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紫外線より実は強力!【近赤外線】がシワやたるみの原因かも!? 対策法を医師が解説

  • 2026.4.14

紫外線より実は強力!【近赤外線】がシワやたるみの原因かも!? 対策法を医師が解説

加齢による老化とは別に、太陽光を浴びることで肌がダメージを受ける「光老化」。今や紫外線対策は美肌づくりのための常識ですが、実は光老化から肌を守るにはそれだけでは不十分なんです。知っておくべき最新の光老化対策をご紹介!

教えてくれたのは
田中洋平さん クリニカ タナカ 形成外科・アンティエイジングセンター院長

たなか・ようへい●医学博士。信州大学医学部卒。
開業医として診療を続けながら、アンチエイジングや発毛分野でさまざまな研究を行い、国際誌での論文発表や国際学会での講演を精力的に行っている。
新潟薬科大学客員教授。
著書に『近赤外線ケア美肌術』(光文社)。

紫外線より強力! 近赤外線に要注意

太陽光の中でも近年、「老化光線」として注目されているのが近赤外線。近赤外線研究の第一人者、田中洋平さんにお話を伺いました。

そのシワやたるみ、近赤外線の影響かも!

地上に届く太陽光線は、私たちの目に見える「可視光線」の他、「紫外線」「赤外線」の3つに分けられる。太陽からの光エネルギーは生命活動に不可欠なもので、可視光線がなければ世界は真っ暗闇になってしまうし、赤外線にはポカポカと体を温めてくれる作用が。また、紫外線には皮膚内でビタミンDを生成したり、殺菌・消毒作用があったりと、それぞれにプラスの作用がある。

一方、私たちの体にマイナスの作用を起こす側面があるのも事実だ。肌が白く紫外線に弱い人が、日常的に無防備に紫外線を浴びるとシミ、そばかす、シワなどの老化を招き、皮膚がんの原因にもなることはよく知られている。近赤外線もそんな老化光線の一つ。

「長年、光老化の主犯は紫外線だと考えられてきましたが、近年の研究により、近赤外線も肌にダメージを与えることがわかってきました。太陽光から降り注ぐ光エネルギーの中で、紫外線が占める割合は10%に満たないのに対し、近赤外線が占める割合は50%以上。生体に及ぼす作用は紫外線よりもはるかに大きいと考えられます。皮膚が薄く弱い人が無防備に近赤外線を浴び続けると、発赤(ほっせき)、発汗、水泡(すいほう)を引き起こすだけではなく、シワ、たるみを招く可能性も! 近赤外線についてはまだまだ解明されていないことが多いのですが、紫外線以上に注意すべき存在なのです」

筋肉が薄くなってたるみを引き起こすことも!

下の図を見てほしい。紫外線の中にもいくつか種類があり、そのうち地表に届くのはUVAとUVBの2つ。波長の短いUVBは表皮に炎症を起こし、メラノサイトという細胞を刺激して、メラニンを作り出す。このメラニンは、紫外線から肌を守る働きがあるものの、過剰に作られるとシミや色素沈着につながる。一方、UVBよりも波長の長いUVAは、真皮部分にまで到達するため、コラーゲン繊維を破壊・断裂させ、シワを引き起こす。

「近赤外線はこのUVAよりもさらに皮膚の奥深く、筋肉にまで届きます。ラットに近赤外線を照射する実験を行ったところ、時間の経過とともに筋肉が薄くなり、6カ月後にはペラペラになってしまうことがわかりました。つまり、強い近赤外線を過度に浴びると、皮下組織を支えている筋肉が薄くなったり萎縮したりして皮膚を支えきれなくなり、肌のたるみを引き起こすのです」

紫外線よりもはるかに多く地上に降り注ぐだけではなく、なんと筋肉にまで到達するとは! そのパワーたるや恐るべしだ。

「ただ、近赤外線の適度な曝露は、痛みを和らげたり傷の治りを早めたりするため、医療現場で古くから行われてきました。現在はがん治療にも使われています。また、皮膚を即時的に引き締め、コラーゲンの再合成を高める作用があるため、上手に使うことで逆にシワ・たるみ取りに活用できるメリットも。近赤外線は肌に大きなダメージを与える存在ではありますが、功罪両面があることは知っていただきたいですね」

近赤外線は筋肉にまで到達する!

