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ゴルフは「宗教に似てる」?イップスの原因はボールだった!

  • 2026.5.9

〝イップス〞は「自分はならない」と思っていませんか?決して他人事ではなく、ゴルファーなら誰でもかかる。しかもゴルフを一生懸命やるほどかかりやすいんです!

なぜイップスにかかるのか、どんな症状が現れ、どうやって克服するのか。それを事前に知ることが、イップス予防の最善策になります。

ボールの素材の変更もイップスにつながった

前回にお話したミニドライバーもそうなのですが、ゴルフは道具の影響が占める割合が大きなスポーツです。私の年代くらいまでのゴルファーは、ドライバーの素材の変化とヘッドの巨大化を経験しています。私もパーシモンヘッドから経験して、ヘッド体積340ccくらいまでは問題なく扱えましたが、それより大きくなると、やはり気持ち悪いものがあった。今のミニドライバーはその当時の大きさですから、打ちやすさがあるのも納得できます。

ギアの変化は「ボールも」です。やわらかい糸巻きのバラタボールはフェースにしっかり食いついてくれて、スピンを入れやすかった。あの球の食いつきを活かしていたのですが、それがソリッドボールに変わったときに、思うような打ち出し角やスピンがかからなくなりました。それに加えて、グリーンがより整備されて硬く、速くなって止まりにくくなったため、しっかりとボールにインパクトすることができなくなった。これらも、ベテランゴルファーがイップスになってしまった大きな原因のひとつだと思います。

持ち球のドローをフェードに変えようとした

こうしたギアの進化のスピードに戸惑ってしまって、調子を崩した人が少なからずいます。

また、ツアーに出ていると、自分よりも遥かにレベルの高い人たちとも接することになりますから「戸惑い」は調子を崩す原因になる。それまでに確固たる技術の裏づけがなくてうまくいっていたりすると、それをきっかけに大きく崩れてしまう。私の場合は、その両方の要素がありました。練習はもちろん必死にやっていましたが、調子を崩してから努力しても余計におかしくなるだけ。

必死に練習するといえば、子どものときからずっと持ち球だったドローを、ツアーを戦ううちにフェードも打ちたいと思い立ったことがあります。そのときの練習でいろいろやっているうちに、スイングの調子を崩してしまったのかもしれません。思うようにフェードを使いこなせないと感じたので元のスイングに戻そうとしたのですが、もう戻らなくなりました。はっきりはしませんが、今考えてみるとイップスのきっかけはそのあたりにあったかもしれません。

動画で観るスイングが弊害を生んでいる

フェードを諦めて、元のドローでやっていこうと思うまでに、ものすごい練習と試合数を費やしていきましたが、何をやってもダメみたいな状況になりました。思い描いたボールが、どうやっても打てなくなると、クラブも毎試合のように替えるし、スイングもいろいろと変えてしまう。でもそれは、調子を崩したなかでの感覚でやっているものだから、まったくうまくいかないんですよね。

今のゴルファー、とくにジュニアなんかはそうですが、まだ体も出来上がってないうちに、スイングを動画で撮って、スローで見て分析しながら、ここをこう動かそうとか、こう直そうとかしていると、逆に体は動きにくくなります。細かな動きを意識しすぎると、スムーズに体を動かせない。それはイップス予備軍になりかねません。若いうちは感性を鍛えたほうが絶対にいいでしょう。

信じられるものがゴルフを強くする

ゴルフは「宗教に似てる」?イップスの原因はボールだった!
「信じるものがあるほうがゴルフは強い。疑うとキリがありませんから」(神山)

私たちが若いころは、雑誌にスイングの連続写真が載っていてそれを研究しました。今のゴルファーはYoutubeですよね。私も相談されたりしますが、誰がこういったとか、あの人はこういっているとか、いうことがみんな違う。ゴルフが好きで研究熱心な人ほど、いろいろ観てしまって深みにハマりやすくなります。

私なら、片山晋呉プロをお勧めしますね。彼のやってきた経験や実績は裏づけがありますから。実績のない人もいろいろと発信していますが、それが正しければその人もツアーで戦っているくらいになってないとウソでしょう(笑)

ただ、ゴルフの理論は、宗教に似ているところもあって、何が正しいというよりも、誰の何を信じるかなんです。ある種、自分の感覚を抑えてでもそれを信じてやる。「これをやれば救われます」というものがあるかないか。ゴルフは疑いだしたらキリがないから、信じられるものがあるほうが強い。

私は2015年にツアープロを引退しましたが、今でもゴルフはしています。60台前半のスコアが出ることもありますが、私にとって今のゴルフは別物ですね。トーナメントの強烈なプレッシャーや怖さがないものは、ゴルフとは思えない。散歩のようなものです(笑)。それでも楽しいですよ。イップスもほとんど出ませんから。

いかがでしたか? イップスは誰でもなる可能性があるので、なる前に信じられるものを見つけてみてはいかがでしょうか。

解説=神山隆志
●かみやま・たかし
1973年生まれ、東京都出身。プロ入り7年目の2004年、「JCBクラシック」で初優勝し、賞金ランキングも8位とブレイクを果たす。2000年代後半から、深刻なティーショットイップスに陥る。現在は競技からは離れ、日神グループホールディングスの代表取締役社長を務める。

構成=コヤマカズヒロ
写真=田中宏幸

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