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代引きの商品を配達すると…「受け取りません!」と拒否→直後、発覚した“切実な理由”に納得

  • 2026.4.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さまこんにちは。元宅配員のmiakoです。

昨今、人々の生活や働き方にも多様性が出てきています。
多様性が認められる一方、これまで仲の良かったご家族と生活がバラバラになってしまったり、仕事のために住む場所を変えることもあるでしょう。

これは、家族の生活スタイルの違いが、荷物のやり取りの中で思わぬ形で表れてしまった、ある現場でのお話です。

コレクト便とはどんな荷物?

宅配便の荷物には、大きく分けて3種類あります。

荷物を発送される方が送料を払う「元払い」
荷物を受け取る方が送料を払う「着払い」
そして、荷物をお渡しすると同時に代金を支払う『コレクト便(いわゆる代金引換・代引き)』です。

私のこれまでの経験上、コレクト便が全体の荷物量に占める割合は1割に満たないという実感があり、実際に利用される方は多くありません。

通常料金に上乗せされる数百円ほどの「コレクト手数料」が発生することや、原則手渡しのため置き配ができないこと、キャッシュレス化が進む現代で現金を用意しなければならないことなどが、その理由として挙げられます。

一方で、コレクト便には「確実に受け取れる」という大きなメリットがあります。

玄関先で荷物を受け取って初めて支払いをするため、信頼性が不明な新規ショップを利用する際の詐欺リスクを物理的に防げますし、クレジットカードや銀行口座の情報をECサイトに入力することに抵抗がある方にとっては、安全な決済手段でもあります。

毎回繋がらない電話番号

担当していた常連のお客様のなかに、コレクト便でお届けすることが多かった方がいらっしゃいました。
今回のお話のA様もそのお一人でした。

コレクト便はお客様の家に伺う前に必ず電話をして在宅を確認するルールがあるため、伝票に登録された電話番号に電話をしてから伺います。

しかし、A様の電話番号は毎回繋がりません。
何度かけても繋がらず、仕方なく直接お伺いすることになります。

いつも窓から顔を出すおばあさま

A様の家は数軒の一戸建てが並ぶ住宅街の一角にありました。

玄関のすぐ隣には、いつもカーテンの開けられた部屋がありました。

A様のおばあさまの部屋です。

80代くらいのおばあさまは、いつも家でお留守番をされていました。
時々、自転車に乗って近所のお店へ買い物に行ったりして、留守の時は部屋のカーテンが閉まっています。

この日もチャイムを鳴らすと、カーテンの開いた部屋の窓が開きました。

「宅配便さん、こっちだよ」

玄関からではなく、窓の方へ呼ばれます。

「A様宛てのコレクト便の荷物なのですが…」
「ああ、孫のだね。あの子いつも留守だからいいよ、立て替えておくね」

そう言って、おばあさまはご自分の財布から代金を支払ってくださいました。

お母様も立て替えてくださったけれど

また別の日、おばあさまが留守の時で、家の前に車が止まっていたことがあります。
チャイムを鳴らすと50代くらいの女性の方が出てきてくださいました。

「A様宛てにコレクト便のお荷物が届いております」
「え?またうちの子に?さっきも別の宅配便さんから代引きが届いたのに…。ちょっと待っててね、財布持ってくる」

そう言って、お母様と思われる方も立て替えてくださいました。

そんなことが毎月何度かあり、A様のことは覚えていったものの、一向にA様へ電話が繋がることも、実際にお会いすることもありませんでした。

ある日、おばあさまの様子がいつもと違う

そんなことが何年か続いたある日のことでした。
いつものようにコレクト便を手にA様の家に伺った時です。

月に何回も配達していたことですっかり顔見知りになっていたこともあり、おばあさまの部屋のカーテンが開いているときは直接窓へ伺うようになっていました。

その日も窓をノックして声をかけました。

「こんにちは、宅配便です」
「もしかして代引き?」

いつもにこやかなおばあさまが、この日はなんだか機嫌が悪そうでした。

「ごめんねぇ。孫が全然お金返してくれなくなって、私も買い物とかにも行きたいからもう立て替えられないの。これからはお母さん(A様のお母様)に言ってくれる?」
「わかりました。ちなみにお母様も今日はお留守ですか?」
「そうなの。ちょっと前に仕事行っちゃったわ」

