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“活動終了”を発表した4人。18年前、制服のまま楽器を抱え“放課後に鳴らした”デビュー曲

  • 2026.8.26
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2012年撮影、イベントに登場して新曲を披露する女性バンドのSCANDAL(C)SANKEI

2008年10月22日、SCANDALがシングル『DOLL』でメジャーデビューした。あの頃、雑誌でもテレビでも、まず目に入ってきたのは音ではなく絵だった。制服のスカートのまま、ギターとベースを抱え、ドラムの前に座った4人。ロックバンドの立ち姿と学校の制服が同じフレームに収まっているというだけで、当時のCDショップの棚では十分に異質だった。

SCANDAL『DOLL』(作詞:TOMOMI 作曲:トキタサトシ)ーー2008年10月22日発売

強すぎた「制服」という一枚の絵

まず、事実として、デビュー時点で全員が高校生だったわけではない。最年少のRINAは17歳、MAMIとTOMOMIは18歳だが、HARUNAはすでに20歳だった。「女子高生バンド」は、正確な説明ではなく、いちばん早く伝わる看板として選ばれた言葉である。

そして看板は機能した。2000年代後半、ガールズバンドはまだ「珍しいもの」として紹介される存在で、そこに制服という記号が乗ると、音楽ページ以外のメディアまで一気に扉が開く。テレビの情報番組でも、コンビニの雑誌でも、彼女たちは説明なしで成立した。

SCANDALがのちに制服を脱ぎ、髪を切り、演奏の話でしか語れないバンドになっていく過程は、この最初の一枚の絵を自分たちで壊していく作業でもあった。看板で入り口を広げ、そのあと自力で看板を外す。

城天から全米6都市へ——デビュー前にすでに積んでいたもの

結成は2006年8月。大阪と名古屋のボーカル&ダンススクールに通っていた4人が集まり、講師の勧めで楽器を持った。同じ時期に始めた生徒は他にもいたが、続いたのはこの4人だけだった。

活動の起点は、大阪城公園の通称「城天(しろてん)」での路上ライブである。人が通り過ぎていく場所で、止まって聴いてくれる客を一人ずつ増やす。ここで身につく耐久力は、あとから買えるものではない。制服で路上に立てば人は振り向くが、振り向いた人を足止めできるかどうかは演奏が決める。

そして重要なのは、メジャーデビュー前の2008年3月、彼女たちはすでに米シアトルのジャパンカルチャー・フェス「Sakura-Con」に招かれ、全米6都市ツアーを回っていたという事実だ。動員は合わせて7000人を超えた。フランスや香港でもライブを行っている。同年8月8日に出したインディーズのミニアルバム『YAH!YAH!YAH! HELLO SCANDAL』は、J-POPアルバムチャートで2位に入った。

つまり『DOLL』は、無名の高校生が突然メジャーに拾われた曲ではない。国内より先に海外で客の前に立ち、インディーズでチャートの上のほうまで来ていたバンドが、ようやく大手から出した1枚だった。

デビュー3日目の『Mステ』、そして週間26位という数字

『DOLL』の作詞はベースのTOMOMI。カップリング『S.L.Magic』の作詞はドラムのRINAで、当時18歳と17歳である。10代の書いた言葉が、大人の手で整えられきる前に、そのままメジャーデビュー盤に載った。曲そのものも3分28秒と短く、間奏で聴かせる場面もない。イントロから最後まで走り切って終わる。

発売前からラジオ36局でパワープレイを獲得し、TBS『ランク王国』のオープニングテーマにも起用された。そしてデビュー3日目には『ミュージックステーション』に出演している。

一方で、オリコン週間チャートの最高順位は26位、初動を含めた売上は約1万2500枚。数字だけを見れば、爆発というほどではない。ここが面白いところで、『DOLL』の本当の伸びは、CDの棚を離れたあとに来た。日本レコード協会の認定では、この曲は2017年1月時点で配信シングルのゴールド、つまり10万ダウンロードを超えている。発売から8年以上かけて、静かに10万人へ届いていったということだ。

翌2009年、彼女たちは『少女S』で日本レコード大賞の新人賞を受ける。デビュー曲の最高位が26位だったバンドが、1年後にそこへ立った。当時の新人としては珍しく、テレビの露出で一気に売り上げるのではなく、順位より先に「知られている曲」を持ってしまったパターンである。

18年後、同じ4人で鳴っている

2012年3月、結成5年7か月で日本武道館に立ち、ガールズバンドとして史上最速の記録をつくった。2015年には初のワールドツアー『HELLO WORLD』で8万人を動員。2023年8月には「同一メンバーによる最長活動ロックバンド(女性)」としてギネス世界記録に認定され、2024年には11枚目のアルバム『LUMINOUS』を出している。メンバーは、2006年に城天で楽器を抱えた4人から一人も入れ替わっていない。

そして2026年8月、2027年8月21日をもって活動を終了することが4人から告げられた。結成記念日と同じ日付、21年目の節目での区切りとなる。選ばれた言葉は「解散」ではなく「活動終了」だった。20年を同じ4人で走り切ったバンドが、自分たちで終点を決めた、という形である。

いま『DOLL』を聴くと、演奏は思ったよりずっと素直だ。それでも最初のフレーズが鳴った瞬間に立ち上がってくるのは、2008年の秋の、まだ何も決まっていない時間の感触だ。放課後の教室から学校の外へ出ていくときの、あの少し急ぎ足の空気がそのまま録音されている。

あの一枚の絵は、結局のところ制服の話ではなかったのだと思う。まだ何にでもなれる4人が、たまたまその年齢のまま録音してしまった——18年経っても最初の8小節で足が速くなるのは、たぶんそのせいだ。


※記事は執筆時点の情報です

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