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「“未公開物件”なんです」に惹かれて戸建てを即決→入居後、30代夫婦が300万円を損した“大誤算”

  • 2026.4.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

家探しをしていると「まだネットに出ていない物件です」と案内される場面があります。そんな一言に、特別なチャンスを感じた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

情報が出回る前に知ることができた。その“優位性”に安心し、「いい物件に出会えた」と思ってしまう方は少なくありません。しかし、その判断が後から大きな誤算につながるケースもあります。

今日は、未公開という言葉を信じて購入を決断した結果、相場より300万円高く買ってしまったご夫婦のエピソードをご紹介します。一見すると“良い出会い”に見えたその物件が、なぜ損失につながったのでしょうか。

理想の出会いは「売り物件の看板」から

これは、私が昨年実際に相談を受けた、30代のご夫婦Aさんのケースです。自宅近くを散歩していたAさんは「売り物件」と書かれた看板が立っている戸建てを見つけました。
外観は新しく、周辺環境も落ち着いていて、以前から思い描いていた住まいにかなり近い印象だったそうです。

「こんな家に住めたらいいな…」

そう感じたAさんは、その場で看板に記載されていた不動産会社へ電話をかけます。すると営業担当から、少し意味深な一言が返ってきました。

「実は、まだポータルサイトには掲載していない未公開物件なんです」

ネットには出ていない、限られた人しか知らない情報。その響きに、Aさんは強く惹かれていきます。

「今のうちに動いた方がいいかもしれない」

そんな気持ちもあり、その日のうちに内見の約束を取り付けることになりました。

「今だけ紹介できます」に背中を押されて即決

内見当日、営業担当はさらにこう続けました。

「まだネットでの広告前なので、今ならAさんだけにご紹介できます」
「公開すると問い合わせが一気に増える可能性がありますよ」

一見すると何気ない説明ですが、この言葉がAさんの判断を大きく揺らします。

「今決めないと、他の人に取られてしまうかもしれない」
「この条件の物件は、もう出てこないかもしれない」

冷静に考える余地があったはずの場面で、“先に知っている自分だけのチャンス”という感覚が強くなっていきました。

本来であれば、周辺相場や他の物件と比較するべきタイミングです。
しかしAさんは、その場の空気と焦りに押される形で、購入の意思を固めてしまいます。

住宅ローンの審査も問題なく通り、契約から引き渡しまでの手続きは順調に進みました。

この時点では、「いい物件に巡り合えた」という実感の方が大きく、不安を感じることはほとんどなかったといいます。

後から知った「300万円の差」

入居からしばらく経った頃、Aさんの認識は大きく変わります。近隣で似た条件の戸建てが売りに出され、気になって成約価格を調べてみたところ、自分たちが購入した価格よりも約300万円低い水準で取引されていたのです。

さらに内容を見ていくと、間取りや接道条件、日当たりまで大きな差は見られませんでした。

  • 同じエリア
  • 築年数もほぼ同水準
  • 土地面積も大きな差はない

Aさんは、そのときの心境をこう振り返ります。

「未公開って聞いた時点で、特別な物件だと思い込んでいました…」
「ちゃんと比べていれば、価格の違和感には気づけたと思います」

すでに購入後である以上、やり直しはできません。仮にこのタイミングで売却した場合、住宅ローン残債と市場価格の差により、200万円以上の自己負担が発生する可能性が高い状態でした。

少し得をしたつもりの判断が、結果として数百万円単位の差につながっていたのです。

「未公開物件」の正体と業界の仕組み

今回のように「看板は出ているが、ポータルサイトには掲載されていない」というケースは、実務の現場では決して珍しいものではありません。主な理由は、近隣住民への案内を優先することがあるためです。

同じエリア内での住み替えや、生活圏を変えたくないというニーズは一定数あり、実際に近所の方が購入することも珍しくありません。

つまり「未公開=特別でお得な物件」という意味ではなく、単に“まだ広く情報を出していない段階”に過ぎません。

未公開という言葉の響きだけで判断してしまうと、本来であれば気づけたはずの価格の違和感を見逃してしまう可能性があります。

焦らず冷静に決断することが、結果的に得をする

今回のケースで問題だったのは「未公開物件だったこと」ではなく、比較せずに決断してしまったことにあります。

同じ失敗を防ぐためには、次のような行動が重要です。

  • 周辺の成約事例を必ず確認する
  • 「なぜ未公開なのか」を具体的に聞く
  • その場で決めず、一度持ち帰る
  • 同条件の物件を最低2〜3件は比較する

住宅購入の現場では、「今だけ」「あなただけ」といった言葉が背中を押す場面が少なくありません。いわゆる“選ばれた感”が、判断を早めてしまうこともあります。

しかし実務の現場で見ていると、一度立ち止まり、冷静に比較した方ほど損をしていないのが実情です。

土地や建物は、数百万円単位の差が生まれる買い物です。焦って決めるのではなく、一度立ち止まり、冷静に見極めるようにしましょう。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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