1. トップ
  2. 60代男性「ベビーカーを置くな」全40戸マンションで、30代夫妻の迷惑行為に意見真っ二つ…結末やいかに

60代男性「ベビーカーを置くな」全40戸マンションで、30代夫妻の迷惑行為に意見真っ二つ…結末やいかに

  • 2026.4.15
undefined
出典元:PIXTA(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産管理会社で10年以上の現場経験を持つマンション管理士のS.Kです。

マンションの共用廊下を歩いていると、各部屋の玄関前に傘立てや子ども用の自転車が置かれている光景を目にしたことがあるのではないでしょうか。少しの荷物なら問題ないと思う方がいる一方で、通行の妨げになると不快に感じる方もおり、マンション内で意見が対立しやすいテーマといえます。

今回はある分譲マンションで発生したベビーカーの放置を巡り、居住者の意見が真っ二つに割れてしまったエピソードを紹介しましょう。

ベビーカー放置を巡るグレーゾーンと居住者の対立

都内にある全40戸の分譲マンションでの出来事です。ある日、子育て中の30代のご家庭が玄関の前にベビーカーを常時置くようになります。すると隣室に住む60代の男性から「緊急時の避難の妨げになり消防や行政から指導を受けるのではないか」と管理組合へ申し出がありました。

さっそく管理規約(マンションの基本ルール)を確認しましたが、私物放置を禁止する明確な記載は見当たりません。「共用部分は共用目的以外に使用しない」という条文があるだけで、解釈が分かれるグレーゾーンだったのです。管理会社より対象の部屋へ室内保管を打診するも「置き場がないし他の人もやっている」と納得してもらえない様子でした。

消防署の見解と理事会が下した暫定的な着地点

問題の解決に向けて理事会(居住者の代表者で構成される組織)で議題に挙げると、事態はさらに紛糾します。「子育て中は仕方ない」と擁護する意見と「ルールはルールだから例外を認めるべきではない」と厳格に対処すべきという意見に、真っ二つに分かれました。

そこで、管轄の消防署へ見解を問い合わせてみます。すると「避難上支障があると判断される場合は指導対象になり得るが、個別の状況を見て判断する」という実態に即した回答が返ってきました。

消防署の回答が個別判断という内容だったため、完全な禁止という強硬策は取りにくくなります。数ヶ月にわたる議論の末、理事会はベビーカーにカバーを付けて廊下の片側に寄せて置くことを暫定的に認める結論を出しました。

ルールの隙間を埋める規約改正と公平な運用の重要性

「規約にないからダメ」という理屈と「規約にないからやっていい」という主張は、マンション管理において平行線をたどる永遠の課題です。このようなトラブルの根本的な解決には、管理規約に具体的な禁止条項を明記することが必要といえるでしょう。

規約の改正には時間がかかるため、すぐの対応が難しい場合は総会の普通決議によって使用細則を定める方法も有効です。また消防法上の観点では、図面および現地確認で避難経路として問題がないかを把握し、廊下の有効幅員(安全に通行できる幅)が保たれているかが焦点になります。

特例を認める場合は全員に適用できるルールかどうかを基準に判断し、特定の居住者だけが優遇されているという不公平感を生まない運用が求められます。これからマンションを選ぶ際は、共用廊下の状態を確認することが、管理水準を見極める一つの指標になるでしょう。

参考:消防法令における主な規制の概要(総務省消防庁)



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】