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走行ラインはどう作る? アウト・イン・アウトとV字ライン|第2回 クリッピングポイントでつなぐコーナリングの基本

  • 2026.5.5

サーキットでのライン取りは、どこを走るかを正しくイメージできるかどうかで大きく変わります。基本となるのは“アウト・イン・アウト”ですが、近年はそこに「V字ライン」という考え方が加わり、より効率的なコーナリングが求められています。ここでは初級編として、ライン取りの基本と実践的な考え方を分かりやすく解説します。

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA

取材協力/本田技研工業 0120-086819

https://www.honda.co.jp/motor/

ライン取りの基本はアウト・イン・アウトとV字ライン

まずは初級編です。サーキット走行に慣れていない方でも、“アウト・イン・アウト”という言葉は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ライン取りの基本となるのは、まさにこのアウト・イン・アウトです。

なぜアウト・イン・アウトが重要なのかというと、コース幅を最大限に使うことでコーナーの曲率を緩くできるためです。イン側をトレースするほうが距離は短くなりますが、曲率がきつくなるぶんコーナリングスピードは上げにくくなります。その点、アウト・イン・アウトのライン取りであれば、同じ速度でもバンク角に余裕が生まれ、安定したコーナリングにつながります。

アウト・イン・アウトは、ヘアピンや90度コーナーなど単一のコーナーでの基本セオリーです。複合コーナーやS字のような切り返しでは応用が必要になりますが、まずはこの基本を身につけることが重要です。

V字ライン|アウトインアウト|サーキット|ライテク
【典型的なライン取り失敗例はインに付くのが早いこと】特にビギナーの場合、進入初期段階でコーナーのアウト側に飛び出しそうな恐怖心や、手前の直線区間でしっかり車速を伸ばせていないのにブレーキング開始が手前すぎることなどから、進入で早めにダラダラとインに寄せがち。その結果、鋭く曲がるタイミングを逃し、マシンの向きが変わっていないうちからスロットルを開けてアウトに膨らむ悪循環に……

さらに近年は、アウト・イン・アウトの中でも「V字ライン」が主流になりつつあります。これは旋回中のスピードをしっかり落とし、フルバンクの時間を短くしながらコンパクトに向きを変え、できるだけ早く車体を起こして加速する走り方です。特に大排気量のスポーツバイクでは、車重とトルクが大きいため、この考え方が非常に有効です。

軽量な小排気量マシンでは、高い速度を維持しながら旋回するスタイルも可能ですが、重量のあるマシンでは遠心力が大きくなりリスクが高まります。また、タイヤのエッジ付近では大排気量のパワーを受け止めきれず、立ち上がりでスロットルを開けてもトラクションが逃げてしまう場合があります。こうした問題を解決するのがV字ラインです。

V字ライン|アウトインアウト|サーキット|ライテク
【V字ライン成功に必要なのはしっかり速度を落とすブレーキング】進入で理想的なラインをトレースできていても、イン側に寄せる段階で車速を確実に落とせていないと、コーナーの中間付近でマシンを深く寝かすことができない。これによりクリップにつけず、ワイドなラインとなり、なおかつ立ち上がり側で加速態勢に移行するのも遅れてしまう

ここでいう「V字」はあくまでイメージですが、コーナー内でマシンの向きを変えるポイントを明確にすることが重要です。そして、このV字ラインを実現するためのカギとなるのがクリッピングポイントです。立ち上がり側、つまり奥にクリッピングポイントを設定することで、直線的にマシンを起こし、より早く加速に移ることができます。

そのためには進入時にしっかりアウト側を使うことが欠かせません。アウト側が迫ってくる感覚やオーバーランの不安を感じるかもしれませんが、インに寄せるタイミングが早すぎる場合は、ブレーキング開始をわずかに遅らせることで理想的なラインに近づけることができます。

繰り返しになりますが、V字ラインの目的はマシンのパワーを最大限に生かしつつ、コーナリングのリスクを減らすことです。この走り方を身につけることで、同じペースでも余裕を持って走れるようになります。

V字ライン|アウトインアウト|サーキット|ライテク
【ハードブレーキングがV字ラインにつながる!?】減速のためのブレーキング区間が手前すぎる(進入初期での車速が低すぎる)と、早めにマシンをイン側に寄せがち。ムリのない範囲で、少しだけブレーキングを頑張る意識を持つほうが、しっかりアウト側からアプローチしやすくなる
V字ライン|アウトインアウト|サーキット|ライテク
【2スト時代は今ほどのV字ラインではなかった】4ストと比べて2ストは軽量で旋回中の負荷が少なく、一方でエンジンは高回転型である程度の回転数を維持した走りも求められたため、高めの車速をキープしながらフラットなラインで旋回する傾向。現代でも小排気量車はこれに近い

(中野真矢)

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