの処置に注目
ルール委員を呼ぶ畑岡

これは誤所からのプレーになりかねないのではないか?と感じた筆者だったが、この時点でグリーン脇にやってきたルール委員に、先ほど囁いていたギャラリーが、畑岡のボールが赤線をクロスしなかったことを伝えた。するとルール委員とギャラリーは以下のようにやり取りを交わした。

ルール委員:「赤線とボールはどのくらい離れていましたか?」
ギャラリー:「30センチから50センチぐらいだった」
ルール委員:「考えられる妥当な範囲と言えるので、このままの処置で大丈夫です」

ボールは赤線を超えた?超えてない?女子プロへの処置に注目
ルール委員と確認

畑岡が第2打を打った時点で、グリーンの近くにTVクルーとギャラリー(数人)がいたのだから、畑岡はグリーン近くにいた人たちに、落ちた場所を尋ねて確認すべきでは?と言う思いが浮かんだが、この疑問に、あるプロキャディーが答えた。

「その必要はありません。このケースでは、畑岡選手は同伴競技者とボールが落ちたであろう場所を確認し、赤線を越えたという同意を得てボールの落ちた位置を決めてますよね。同伴競技者がそれでよしとしたならば、それで十分なんです。ギャラリーがいたとしても、その人たちが何も言わなければ、選手側からあえて聞く必要もありません。この場合の処置は、同伴競技者との同意が一番の鍵です」

ボールは赤線を超えた?超えてない?女子プロへの処置に注目
ドロップ後の第4打

ボールが落ちた位置が赤線から3ヤードも離れていれば、第2打を打った地点からでも赤線を越えていないことはわかるが、30センチ程度となると第2打地点から正確な地点を確認するのは難しいし、角度によっては越えたと見える場合もある。なので、ルール委員も同伴競技者の見解を確認して処置しているので、ルール上は問題ないのだ。

もし仮に、グリーン脇で見ていたギャラリーが大声で「ボールは赤線を越えてない」と叫んでいたとしたら、状況は変わっていたかもしれないが、今回は処置が終わった後に小声でルール委員に伝えたのと、ボールの落ちた位置と赤線との距離を聞いて、ルール委員も自身の判断を妥当と判断したと考えられる。

ボールは赤線を超えた?超えてない?女子プロへの処置に注目
ボギーパット

この時の模様がTVの映像で残っていたら、事態は別の流れになっていたかもしれないが、この時のTVクルーは撮影はしていなかった。予選会などギャラリーが誰もいない場合も大いにあり得ることを考えると、処置があくまでも同伴競技者との合意に成り立っていると言うのは納得がいくことだ。また一つ、ルールの勉強ができた。

フォトグラファー 田辺安啓 (通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

元記事で読む
の記事をもっとみる