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建築家・畑友洋がすすめる「神戸建築祭2026」で見るべき名建築5

  • 2026.4.16
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5月8日から10日まで開催が予定されている「神戸建築祭2026」。建築を“鑑賞する”という文化が広がり、建築との向き合い方そのものが変わりつつある今、「神戸建築祭」はその魅力を体感できる貴重な機会となる。港町である神戸に点在する多彩な建築を通して、歴史や都市の記憶、そして設計者の思考に触れる3日間だ。今回は、神戸を拠点に活躍する建築家・畑友洋に、この機会にぜひ見てほしい名建築をセレクトしてもらった。神戸という都市の魅力をより深く感じられる、5つの建築を紹介する。


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デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)

「神戸の都心三宮の港際に位置する旧絹糸の輸出のための検査所として1927~1932年にかけて建設された建築を改修し、神戸市がユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市に認定され、その創造の拠点として生まれ変わった建築です。壁や天井の随所に、世界に向けて国際化する日本の国力、文化の粋を誇示するようなヨーロッパのゴシック様式を基調とする様式を見ることができます。また階段部分の擬石や内外壁に用いられたスクラッチタイルなど、日本の職人が持てる技術と創意によって生み出した矜持を感じることができます」

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デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
神戸市中央区小野浜町1-4

建築情報/デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
竣工年: 旧館 1927年、新館 1932年
設計:旧館 清水栄二 、新館 置塩章
施工:神戸市

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神戸商工貿易センタービル

「神戸港開港100年記念事業として建設された、地上26階・高さ107mの西日本初の超高層ビルです。1995年の阪神・淡路大震災では構造的損害がほぼなく、すぐに復旧しました。人工地盤で持ち上げられたロビー階における円形モジュールのシステム天井によるおおらかにつつみこまれるような空間、建物角の四隅を隅切りしバルコニーとし、そのバルコニーを結ぶように対角線上に設けられた各階の内部通路の計画など、構造、安全性、合理性を兼ね備えた骨太な建築の姿を見ることができます」

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神戸商工貿易センタービル
神戸市中央区浜辺通5-1-14

建築情報/神戸商工貿易センタービル
竣工年:1969年
設計:日建設計
工事施工:鹿島建設

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海岸ビルヂング

「貿易会社兼松商店の本店として建設された建物です。設計は神戸地方裁判所などを手掛けた河合浩蔵です。旧外国人居留地の南端に位置しており、内装もさることながら、壁面線を通りに沿ってそろえたファサード(外壁面)など、当時の旧居留地というヨーロッパの街区構造を今に伝える建築です。この建築のファサードの前に立つと、この壁面と連続して、びしっとそろえられた壁面線の先に船溜まりがあり、盛んに様々な人やもの、情報が行きかっていたことに思いを馳せることができる場所です」

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海岸ビルヂング
神戸市中央区海岸通3-1-5

建築情報/海岸ビルヂング
竣工年:1911年
設計:河合浩蔵
施工:旗手組

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神戸市立博物館

「『神戸市立博物館』は、開港後に形成されたいわゆる旧外国人旧居留地の西洋的街区の中で、対外金融を担う横浜正金銀行として建てられました。整然としたグリッド街路と呼応する左右対称の古典主義建築は、国際都市神戸における近代国家の信用を可視化しているように見ることもできます。現在は博物館として、居留地の歴史的文脈を継承しつつ、経済の場から文化の場へと意味を転換している建築です」

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神戸市立博物館
神戸市中央区京町24

建築情報/神戸市立博物館
竣工年:1935年、増改築竣工1982年
設計:桜井小太郎
増改築設: 神戸市、坂倉建築研究所
増改築施工:竹中工務店

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湊川隧道

「『湊川隧道』は、1901年に築かれた日本初期の近代河川トンネルであり、建築というよりは土木構造物です。当然ですが人が中で過ごすために生み出されたものではありませんが、煉瓦と石積みによるアーチ構造は土圧に合理的に応答しつつ、内部に連続するリズムと荘厳な陰影を生み、土木構造物ならではのスケールから、計り知れない深い闇へと吸い込まれるような壮大性を感じることができます。暗渠化された河川は都市の地下にもう一つの流れを形成し、インフラが都市の見えない骨格として機能してきたことを理解できる場所です」

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湊川隧道
兵庫県神戸市兵庫区湊川町9-1

建築情報/湊川隧道
竣工年:1901年
設計:湊川改修株式会社
施工:大倉土木組(現大成建設株式会社)

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畑友洋(Tomohiro Hata)

1978年兵庫県生まれ。京都大学大学院修了後、高松伸建築設計事務所を経て、2005年に畑友洋建築設計事務所を設立。神戸を拠点に活動し、現在は神戸芸術工科大学准教授、京都大学非常勤講師を務める。土地の微細な高低差や歴史の積層を風景として捉え直し、建築へと昇華させるアプローチを特徴とする。代表作に「大地の家」など。近年は神戸・新港エリアの「TOTTEI 緑の丘」など、都市やランドスケープにまたがるプロジェクトにも取り組む。住宅から都市スケールまで幅広く手掛け、国内外で高い評価を受ける。

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