「じゃあ、不在票に金額と私の携帯番号を書いておくので、お母様に渡してこちらへご連絡いただけるようお伝えください」

そう言って、不在票に金額と電話番号を書き込んでおばあさまに託しました。

翌日、お母様から電話が

翌日、着信がありました。 A様のお母様からでした。

「昨日、うちの子の荷物届けに来てくれたんだってね。ごめんなさいね。おばあちゃん、怒ってなかった?」

突然の謝罪に、一瞬何のことか分かりませんでした。確かに昨日のおばあさまはこれまでに比べると機嫌が悪そうではありましたが、こちらに怒鳴るとか態度が悪くなるわけでもなく、ただ立て替えを断られたという感じでした。

代金引換を断られること自体は、この仕事をしていると珍しくもないため、さほど気にはしていませんでした。

家族間で起きていたこと

「実はね、うちの子がおばあちゃんと喧嘩しちゃったの。あの子、仕事で今別のところに住んでて家に居なくって、月に一回くらいしか帰ってこないのに、荷物の受け取りだけはうちに頼んでてね。そのくせお金は毎回後回しで。しかも他の宅配便さんからも代引きの荷物が届くから、おばあちゃんが、これじゃあ買い物にも病院にも行けないから先にお金置いていかないなら受け取らない!って怒っちゃって…」

お母様がご事情を説明してくださいました。

よほど裕福なご家庭であっても、常に十分な現金が手元にあるわけではないと思いますし、立て替えると言っても限度があります。

自分が買ったわけでもない荷物の代金を何度も立て替えて、それがなかなか返ってこない。
さらには連絡もなく、支払いと受け取りだけを任せ続けるのはさすがに無理があります。

最初は孫を思う優しさからだったとしても、その善意に甘えてお金をきちんと返さないのであれば、どんなに優しいおばあさまでも怒ってしまうのは当然のことでしょう。

窓口はお母様へ

「私も仕事があるから、もしうちの子の荷物が来たら、これから私のところに連絡くれる?仕事中で出られなかったり家に居なかったら、不在票置いといてくれたらまた連絡するようにするから」

そう言って、A様の荷物の窓口は、おばあさまからお母様に変わることになりました。

それからというもの、A様宛の代引きの荷物が来ても、伝票に書かれたA様の電話番号ではなく、連絡先を教えていただいたお母様に、電話をしてから伺うようになりました。


また、他の宅配員にも共有し、A様の家にコレクト便を持って行くときは、必ずお母様に連絡をするルールを徹底するようになりました。

お母様もお仕事でご不在になることがあり、その時は一度A様の家に伺い、不在票を投函したり、おばあさまへお渡ししたりするようになりました。

おばあさまの優しさは変わらなかった

おばあさまは変わらず、ご在宅の時にはお部屋のカーテンを開けて外の様子を見てくださっていました。

代引きではない荷物であれば、たとえA様宛てであってもこれまでのように窓を開けて受け取ってくださいます。
おばあさまの優しさはそのままに、ただ代引きの荷物だけが、その窓口から静かに姿を消していきました。

家族への善意は、当たり前ではない

親しき仲にも礼儀あり。それはたとえ家族間でも同じです。

いつもやってくれるから、後で返すからと、家族への対応をおろそかにしてしまうと、たとえ優しい家族でも疲弊してしまいます。

家族の善意は当たり前ではない。
それは宅配便の受け取りであっても同じだと感じたのでした。 


ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた"宅配のリアル"を、経験者ならではの視点で綴っています。 荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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