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ISSで「紫の触手の生命体」を撮影?この写真の正体とは…

  • 2026.4.1
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

ISS(国際宇宙ステーション)で撮影された一枚の写真が、インターネット上でちょっとした話題を呼んでいます。

そこに写っていたのは、紫色の奇妙な物体

細長い「触手」のようなものを伸ばし、まるで何かが孵化した直後のようにも見えるその姿は、多くの人に「ついに宇宙生命体が発見されたのではないか」と思わせるには十分でした。

この写真を公開したのは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士、ドン・ペティット氏です。

しかし結論から言えば、この“紫の生命体”の正体は、驚くほど身近なものでした。

それは「ジャガイモ」です。

目次

  • 見た目はエイリアン、中身は「ただのジャガイモ」
  • なぜ宇宙でジャガイモを育てるのか?

見た目はエイリアン、中身は「ただのジャガイモ」

話題となった写真に写っていた物体は、実際には紫色のジャガイモです。

「触手」に見えた部分は、ジャガイモから伸びた芽、いわゆる「目」が成長したものに過ぎません。

SNS上では「エイリアンの幼体のようだ」「今すぐ燃やすべきだ」といった反応が相次ぎましたが、その不気味な印象は単なる錯覚でした。

無重力環境では芽が自由な方向に伸びるため、地上よりも奇妙な形に見えやすいのです。

また、写真に見える白い部分は、物体を固定するための面ファスナーです。

宇宙では物が簡単に浮いてしまうため、こうした簡易的な固定具が欠かせません。

このジャガイモには「スプートニク1号(Spudnik-1)」という愛称が付けられており、ペティットがISSで行っている「宇宙ガーデニング」の成果のひとつです。

なぜ宇宙でジャガイモを育てるのか?

では、なぜわざわざ宇宙でジャガイモを育てるのでしょうか。

その理由は、ジャガイモが極めて効率の良い食料だからです。

ジャガイモは、植物全体の質量に対して可食部の割合が高く、限られた資源で最大限の栄養を得ることができます。

この特性は、長期間の宇宙探査において非常に重要です。

実際に、小説および映画『オデッセイ』でも、主人公が火星で生き延びるためにジャガイモを栽培する場面が描かれています。

こうした背景から、ジャガイモは将来の宇宙食として有望視されています。

ペティット氏自身も、ISSでの余暇時間を利用して水耕栽培に取り組み、ジャガイモのほかにもピーナッツ、ズッキーニ、ブロッコリー、ヒマワリなどを育ててきました。

土を使わず、栄養を溶かした水で育てるこの方法は、宇宙のような特殊環境でも植物を育てられる手段として注目されています。

ただし、宇宙では植物の成長速度が遅くなる傾向があります。

ペティットによれば、その原因は微小重力や栽培環境のストレスなどが影響している可能性があるものの、詳細はまだ完全には解明されていません。

宇宙で芽吹く「未来の農業」

今回の“紫の触手の生命体”騒動は、一見するとただの誤解に過ぎません。

しかし、その裏側には、将来の宇宙開発を支える重要な研究の一端が隠れています。

宇宙で食料を自給できるかどうかは、人類が月や火星へと長期滞在するための鍵となる課題です。

その意味で、ISSの小さなジャガイモは、未来の宇宙農業への第一歩とも言える存在です。

奇妙な見た目に驚かされたこの一枚の写真は、実は「宇宙で生きる」という現実的な挑戦を、私たちにわかりやすく示してくれているのかもしれません。

参考文献

Purple Lifeform Photographed Sprouting ‘Tentacles’ on The ISS
https://www.sciencealert.com/purple-lifeform-photographed-sprouting-tentacles-on-the-iss

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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