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股関節の痛み、放っておくとどうなる?専門医に聞いた「歳のせい」にしないほうがいい理由

  • 2026.4.1

「歩くのがつらくなった」「股関節がこわばる」――そんな違和感を“年のせい”で片付けていませんか。外傷再建の名医・伊藤雅之先生(総合南東北病院)が、股関節トラブルの見分け方から最新の保存療法、股関節鏡(内視鏡)手術、人工関節手術の注意点まで、症状を放置しないためのポイントを解説します。早めの診断が「動けるカラダ」を守ります。

股関節トラブルは意外に多い — まずは「気づく」こと

股関節の痛みは10代20代でも珍しくなく、約500万人が悩んでいると推測されています。

「痛みや違和感を『年のせい』として放置すると、症状が進行して治療の選択肢が狭まることがあります。痛みが続く場合はMRI検査を行いましょう。患者さん自身が早めに痛みと向き合い、まずは専門医に相談することが、その後の生活の質を大きく左右します」(伊藤先生)

痛みの原因はひとつじゃない — 関節唇損傷に要注意

股関節はソケット(寛骨臼)と球状の大腿骨頭で構成され、周囲を関節唇という繊維軟骨が囲んでいます。関節唇が傷つくとレントゲン上の変形がなくても強い痛みが出ることがあります。

「関節唇損傷はレントゲンでは分からないことが多く、『変形がないから大丈夫』と判断されて放置されるケースが散見されます。しかし、関節唇は股関節の安定性やクッション性に重要な役割を果たしており、ここが損傷すると動作時の痛みや可動域制限が出ます。放置すると、将来的に変形性股関節症に進行する可能性があるため、早期発見・治療が重要なのです」(伊藤先生)

まずは保存療法 — 生活改善と運動でできること

「変形性股関節症の基本は保存療法です。生活習慣の見直し、適切な運動療法、必要に応じた薬物療法を組み合わせることで、軽度〜中等度の症状であれば痛みを管理し機能を維持できます。患者さんの年齢や仕事、生活背景を踏まえ、どの治療が最適か念入りに考えて治療計画を立てています」(伊藤先生)

次:人工股関節置換術はリスクも

股関節鏡手術――小さな傷で早期回復を目指す選択肢

「関節唇損傷や骨同士の衝突が原因で痛む場合、股関節鏡手術(内視鏡手術)が有効です。1cm程度の孔を2〜3か所開け、カメラと器具で損傷部を修復・削り取り、股関節の可動性を回復させます。特徴は術後の回復が早い点。翌日から松葉杖を使用して歩けることも多く、入院期間も短くなります。股関節鏡手術は、特に若年のスポーツ愛好者にも知ってもらいたい治療法です。ただし、股関節鏡の認定医は全国でわずか38名※と少ないのが現状で、熟練した手技が必要な手術です」(伊藤先生)
※日本股関節学会「股関節鏡技術認定取得医2026 年1 月20 日更新」

人工股関節置換術の現状とリスク回避

軟骨がほとんど残らない重度の変形では人工股関節全置換術が検討されます。近年の素材改良により耐久性は向上しており、30年以上の維持も期待できるようになりました。

「人工関節は医師が症状の進行度、体重や骨格などから人工関節の機種を含めた計画をたて、それに即した手術を行います。そのため、熟練度の低い医師の場合、サイズが合わず、ゆるみや脱臼などのトラブルが生じることがあります。さらに、人工関節の手術には、感染症や脱臼といったリスクも伴うため、医師選びは大変重要です。人工関節をすすめられた場合、熟練した医師がいる病院でセカンドオピニオンをとることも考え、慎重に意思決定してください」

早期対応で「動けるカラダ」を取り戻す

「最も伝えたいのは、早期の『気づき』と『行動』が、その後の人生の活動性を決めるということです。痛みを我慢して放置する時間が長ければ長いほど、可逆的な状態から不可逆的な変形へ進むリスクが高まります。早期に専門医の診察を受け、適切な検査(MRI)で早期に原因を特定し、生活改善・運動・必要な手術を組み合わせれば“動けるカラダ”を取り戻せる可能性は高まります。医療は進歩しており、我々は患者さんが望む生活を取り戻すための選択肢を複数持っています。迷ったらまず相談してください。患者さんの生活背景に合わせた最適解を一緒に考えます」

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伊藤 雅之 医師プロフィール

伊藤 雅之(いとう まさゆき)総合南東北病院 特命病院⾧ 外傷再建外科 診療部⾧
日本整形外科学会整形外科 専門医、股関節鏡技術 認定医、日本整形外傷学会理事

1994 年 福井大学医学部卒 新潟大学 整形外科学講座入局
1999 年 ベルリン フンボルト大学外傷学講座
2006 年 日本医科大学救急医学講座助教
2007 年 新潟大学救急医学講座特任助教
2008 年 新潟市民病院 整形外科副部⾧ 救命救急センター副センター⾧
2015 年 福島県立医科大学 外傷再建学講座教授
会津中央病院 外傷再建センター所⾧
2020 年 会津中央病院 外傷再建センター教授
新潟県央基幹病院 外傷再建センター⾧
2025 年 現職

救急センターとコラボレーションした外傷再建センターの創設に数か所にわたり関わるなど、四肢を残し動けるカラダを取り戻すことを大切に、カラダへの負担はできるだけ少なく、痛みを遠ざけ「動けるカラダ」に戻すことに力を注いでいる。

<Edit:編集部>

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