1. トップ
  2. 『ネット予約の切符』の払い戻しを求める利用客…“手数料”がかかると伝えると→去り際に言われた一言に絶句…

『ネット予約の切符』の払い戻しを求める利用客…“手数料”がかかると伝えると→去り際に言われた一言に絶句…

  • 2026.4.28
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今回は、私が駅員時代に感じた「偏見を持たれていそうなこと」をご紹介します。

計画運休が発表された日の払い戻しに関するトラブルです。

計画運休発表

近年、台風をはじめとした荒天が予想されるときには、前日から「明日は運転を見合わせます」と予告することが増えてきました。これによりお客さまは早めに旅行の計画を取りやめたり、変更したりと対策をとることができます。

駅員としても早めに案内ができるのはありがたいことです。

それまで
「売ることはできますけど、明日になったら運休になるかも…」

と不安になりながら案内していたところを

「明日は運転しない予定ですね。払い戻すか、別の日に変更しましょうか?」

と自信を持って言えるためです。

計画運休の予定が1日だけで、日付をまたいだ複数枚のきっぷを持っていたとしても、計画運休の日が入っていれば全行程の払い戻しができます。このときの払戻手数料は0円です。

また、通常の払い戻しなら列車出発前に払い戻しの申告をする必要がありますが、運休が前もって決まっているので後日きっぷを駅に持ってきても払い戻しができます。

片道だけのネット予約

台風による計画運休は毎年のように発生します。列車のきっぷは1ヶ月ほど前から発売されるのですが、1ヶ月かけて販売していたきっぷを1日で払い戻すのですから窓口も大変です。

ときには用意していた現金が足りず、金庫から追加の現金を出すよう上司に相談することもありました。

計画運休に伴う払い戻しで、このようなエピソードがあります。そのときは翌日分の列車が始発から終日運休すると決まっていました。私の窓口にいらしたお客さまが購入していたのは今日分の片道きっぷのみ。

それもインターネットで予約し、駅の券売機で受け取っていたものでした。

お客さまによると、今日列車に乗って目的地で1泊し、明日帰ってくる予定だったところを計画運休のために取りやめたいとのことです。困ったことになりました。

計画運休のために無手数料で払い戻しができるのは明日の分が購入済みである場合のみなので、今日の片道分であれば通常の払い戻しとして払戻手数料がかかってしまいます

例外は認められず…

もちろんお客さまとしては台風で列車が運休になったために払い戻しに来たのですから、納得できません。

しかも会社は日頃からこうPRしていました。

近年はネット予約の普及により、「行きは決まっているが、帰りの切符は当日の状況に合わせて片道ずつ購入する」というスタイルが一般的になってきました。

しかしルールの性質上、翌日の計画運休が決まっていても、当日の列車が通常通り運行している限りは「お客様都合でのキャンセル扱い」となってしまいます。

会社としての規定とはいえ、お客様へのご案内には非常に心苦しいジレンマを感じていました。

なんとかならないかと私は一度窓口を離れ、事務室の上司に相談することにしました。

混雑する窓口を一度離れ、事務室で各所からの運休情報を確認している上司に経緯を説明し、特例にできないか相談しました。

しかし、「規定上、明日の切符を持っていない以上は通常の手数料をいただくしかない。その旨をご案内してほしい」との指示でした。

お客様の前に立って説明するのは窓口担当である私の仕事です。厳しい案内をしなければならない重責に、足取りが重くなりました。

「大儲けですね!」

事務室に一度下がって時間をかけるとクールダウンになる場合がありますが、このときは違いました。もはや走りもしない列車の払戻手数料を支払うしかないと悟ったのか、お客さまは投げるようにクレジットカードをカウンターに出しました。

ここまで書いた通り、正確には走らない列車と買った列車は違うのですが、お客さまにとっては乗らないのですから同義です。

クレジットカードで購入したきっぷの払い戻しは、同じクレジットカードに行います。

払戻手数料が引き落とされるのも、このカードからです。暗証番号を入力していただいたのち、支払い明細とお客さま用の返金控えをカードと共に渡すと、お客さまは

「大儲けですね!」

とおっしゃって窓口を去っていきました。

列車が運休するというのに、鉄道会社が儲かるものでしょうか。払戻手数料はまさに「手数料」程度の金額でしかなく、会社に利益をもたらすほどのものではないはずです。

誰が悪かったのか

この日、私もストレスを抱えて内心でいろいろな方向に八つ当たりしてしまいました。どうして自分だけあんな暴言を浴びなきゃいけないんだ。上司は守ってくれないのか。そもそもネット予約なんかがあるから、こんな複雑な状況になるんだ…。

とはいえ、八つ当たりばかりしていてはいけません。

本当に悲しい思いをしているはずなのは、旅行を楽しみにしていたであろうお客さまです。

上司だって、あの瞬間の私には静かな場所で天気予報を見ているようにしか見えませんでしたが、実際には関係各所からなだれこんでくる情報を整理して窓口や改札の私たちに指示を出す責任があります。

ネット予約システムについても、これまで駅で駅員がすべて売らなければならなかったきっぷをウェブ上で購入できるようにすることで、お客さまの利便性向上と同時に駅員の負担低減を図って会社が企画したのでしょう。

本当にそうかはわかりませんが、私はそう感じています。そのため私ができることは、やはり自分に与えられた駅員としての責任を誠実に果たしていくことだけだったのです。


※払い戻しの取り扱いや規定は、鉄道会社、切符の種類、購入方法、運行状況等によって異なります。最新の情報は各社公式サイトをご確認ください。

ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】