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「なんのためのタワマンなのか」GWに両親を招くも“まさかのビジホ泊”…30代夫婦を襲った大誤算【一級建築士は見た】

  • 2026.5.13
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

「ゲストルームもプールもジムもある。連休はわざわざ旅行に行かなくても、家で十分楽しめると思ったんです」

そう話すのは、都内のタワーマンション(地上40階建て・27階の3LDK・約75㎡)を約9,200万円で購入したIさん(30代夫婦・子ども1人)です。

管理費と修繕積立金は合わせて月約5万8,000円。共用施設の充実ぶりが決め手のひとつだったといいます。

ところが、GWに実家の両親を招いてゲストルームに泊めようとしたところ、予約はすでに2か月前から埋まっていました。BBQスペースもプールも、連休中はすべて満室。

「結局、両親は近くのビジネスホテルに泊まることになって…なんのためのタワマンなのか分からなくなりました」と振り返ります。

共用施設は「全戸で奪い合うもの」

タワーマンションの広告で目を引く豪華な共用施設ですが、ここに大きな盲点があります。施設の数は限られているのに、それを全戸で共有するという構造です。

たとえば500戸規模のタワマンで、ゲストルームが2部屋、BBQスペースが1区画というのはよくある構成です。単純計算すると、250戸で1部屋のゲストルームを共有していることになります。GWやお盆、年末年始など、誰もが使いたいタイミングは集中するため、予約は数か月前から埋まるのが普通です。

ジムやラウンジも同様で、平日夜や週末は混雑しがち。「いつでも使える」という感覚で購入すると、入居後にギャップを感じやすいポイントです。

「無料で使える」とは限らない

もう一つ見落とされやすいのが、共用施設の利用料金です。

タワーマンションの広告では「ゲストルーム完備」「BBQスペース利用可」と書かれていることが多いですが、これらの施設は管理費とは別に、利用のたびに料金が発生するケースが少なくありません。

Iさんのマンションでも、ゲストルームは1泊1万2,000円、BBQスペースは1回3,000円の利用料が必要でした。

「管理費を払っているのだから無料だと思っていた」という声は、入居後によく聞かれます。利用料金そのものは特別高額ではないものの、「タワマンに住んでいれば気軽に使える」というイメージとは違うのです。

Iさん夫婦はどう向き合ったのか

予約争奪戦に敗れたGWの後、Iさん夫婦は共用施設との付き合い方を見直しました。

ゲストルームは、お盆や年末年始など繁忙期の利用は早めに諦め、平日に予約を取るようにしました。BBQスペースは混雑する週末を避け、平日の夕方に家族だけで使うスタイルに。ジムは入居後ほとんど使っていなかったため、近所の月会費制ジムに切り替えました。

「共用施設を理由に管理費を払い続けるより、本当に使うものだけを生活に組み込む方が現実的だった」とIさんは話します。タワマンを最大限に活用するというより、暮らしの優先順位を整理する方向にシフトしたのです。

「タワマンの共用施設」が活きる人もいる

ここまで盲点を中心に紹介してきましたが、タワマンの共用施設が暮らしにフィットする人もいます。

たとえば、平日の夜や日中に時間を取りやすい人。混雑する週末を避けてジムやラウンジを使えるため、施設のメリットを十分に享受できます。在宅勤務で時間の融通がきく人や、シフト勤務の人も、混雑時間帯を外して使いやすい立場です。

また、頻繁に来客があるわけではない人にとっても、「年に数回の来客のためにゲストルームがある」のは便利です。来客時にホテルを予約する手間を省けますし、子どもの友人を泊める、両親が短期間滞在する、といった用途にも使えます。

ジムも、毎日のように通いたい人ではなく「気が向いたときに30分だけ運動したい」という使い方の人には、わざわざ外のジムに通うより便利です。

「最大限活用しよう」と気負わず、生活の中で自然に取り入れられる人にこそ、共用施設の価値が活きるのです。

「設備」より「使えるかどうか」で判断する

タワーマンションの共用施設は、確かに魅力的です。

ただ、その魅力を享受できるかどうかは、「自分の生活リズムで実際に使えるか」にかかっています。検討段階で確認しておきたいのは、以下の点です。

・施設ごとの戸数あたりの数(ゲストルームは何戸に1部屋か)
・繁忙期の予約開始時期と過去の予約状況
・施設ごとの利用料金と支払い方法
・メンテナンスや季節による使用不可期間
・利用に年齢制限や同伴ルールがあるか

豪華な施設の写真や眺望のパースは、生活そのものを保証するものではありません。「住んだあとの自分」が本当にそれを使えるか。その視点で見ておくことが、入居後の後悔を防ぐ第一歩になります。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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