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“築45年の実家”を査定依頼した50代会社員→「1,500万前後にはなる」と思いきや…不動産会社から告げられた“予想外の一言”

  • 2026.6.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

親の家を相続したとき、「いざとなれば売ればよい」と考える方は少なくありません。しかし、不動産は預貯金のように、すぐ現金化できるとは限りません。

特に築40年以上の古い実家では、土地の境界がはっきりしていないことがあります。境界があいまいなままだと、売却前に測量や隣地関係者との境界確認が必要になり、想定より時間も費用もかかる場合があります。

今回は、親の家を老後資金にするつもりだった50代会社員の事例をもとに、相続前に確認しておきたいポイントを解説します。

「売れば1,500万円」のはずが…境界で止まった実家売却

Aさんは50代の会社員です。
70代後半の母が一人で暮らす実家について、将来は相続後に売却し、自分たち夫婦の老後資金に回すつもりでいたそうです。

実家は地方都市にある築45年の戸建てです。土地は約55坪、建物は木造2階建てで、延床面積は約90平方メートル、約27坪ありました。近隣の売出価格を見ると、同じ地域の土地付き住宅は1,300万円から1,700万円ほどで掲載されています。

Aさんは「少なくとも1,500万円前後にはなるだろう」と考え、退職後の生活費として、年間100万円ずつ取り崩す計画を立てていました。

数年後、母が施設へ入居し、実家は空き家になります。Aさんは不動産会社に査定を依頼したそうです。
ところが、売却相談の中で「隣地との境界がはっきりしていない可能性があります」と指摘されます。古い測量図は残っていたものの、作成時期は30年以上前で、現在の境界を確認できる資料としては不十分でした。

現地を確認すると、ブロック塀の位置と図面上の境界線が一部ずれているように見えました。さらに、隣地の所有者はすでに亡くなっており、境界確認のためには相続人3人との連絡や調整が必要になることが分かりました。

不動産会社からは、売却前に土地家屋調査士などへ相談し、測量や隣地関係者との境界確認を進めたほうがよいと言われます。Aさんは「実家は売ればすぐ現金になる」と思っていたため、予想外の展開に戸惑いました。

境界未確定は「売れない」ではなく「売りにくい」

土地の境界が未確定だからといって、必ず売却できないわけではありません。ただし、買主から見ると不安材料になります。購入後に隣地との間で境界トラブルが起きると、建て替えや再売却に支障が出る可能性があるためです。

そのため、不動産会社や買主から、測量や境界確認を求められるケースがあります。
特に古い実家では注意が必要です。昔のままの塀やフェンスが残っていても、それが正しい境界とは限りません。親世代が「昔からここまでがうちの土地」と思っていても、登記情報や測量図と一致しないことがあります。

Aさんの場合、測量費用として40万円から60万円ほどの支出が見込まれました。土地の形状や隣地の数によっては、さらに費用が変わることもあります。

さらに、相続人3人との連絡や日程調整にも時間がかかり、売却開始まで4か月から6か月ほど延びる見通しになります。その間も、固定資産税が年約8万円、草刈りや簡単な管理で年約5万円、火災保険料や小さな修繕で年数万円ほどかかることもあります。
管理状態が悪くなれば、自治体から改善を求められるリスクもあります。

年間で見ると、固定資産税や草刈り、簡単な修繕、火災保険料などで15万円から30万円ほどかかるケースもあります。

老後資金にする予定だった実家が、しばらくは支出を生む資産になってしまったのです。

実家の価値は「いくらで売れるか」だけでは決まらない

FP視点で見ると、実家を老後資金に組み込む場合は、査定額だけで判断しないことが大切です。

たとえば、1,500万円で売却できる見込みがあっても、測量費50万円、必要に応じた解体費150万円、仲介手数料約56万円、管理費や修繕費20万円程度がかかれば、手元に残る金額は大きく減ります。

売却準備や買主探しが長引けば、その間の維持費も必要です。

また、不動産は、売却価格から税金、測量費、必要に応じた解体費、仲介手数料、管理費などを差し引いて、初めて手元に残る金額が見えてきます。

親が元気なうちに確認しておきたいのは、登記事項証明書、固定資産税の通知書、測量図、建築確認済証や検査済証などの建物関係書類、隣地との境界に関する資料です。

できれば相続が発生する前に、不動産会社や土地家屋調査士などへ相談し、「売れるまでに何か月かかりそうか」「売却前に必要な費用はいくらか」を確認しておくと安心です。

相続後に複数の相続人で売却する場合は、誰が管理費を負担するのか、測量費や修繕費などをどう分けるのかも決めておく必要があります。

「親の家があるから大丈夫」と考える前に、その家がいつ、いくらで、どのような条件で売れるのかを確認しておくことが重要です。実家は大切な資産である一方、準備不足のまま相続すると、思わぬ負担になることもあります。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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