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なぜZ世代はレコードを買うのか?ストリーミング時代に「本物」を求める理由

  • 2026.4.21

ストリーミングが当たり前のZ世代が、なぜレコードにお金を使うのか。レコード・ストア・デイを機に、米Esquireがその深層心理に迫った。そこにあるのは単なるレトロ趣味ではなく、「自分たちが経験できなかった時代」へのあこがれだった。(フロントロウ編集部)

レコードに群がるZ世代、その光景

米Esquireが報じたところによると、ある冬の日、2001年生まれのライターが友人とともにマンハッタンのレコードショップ「ラフ・トレード」を訪れた。店内には、全身黒ずくめの若者から、グレイトフル・デッドのTシャツを着た年配の男性まで、あらゆる世代が所狭しと並んだレコードの棚を夢中でめくっていた。

1枚あたり平均約30ドル(約4,500円)——同じ音楽がストリーミングで月額数百円から聴けるにもかかわらず、ウィーザー、ザ・ストロークス、ビーチ・ハウスといったアーティストのレコードを手に取り、アルバムアートをじっくり眺め、次に何が出てくるかわからないわくわく感を味わう。この体験に、Z世代はお金を払う価値を見出している。

ストリーミング時代に「物」を持つということ

このライターが最終的に選んだのは、マジー・スターの『So Tonight That I Might See』、ジン・ブロッサムズの『New Miserable Experience』、そしてザ・サンデーズの『Static & Silence』の3枚。昭和後期〜平成初期にリリースされた作品だ。

音楽ミュージカル『チェス』に夢中になったとき、オリジナル・ブロードウェイ・キャスト盤のレコード(1988年)を中古レコードマーケットプレイスのDiscogs(ディスコグス)で約35ドル(約5,250円)で購入した話も紹介されている。手元に届いたジャケットの中には、写真、歌詞カード、あらすじが丸ごと入っており、「デジタルでは絶対に手に入らないものがあった」と振り返っている。

デジタルの世界では、何百万人もの人が同じ楽曲をまったく同じ音質で、いつでも、何度でも聴ける。一方でレコードは、盤についた傷やノイズさえも「それだけ愛されてきた証拠」になる。自分だけのものとして手元に置き、棚に並べ、針を落とす、その一連の行為が、音楽と「自分」をつなぐ感覚をつくり出すようだ、わたしはミレニアル世代だが当時のレコードをディグる行為含め、知らない曲に出会える感動が記憶に新しい。

経験してもいない時代への、ノスタルジー以上の感情

米Esquireのライターは、このレコード熱を「ノスタルジー」とは少し違うものとして説明している。上の世代——ミレニアル世代やX世代、ベビーブーマーたちは、レコードやカセットテープが存在した時代を実際に生きた。だから彼らには「あの頃が恋しい」と言える権利があるし、最新の楽曲が当時のカセットテープやレコードとして売られているのをみると思わず手ににとってしまうのも頷ける。

しかしZ世代は違う。ストリーミングが生まれた頃から育ち、幼少期はSNSに記録され、卒業アルバムはFacebookのタイムラインに埋もれた。「自分たちが経験できなかった時代への、喪失感とも呼べない切なさ」を抱えて生きていると語った。

レコードを買い、針を落とし、音楽に向き合う時間をつくることは、Z世代にとって単なるレトロ趣味ではない。常にオンラインで、常に何かを消費しつづけるデジタルの洪水から距離を置き、「ここに確かに存在するもの」を手に入れようとする、静かな抵抗なのかもしれない。

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