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「クローゼットで突っ張り棒を使っていたら…」退去時、かえって高額な原状回復費を招いた“大誤算”

  • 2026.5.25
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

こんにちは、元注文住宅営業マンのホリカワです。

賃貸住宅で壁に穴を開ける――これは、原状回復費を気にする方にとってタブーに近い行為です。

そんな不安を解消してくれるアイテムとして、多くの方が頼りにしているのが「突っ張り棒」ではないでしょうか。しかし、使い方を誤ると、穴を開けないどころか、壁紙がめくれたり壁が陥没したりすることがあります。

「誤った使い方が原因で、かえって高額な原状回復費を招いてしまった…」そんな事態を防ぐためのポイントをお伝えします。

壁が割れた!知人のクローゼットで起きたこと

知人から、賃貸住宅から新築へ引っ越す際のこんな話を聞きました。

クローゼットで突っ張り棒を使っていたら、壁が割れて原状回復費が高くなってしまった」と。

状況を確認すると、突っ張り棒の接地部分だけが、まるで雪の上の足あとのように数ミリ陥没していたそうです。過度な荷重が一点に集中したことで、壁の下地である石こうボードが砕けてしまったのでしょう。

ビスの穴であれば簡単な補修と壁紙の張り替えだけで済んだはずが、石こうボードの張り替え費用まで発生してしまいました。じつは、こうした事例は少なくありません。

画鋲の穴はOKでも、壁の陥没はアウト?

なぜ、このようなことが起きたのでしょうか?

日本の壁の主流「石こうボード」の弱点

原因は、壁の下地に使われている石こうボードの性質にあります。石こうボードとは、石こうを主成分とした芯材の両面に紙を貼った板状の建材で、日本の住宅の壁下地として広く使われています。

この石こうボードは、耐火性や防音性に優れる一方で、じつは一点に集中する強い力にはやや弱い傾向があるのです。

「通常損耗」と見なされない、シビアな判断基準

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、画鋲の穴は通常損耗の範囲内とされています。通常損耗であれば、一般的に原状回復費は請求されません。

一方で、不適切な使用によって生じた壁の陥没や重度の変形は、通常の損耗を超えた「善管注意義務違反」に問われる可能性があります。

私の知人のケースでも、「不適切な使用によって壁が陥没した」と判断され、原状回復費を請求されたのでしょう。

参考:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)

「当て板」ひとつで、リスクは変わる

突っ張り棒は便利なアイテムです。ただし、「壁を傷つけない」という過信が、結果として原状回復費の増加につながる場合があります。

では、どうすればトラブルを防げるのでしょうか?

「点」ではなく「面」で支えて、壁への負荷を逃がす

有効な対策のひとつが、圧力を分散させるための「当て板」を挟むこと。棒の端よりも大きな面で壁を支えれば、石こうボードへの負担は大きく軽減されます。

100均やホームセンターでも、突っ張り棒用の当て板が販売されていますので、ぜひ探してみてください。

また、壁を叩いたときの音で裏側に柱がある場所を見極め、そこに突っ張り棒を渡すのも効果的です。

近年では、ホチキスで壁に留められるハンガーセットも登場しています。

「穴を開けないこと」をゴールにしない

「一切穴を開けない」ことにこだわりすぎず、壁の構造に合わせてさまざまな選択肢を検討してみてください。結果的に高額な原状回復費の回避につながる場合があります。

賃貸住宅にお住まいの方は、困ったときや迷ったときは、大家さんや管理会社に事前に相談してみることも大切です。

今日、突っ張り棒を一度外してみませんか

突っ張り棒は、何のリスクもない魔法のアイテムではなく、壁に圧力をかけて機能を果たす道具です。今日、家にある突っ張り棒を一度外して、壁の感触を確かめてみてはいかがでしょうか。

もし不安があるなら、当て板を挟んでみましょう。ホチキス留めのハンガーセットに替えてみるのも、ひとつの方法です。

お住まいが賃貸物件なら、そのささやかな配慮が、退去時の原状回復費を抑えるといううれしい結果につながるはずです。


ライター:ホリカワ ダット
注文住宅の建築会社に営業職として従事したあと、SEOライターとして独立。500組以上の家づくり相談に携わった経験をもとに、「マイホーム取得を少しでもラクに」をテーマに、住宅ジャンルの記事を幅広く執筆中。インテリアコーディネーター/1級カラーコーディネーター(商品色彩)資格保有。


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