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80代の男性の救急要請…無事に搬送後、患者息子から届いた“想定外の不満”…元救急隊員が感じた認識のズレ

  • 2026.4.27
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。ライターのとしです。

80代男性の呼吸苦と発熱で救急要請が入った際、家族には「普段から診てもらっている、かかりつけの病院へ運んでほしい」という思いがありました。

ただ、その時間帯は希望していた医療機関での受け入れが難しく、救急隊は別の医療機関を調整して搬送することに。

現場では妻に説明しながら対応を進めていましたが、搬送先に駆けつけた息子から「なぜかかりつけに運ばなかったのか」と不満が向けられました。

今回はそんなケースをご紹介します。

家族には、かかりつけの病院へ運んでほしいという思いがあった

今回の要請は、80代男性の呼吸苦と発熱によるものでした。

高齢で持病もあり、普段から受診しているかかりつけ医療機関もある方でした。

家族としては、いつもの病院で診てもらえたほうが安心だったのだと思います。

特に高齢の家族が体調を崩した場面では、「普段診てもらっている先生のところへ」という思いが強くなりやすいものです。

今回も、現場でそうした家族の気持ちを感じました。

その時間帯は、希望していた医療機関での受け入れが難しかった

救急隊としても、かかりつけ医療機関があることは把握していました。

家族がそこを希望している可能性が高いことも分かっていました。

ただ、搬送先は希望だけで決まるわけではありません。

夜間帯や当直体制、受け入れ状況によっては、かかりつけであってもその時点では対応が難しいことがあります。

今回も、希望していた医療機関では受け入れが難しい状況でした。

そのため、救急隊としては傷病者の状態を優先し、受け入れ可能な別の医療機関を調整して搬送しています。

希望に沿えない場面ではありましたが、まず診てもらえる先を早く確保することが優先になる事案でした。

妻には説明していたが、その内容は息子に十分伝わっていなかった

現場には妻がいて、そのまま救急車にも同乗していました。

そのため、救急隊は搬送先の調整状況や、希望していた病院での受け入れが難しかったことを、妻へ説明しながら対応を進めていました。

大きな混乱はなく、搬送自体もそのまま進みました。

ただ、搬送先の医療機関へ息子が駆けつけた際、「かかりつけの病院があったのに、なぜそこへ運ばなかったのか」「先生から何かあったら来ていいと言われていたのに」といった不満が向けられました。

救急隊としては、その場にいた妻へ説明している認識でした。

しかし、その内容が家族全体に同じように伝わっていたわけではなかったのだと思います。

ここに、現場では見えにくいズレがありました。

現場に家族が一人いても、それで十分とは限らない

この事案では、誰に説明したかだけでは足りないことがあると感じました。

その場に家族がいれば、その人に説明しながら対応を進めることになります。

今回の対応自体も、大きく外れたものではなかったと思います。

ただ、かかりつけ医療機関への希望が強い場面では、その場にいない家族ほど「なぜそこではなかったのか」と引っかかりやすいことがあります。

説明を受けた人が理解していても、その内容が別の家族にそのまま共有されるとは限りません。

特に、普段の通院先や主治医への信頼が強いケースでは、搬送先が変わった理由に納得しづらいこともあります。

だからこそ、かかりつけへの希望が強そうな場面ほど、あとで別の家族が来ても認識のズレが起きにくいよう意識して説明する必要があるのだと感じました。

説明した事実と家族全体に伝わった事実は同じではない。

そんなことをあらためて考えさせられた現場でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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