無防備に肌を露出させないことが何より大事

では、近赤外線のダメージから肌を守るにはどうすればよいのだろうか?

「長時間太陽光にさらされる場合には、なるべく長袖、ロングパンツを着用して、肌の露出を避けることが第一でしょう。帽子や日傘などを活用するのもいいですね。肌を露出して日常生活を送りたい人や、皮膚が薄く太陽光に弱い人は、紫外線だけでなく、近赤外線カットができる日焼け止めを塗布してください。ただし、市販されている日焼け止めの多くは紫外線用なので、近赤外線カット効果はほとんどないことに注意が必要です」

また、太陽光からガードすべきなのは肌だけではない。目は体表面に露出しているため、太陽光の影響を受けやすい。紫外線と同じく、近赤外線も長く浴びることで白内障の原因になるという。

「医学界でもその危険性が指摘され、近赤外線に対する防御基準まで設けられています。世界中に紫外線カットの眼鏡は普及していますが、白内障の患者が減らないのは、近赤外線をカットしきれていないことも原因の一つだと考えられます。近赤外線と紫外線の両方をカットできる眼鏡やサングラスを着用してみてください。近赤外線は太陽光だけではなく、電球やテレビ、パソコンのモニターなどの電化製品からも多量に放射されています。長時間、日に当たるときやパソコンの画面を眺める際にこうした眼鏡をかけると、目の疲れも違ってくるはずです」

以上のように、近赤外線対策の基本は、太陽光に肌や目を無防備にさらさないことに尽きる。とはいえ「光老化が怖いからといって、あまり神経質になりすぎないで」と田中さんは言う。

「皮膚が薄くダメージに弱い人は特に注意すべきですが、光老化を気にするあまり外出を制限してしまったり、15分ごとに日焼け止めを塗り直したり、ビクビクしながらアウトドアで過ごすなんてナンセンス。神経質すぎるのは考えものです。最低限の光老化対策はしたうえで、自身のやりたいことを優先して、人生を笑顔で、思いっきり楽しむのが一番です」

近赤外線(NIR)に強くなる! 体づくりのポイント

スキンケア

洗顔のしすぎはNG。しっかり保湿を

テカったりベタついたり化粧崩れを招いたり。多くの女性から嫌われがちな皮脂だが、実は近赤外線を効率よく反射し、皮膚の深部組織を守ってくれる頼もしい存在。朝起きると顔が脂ぎっていることがあるが、それは皮脂を蓄えて、日中の近赤外線曝露に備えているとも考えられる。洗顔をしすぎたり、ゴシゴシこすって洗ったりすると、せっかくの皮脂による防御機能が落ちてしまうのでNG。また、肌が乾燥するようならしっかり保湿を。

食事

肌のためにはできる限り生の食材を!

コラーゲンやヒアルロン酸をたっぷり含み、皮膚の表面に水分をしっかり蓄えている肌こそが近赤外線に強い肌。そのためにはたんぱく質とビタミンCを十分摂取することが重要だ。サプリメントもあるが、体をつくるのは食べ物が基本。生の食材なら酵素を生きたまま摂取できるので、生卵や刺し身、旬の新鮮な果物などがおすすめ。

肌にダメージを与えるブルーライトにもご用心

可視光線の中で最も波長が短く、強いエネルギーをもつブルーライト。パソコンやスマートフォンから発せられる光だと思っている人も多いようだが、実は太陽光にも含まれている。昨今その体への影響が指摘され始めているものの、メカニズムには謎が多い。

資生堂の研究によると、太陽光中に含まれるブルーライトは電子機器などから発せられるものと比較すると圧倒的に強度が高い。また、ブルーライトを照射した皮膚組織は、肌トラブルの原因となる物質(過酸化脂質)が高まることがわかった。つまりブルーライトも光老化をもたらす一因ということ。紫外線や近赤外線と同様、ブルーライトからも肌を守ることが重要だ。

イラスト/ツグヲ・ホン多
資料提供/資生堂

※この記事は「ゆうゆう」2026年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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