1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 8月から自己負担上限額が引き上げに。「高額療養費制度」の変更点をおさらい

8月から自己負担上限額が引き上げに。「高額療養費制度」の変更点をおさらい

  • 2026.4.13

毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”の3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「どうなる? 高額療養費制度」です。

どうなる? 高額療養費制度

ファイナンシャルプランナーの高山一恵さん。
高山一恵

たかやま・かずえ ファイナンシャルプランナー。Money&You取締役。Webメディア「FP Cafe」「Mocha」の運営ほか、多くの働く女性のマネーのお悩みを解決、サポート。著書『子育て世帯がもらえるお金のすべて』(彩図社)が好評発売中。

地道奈子。28歳・派遣社員。既婚・子なしのDINKS。
地道奈子

じみち・なこ 28歳・派遣社員。既婚・子なしのDINKS。つみたてNISAは2年前にスタート。貯まったポイントを使った投資など、自分ができる範囲で楽しむのが得意。

所得が高い人は重く、低い人は軽い「応能負担」

奈子

4月スタートのいわゆる“独身税”が話題ですが、他に私たちに身近なところで何か変わるもの、知っておいた方がいいことはありますか?

高山

8月から高額療養費制度の限度額が見直され、自己負担額の上限が引き上げられる見込みです。

奈子

それって、去年頻繁にワイドショーで取り上げられていた記憶があります。でもいったん見送りになったのでは?

高山

はい。当初は昨年8月から自己負担上限額の引き上げが行われる予定でしたが、患者団体や医師団体から強い反発が起こり、見送られた経緯があります。ただそれでも少子高齢化が進み、医療保険財政が年々厳しくなる今の状況では、見直しはもう避けられないのも事実なんです。

奈子

それはそうでしょうね…。

高山

結果的に、昨年の案よりも上げ幅を抑える形ですが、今年8月と2027年8月の2段階で見直される予定です。

奈子

具体的にはどんな内容になる予定なんでしょうか。

高山

例えば年収約370万~510万円の人は、現行では月8万100円が自己負担上限額ですが、8月からは月8万5800円と5000円以上アップします。

奈子

もし、大きな手術などが必要になったり、高額な治療が長期間必要になった場合、これまで以上に負担が増えるというわけですね。それは大きい…。

高山

さらに2027年8月以降は、所得区分がより細分化され、収入の多い人ほど負担増に。

奈子

年収約510万~650万円の人は8万5800円から9万8100円! ということは、頑張って働いて年収を上げても、そのぶん負担は増えていく…。病気になったら、このまま働いて収入を確保できるのかだって不安なのに…。日本って、税金もそうですけど、稼げば稼ぐほど支払うお金が増えますよね。

高山

本人の所得や経済的能力に応じて金額を決める「応能負担」という仕組みですね。所得税のほか、福祉サービスや保育料などもこれを採用しています。

奈子

所得が高い人は重く、低い人は軽く。それで、公平に負担しよう、と。

高山

はい。でもそのくらい、日本の社会保障制度は、維持できるかどうかの瀬戸際なんです。

奈子

平均寿命が延びる中、安心して年を重ねていけるか不安…。

高山

女性の2人に1人が90歳まで生きる時代。60代を迎えても30年ほど老後が続きますからね。自分の身は自分で守る、そんな心づもりは早めにしておきましょう。

高額療養費制度についてファイナンシャルプランナーの高山一恵さんが解説。

そもそも高額療養費制度とは?

高額な診療を受けた際の公的医療保険

患者の経済的負担が重くなることなく、安心して保険医療を受けられるためのセーフティネット。1か月間の医療費の自己負担額が年齢や所得に応じて設定された「自己負担限度額」を超えた場合に、その超えた分が払い戻される。入院時の食事代や個室料、先進医療費などは対象外。

政府が決めた高額療養費制度の見直し内容

いつから?

2026年8月スタート

何のため?

医療費の増加に伴う現役世代の負担軽減と医療保険制度の維持

変更点は?

2026年8月から上限基準額が7~38%程度高くなる。また、これまでは患者が療養費を一時立て替えした上で、「限度額適用認定証」を申請。その後、相応金額が払い戻されていたが、マイナ保険証を利用すれば自動的に窓口での支払いが自己負担限度額になり、窓口負担が軽減される。

所得区分に応じて、自己負担上限額が月額7~38%引き上げ(住民税非課税世帯を除く)。たとえば年収約370万~770万円の層は、1か月の医療費上限が約8万円から約8万6000円へ。

2026年8月から上限基準額が7~38%程度高くなる。また、これまでは患者が療養費を一時立て替えした上で、「限度額適用認定証」を申請。その後、相応金額が払い戻されていたが、マイナ保険証を利用すれば自動的に窓口での支払いが自己負担限度額になり、窓口負担が軽減される。

★次回は、2492号(4月15日発売)掲載予定です!

イラスト・小迎裕美子 取材、文・一寸木芳枝

anan 2490号(2026年4月1日発売)より

元記事で読む
の記事をもっとみる