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温泉ボイラー更新に3,000万円超…バブル期リゾートマンション購入前に確認すべき「落とし穴」

  • 2026.5.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年でマンション管理士の資格を持つ、ライターの西山です。近年は親からリゾートマンションを相続したり、ワーケーションの拠点や老後の趣味として格安物件の購入を検討したりする方が増えています。

豪華な設備に惹かれて手に入れたものの、後になって多額の維持費に苦しむケースは少なくありません。今回はバブル期に建てられたリゾートマンションが抱える大型設備の更新問題と、所有者が直面する選択肢について解説します。

バブル期物件に迫る設備の寿命と深刻な修繕積立金不足

1980年代から90年代のバブル期に大量供給された物件の多くが、すでに築30年を超えています。それに伴い、温泉ボイラーやサウナ、大浴場やプールなどの大型設備が一斉に寿命を迎えている状態にあるといえるでしょう。

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」によると、大規模修繕の周期は12年から15年が目安とされ、築30年程度までに2回の実施が想定されています。リゾートマンションも居住用と同様に修繕が欠かせません。

しかし、利用頻度の低さや遠方に住む所有者が多いため、修繕積立金の積み上げが計画通りに進まない問題があります。業界実感値として温泉ボイラーは単体で1,500万円から2,500万円かかり、配管や温泉源の管理を含めると3,000万円超の負担になるケースが多いのが現実です。そのため、多額の更新費用を捻出できない管理組合が増えています。

設備廃止を阻む特別決議の高いハードルと管理組合の苦悩

資金が不足する管理組合に迫られる選択肢は、主に以下の3つです。

  • 修繕を実施して一時金を徴収するか
  • 設備を廃止して解体するか
  • 休止のまま現状維持とするか

最終手段として、管理組合の解散と敷地売却に踏み切るケースもありますが、こちらは合意形成が極めて難しい選択肢となります。ここで最大のボトルネックとなるのが区分所有法の規定です。

大浴場などの大型共用施設の廃止は「共用部分の重大な変更」に該当するケースが多く、原則として区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成による特別決議が求められます。所有者の高齢化や相続未登記に加えて、連絡が取れない所有者の割合が一般のマンション以上に高い物件では、この合意を集めるのは容易ではありません。

結果として廃止も修繕も決断できず、壊れた設備をそのまま放置する休止状態に追い込まれる物件が多く存在します。

設備休止でも残る固定費と負動産化を防ぐための確認事項

設備が稼働していない休止状態であっても、温泉源の基本契約料や保守契約料などの固定費は発生し続けます。管理費や修繕積立金が高止まりしたままとなり、売却しようにも買い手がつかない負動産化が進んでしまう構造です。

これから購入や相続の対応を検討する際は、慎重な判断が求められます。必ず仲介会社を通じて、長期修繕計画書や設備更新の予算計上状況を確認してください。あわせて重要事項調査報告書で修繕積立金の滞納状況を、総会議事録で大型設備の更新議論の経緯を把握しておくと、管理組合の実態が見えてきます。

温泉やプールなど豪華な設備をアピールする物件ほど、将来の高額な更新コストと表裏一体であるという、冷静な視点を持って見極めてみてください。

参考: 長期修繕計画作成ガイドライン(国土交通省)



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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