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医師から『くも膜下出血』を宣告された40代男性→数日前から、身体に起きていた“異変”に「あの時、病院に行っていれば…」

  • 2026.6.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは。周術期の全身管理を通じて、くも膜下出血などの重症患者さんの命に日々向き合う麻酔科専門医の松岡雄治です。

「数日前に激しい頭痛があったけれど、市販の鎮痛薬を飲んで寝たら治ったから大丈夫」そう思って仕事に復帰し、病院には行かなかった40代の会社員Aさん(仮名)のケースをご紹介します。

数日後、再び襲ってきた桁違いの激痛とともに意識を失って、救急搬送されました。「くも膜下出血」と診断され、緊急開頭手術を受けたものの、重度な麻痺と高次脳機能障害が残る過酷な現実が待っていました。くも膜下出血を発症すると、約50%は初回の出血で死亡するか治療対象とならず、残り20%は重い後遺障害を残すと言われています。

家族と楽しく会話する穏やかな日常は奪われ、介護生活と再発への恐怖に怯える生活へと生活は一変しました。「あの時、病院に行っていれば」と後悔しています。

「治った」のではなく「血が止まっただけ」という怖さ

なぜ痛みが引いたはずなのに、致命的な大破裂につながったのでしょうか。それは、警告出血による一時的な痛みの消失が表しているのが「治癒」ではなく、不幸中の幸いで、今回の出血は微量で収まったからにすぎないからです。

【警告出血(マイナーリーク)から大破裂へのフロー】

  • 微小な破裂(マイナーリーク):脳動脈瘤の壁が限界に達し、ごく微量の出血がくも膜下腔に広がります。これが突然の激痛を引き起こします。
  • 一時的な止血と痛みの消失:出血が少量で自然に止まると、頭痛もスッと引いていきます。
  • 致命的な破裂:しかし血管壁の裂け目は塞がっていないため、数日〜数週間以内に同じ場所から大量出血(再出血)を起こします。そして、脳組織を破壊して命を脅かします。

「いつもの偏頭痛」という油断と、危険な「突然の痛み」の境界線

「痛みが治まったのだから、今回は痛みが強かったけど、いつもの偏頭痛によるものだろう」「仕事が忙しいから、市販の痛み止めでやり過ごしたい」。そう考えるのは、人間としてごく自然な心理です。休めない日々の中で、痛みが引いたことに安堵し、わざわざ病院へ行くのをためらってしまうお気持ちも、責められるものではありません。

しかし、くも膜下出血の総死亡率は25〜53%と非常に高い病気です。そして、研究によって割合には差がありますが、20%前後の患者に「マイナーリーク(警告出血)」と呼ばれる少量の出血が、本格的な大破裂の前に起きているということをぜひ知っておいてください。

ここで重要なのは「ロキソニンなどの市販の痛み止めで治る頭痛」と「危険な頭痛」の境界線です。いつもの肩こりや頭痛は「徐々に」痛くなりますが、マイナーリークの痛みは「ある瞬間に突然」最強の痛みに達します。バットで殴られたような、という表現のとおりです。鎮痛薬を飲んで痛みが引いたとしても、それは薬が効いたのではなく、たまたま出血が一時的に止まっただけかもしれません。

重症化を防ぐために、確認すべき3つのサイン

取り返しのつかない大破裂を招く前に、ご自身の頭痛の始まり方を振り返ってみてください。以下のサインがある場合、脳の血管がすでに破れ、大惨事のカウントダウンが始まっている可能性があります。

1. 「何時何分」と言えるほど突然、ある時点で激痛が走った

今まで経験したことがないような痛みが、ある一瞬を境に突然ピークに達した危険なサイン(雷鳴頭痛)です。

2. 頭痛とともに悪心や嘔吐、めまいがあった

微量の出血により脳圧が上がり、脳へのダメージが起きているサインです。

3. 物が二重に見える、まぶたが下がる

膨らんだ動脈瘤が、目の動きを司る神経(動眼神経)を直接圧迫している警告サインです。

警告としての頭痛を見逃さず、すぐに病院へ

「痛みも引いたし、大げさにしたくない」と見て見ぬふりをしてしまうのは、決して特別なことではありません。
しかし、マイナーリークの段階で早期に発見し、適切な処置を行えば、致命的な大破裂を防ぐことができるかもしれません。

「いつもの頭痛と違い、突然ガツンと痛くなったな」と感じたら、痛みが治まったとしても自己判断せず、まずお近くの脳神経外科にご相談ください。くも膜下出血がある場合、頭のCT検査でその92%がわかります。

頭痛くらいで大袈裟だと考える必要はありません。何も異常がなければそれが一番です。問題がないことを確認し、安心して暮らしに戻ってください。日常を守ることができるようにご自身の不調を軽視せず、ぜひ医療を活用してください。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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