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「むせる・滑舌が悪い」は危険信号?【オーラルフレイル】の危険度チェックと対策法

  • 2026.4.11

「むせる・滑舌が悪い」は危険信号?【オーラルフレイル】の危険度チェックと対策法

しっかり噛んでちゃんと飲み込む。口から喉にかけての機能が衰えるオーラルフレイル。低栄養や誤嚥性肺炎のリスクを高め全身の衰えを誘発。負のスパイラルに陥らないため今できることは?

お話を伺ったのは
鈴木隆雄さん 国立長寿医療研究センター理事長特任補佐

すずき・たかお●1951年、北海道生まれ。
82年東京大学大学院博士課程修了。
東京都老人総合研究所副所長、国立長寿医療研究センター研究所長などを経て2015年より現職。
専門は老年医学、疫学、古病理学。
25年に日本老年医学会「尼子賞」受賞。

小さな口のトラブルを見過ごさないようにしましょう

歯周病だけじゃない。口腔の筋肉の衰えも原因

「年を重ねると、歯周病や歯の喪失、舌や唇の筋肉の衰え、唾液分泌量の減少、飲み込む力の低下などによって口腔機能も衰えます。これをオーラルフレイルと呼びます」と鈴木隆雄さん。

硬いものが噛みにくい、食事の途中で「むせる」、食べこぼす、滑舌が悪くなったなど、ちょっとした口のトラブルは、オーラルフレイルのサイン。年のせい、と軽視されがちだが、全身に影響を及ぼすという。

「たとえば、硬いものが食べにくくなると、自然に軟らかいものを好むようになり、さらに噛む機能が低下し、栄養に偏りが生じたり、栄養をきちんと吸収できなかったりします。たくあんをポリポリ噛むといった“食”の楽しみが薄れ、食欲低下も招く。こうした状態が続くと低栄養に陥り、全身のフレイルに繋がりかねません。何より怖いのは、高齢期の主な死因の一つ、誤嚥性肺炎の発症。咀嚼や嚥下に関わる舌や喉の筋肉や、飲み込むときの反射能力の低下が発症の一因です」

実際に、高齢者を対象にしたある調査では、オーラルフレイルの人は、そうでない人に比べて、2年以内に要介護認定を受ける確率が2.4倍、死亡する率は2.1倍という結果も。たかが口のトラブル、とあなどるなかれ。体のフレイル同様に、予防・対策は早めに始めるに越したことはない。

オーラルフレイルってどんな状態?

オーラルフレイルの人が抱えるリスク

【新規発症】
身体的フレイル 2.4倍
サルコペニア2.1倍
要介護認定2.4倍
総死亡リスク2.1倍

Tanaka T, Iijima K. J Gerontol A Biol Sci Med Sci, 73, 2018.より

オーラルフレイルの危険度をチェック

チェック結果

合計0~2点…オーラルフレイルの危険性は低い
合計3点…オーラルフレイルの危険性あり
合計4点以上…オーラルフレイルの危険性が高い

Tanaka T, Iijima K. J Gerontol A Biol Sci Med Sci, 73, 2018.より

オーラルフレイルで要介護リスクは上昇します

口の中を清潔に保ち、噛む力を維持する

「予防・対策の第一は、口の中を清潔に保ち、しっかり噛める歯を維持すること。歯周病が進行すると歯茎が弱って、歯を失うことになるので、朝と寝る前、最低2回は丁寧に歯を磨いて適切なケアをするのが基本。痛みやトラブルがなくても、半年に一度は歯科医に通い、口の状態のチェックと専門的なクリーニングを受けましょう。なお、生涯自分の歯で食べられるのが理想ですが、歯を失って義歯の場合でも口に適合してきちんと機能していれば問題ありません」

「肉が噛みづらい」という状態になった場合は?

「噛む力を鍛えることは大事ですが、噛めないといつまでも口の中にとどまり、危険な場合も。食事はオーラルフレイルの進行具合によって異なるので、歯科医のアドバイスを仰ぎましょう」

次の記事では、食べる機能だけでなく、発声にも関わる唇や舌、喉などの筋肉を鍛える口腔体操を紹介しよう。

【Column】食事を楽しむコツ。 おすすめは“隠し包丁”

「『肉が硬くて噛みにくい』場合は、隠し包丁を入れるのが一案。食感が軟らかくなりますし、味も中まで染みておいしく食べられます」。野菜スープや豆腐ハンバーグなど噛まなくてもいいメニューばかり食べていると、噛む力はさらに衰え、たんぱく質不足にも。

イラスト/タナカユリ
取材・文/村瀬素子

※この記事は「ゆうゆう」2026年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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