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「GINZA SIX」とダイケイミルズの協業アートプロジェクト「A Tree」から生まれた作品が完成

  • 2026.4.21
Hearst Owned

2025年春に始動した、吉野杉に焦点を当てたアートプロジェクト「A Tree(エイ・ツリー)」が進行中だ。Phase 2として、国内外のデザイナーやアーティスト6組が作品を制作し、全作品が完成。現在、GINZA SIXのレストスペースに展示されている。

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「A Tree」は、「GINZA SIX」とダイケイ・ミルズによる3年にわたるアートプロジェクト。吉野杉という素材自体を主役に、これが家具や小さな建築として進化していくプロセスを多角的に見せていく。Phase 1では、ダイケイ・ミルズの中村圭佑が、豊永林業、大谷木材とともに木材がカットされた姿をそのまま生かしたベンチを制作した。

Phase 2からは、デザイン・レーベルE&Yが参画し、中村が「素材へのリスペクトがあり、真摯に向き合ってくれるようなアーティストたち」と評する6組——フェイ・トゥーグッド、マックス・ラム、ファビアン・カペッロ、リオ・コバヤシ、クオ・デュオ、シーン・シーン——が参加。中村は、それぞれに1本20~25mの丸太を渡し、そのうちの5mを使ったプロダクトの制作を依頼。2025年10月から完成作が段階的に披露され、今回、全6作品がそろった。

<写真>左上から時計回りに、シーン・シーン、クオ・デュオ、リオ・コバヤシ、フェイ・トゥーグッド、マックス・ラム、ファビアン・カペッロ。

DAISUKE SHIMA / Hearst Owned

フェイ・トゥーグッドは、英国のデザイナー。インテリアやホームウェア、ファッションを媒体に多彩な表現を行う彼女は、吉野山を訪れた際、森の静けさに満ちた精神的な気配に強い印象を受け、“FIVE SPIRITS, ONE SUGI”を制作。吉野の森に生きる5匹の動物と1本の杉の木にまつわる物語をデザインに落とし込んだ。

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家具やプロダクトデザインにおいて、革新性と実験的な手法で広く評価されているマックス・ラムは、自身の作品を“Cedar is a Soft Wood(杉は、やわらかい木である)”と命名。デザインしたのは、2mmの切れ込みを入れた、やわらかくしなる背もたれをもつ杉丸太の椅子と、切り落とされた端材から生まれる、小さく素朴なスツールだ。

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ファビアン・カペッロは、メキシコを拠点に、家具やプロダクトを手がけるデザインスタジオを主宰。自身がデザインしたベンチ“Multi”について「『座る』という行為を、パブリックな体験へと変えるもの」と表現する。公共ベンチとしての技術的なベースを保ちつつ、カラフルな木材を取り入れることで、現代的で親しみやすい雰囲気をまとわせた。

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栃木県出身、ロンドン在住で家具からインテリア、彫刻まで手掛けるリオ・コバヤシの“Edisni tuo(or Inside Out)”は、反転、動き、そして文化の再解釈といったテーマを探求した家具シリーズ。内側に海苔を巻いた「裏巻き寿司」が日本料理に対する西洋的な再解釈であるように、本作も「当たり前」を反転させるもの。樹皮は残され、切断面があらわになり、通常は捨てられる部分が要素として前面に出された。

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ソウルを拠点とするインダストリアルデザインスタジオで、デザイナーとしての活動に加え、クリエイティブディレクションも行うクオ・デュオが完成させたのは、椅子“KIRI KAUBU”。着想源は、その名の通り、吉野の森で見つけた切り株だ。クオ・デュオは、1本の木を9つに分割。そのうち4つを再構成し、旋盤で削って円柱状の土台に。残りの5つは板材として座面や背もたれなどの構成要素に使用した。精密なカッティングと木工旋盤加工により、辺材と心材の微妙な色彩のグラデーションや年輪の質感が際立つ。

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シーン・シーンは、東京を拠点に活動するデザイナー。家具をはじめとする少量生産のオブジェクトや、空間設計、コミッションワークを手掛ける。明治期に植林されたと推定される吉野杉を素材にした“Tou Tou”は、林業史や現場での観察を踏まえて制作。斧で割る「間割(けんわり)」の痕跡と、(現代林業の現場で使われる)重機をモチーフにしたステンレス製ジョイントを組み合わせ、素材と技法の対話を表現した。

「A Tree」から生まれた作品は、現在GINZA SIX、3階から5階の中央吹き抜け周りレストスペースに展示中。今回の第2フェーズに続くPhase 3では、同アーティストたちに丸太の(20~25mから5m分を除いた)残りを自由に使ってもらい、小さな建築に挑戦してもらう予定だ。

吉野の山に生える杉の名残りを感じさせる作品に触れて、1本の木が製品となり、人々の手に渡るまでに辿るプロセスへと思いをはせてみてはいかがだろうか。

A Tree
会場/GINZA SIX 3F〜5F 中央吹き抜け周りレストスペース
住所/東京都中央区銀座6-10-1

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