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16時〜18時の時間指定を“16時台”にお届けするも不在→その後“クレームの電話”が…元宅配員が直面した“思わぬ誤解”

  • 2026.4.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さまこんにちは。元宅配員のmiakoです。

ネットショッピングなどで荷物を注文した時、「時間指定」を利用されたことはありますか?

仕事や外出の予定に合わせて、受け取りやすい時間帯を選べるのは、とても便利なサービスです。
不在で再配達になってしまった経験から、次は時間指定をしようと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

便利な反面、この「時間指定」をめぐって、トラブルになってしまうこともありました。
今回は、そんな体験談をお届けします。

宅配員の夕方は、驚くほど慌ただしい

宅配員として仕事をする上で、夕方の時間帯はかなり忙しいと実感していました。

特に16時から18時の指定の荷物は、少し焦りが伴います。
この時間帯は宅配員にとって配達、集荷、そして発送、引継ぎなどの作業が重なる、一日の中で最も慌ただしい時間帯なのです。

集荷した荷物をその日のうちに発送するには、19時前後に各営業所に荷物を回収に来る大型トラックに引き渡す必要があります。
この時のトラックに引き渡せなければ、その日の発送はできません。

ただ引き渡すだけではなく、せっかくお預かりした荷物が迷子にならないように、行き先が決められた専用のカゴにまとめて入れます。また、荷物を集めてくるのは一人ではありません。

各エリアを担当する宅配員がお客様から集荷した荷物が、この時間帯に集中的に集まります。それだけではなく、お客様が直接営業所に持ち込んだ荷物も加わります。

発送する荷物を送り出すためには、その都度多くの手間がかかるのです。

労働時間と時間指定のせめぎ合い

多くの宅配員は、基本的には会社員であり、労働時間にも制限があります。

朝8時から出勤したら夕方には定時を迎えます。
しかし、宅配員全員が定時で帰宅してしまっては、18時以降の荷物の配達ができません。

繁忙期であれば、ほぼ毎日のように残業続きになってしまうこともありますが、少し前の働き方改革以降、宅配員の労働時間は厳しくチェックされるようになりました。

そのため、夜間担当の宅配員に引き継いだり、18時以降の配達を受け持つために交代で残業したりして、配達が終わり次第できるだけ早めの退勤を心がけるようになりました。

ただ、自分の担当エリア以外の荷物を引き継ぐため、配達範囲も広がります。

引き継いだ荷物の中には不在になった荷物だけではなく、18時以降の時間指定の荷物もあります。
慣れないコースを受け持つこともあり、地図の確認やルートの組みなおしなども必要となり、再び配達するための準備をするのです。

また、この時間帯は仕事から帰宅されたお客様からの再配達の連絡が入りやすい時間帯です。
多くの宅配業者では、夕方頃にはネットでの当日中の再配達受付が終わってしまうため、直接電話をして依頼されることも多くあります。

夜間の配達を終えて営業所に戻った頃には、20時を過ぎてしまいます。
当日中の発送には間に合いません。
そのため、夕方の時間帯は朝と同じか、それ以上に慌ただしくなります。

そんな事情を抱えながら、宅配員たちは荷物のスケジュールと向き合っています。

山間部エリアの配達ルート、その日のA様

同僚の話を聞いてから少し経ったある日。
私も同僚と似た経験をしました。 

その日の担当は山間部エリア。
所属していた営業所の管轄の中で、最も移動距離のあるエリアです。

荷台に積み込んだのは、午前中に不在だった荷物と昼便で届いた荷物、そして14時から16時、16時から18時の時間指定の荷物たちでした。

16時から18時の時間指定のお客様の中に、A様がいらっしゃいました。
A様のお宅は、その時間帯の配達先の中で営業所から最も遠い場所にありました。

山間部では一軒一軒の移動距離が長く、順番を誤ると大幅な時間のロスに繋がります。
そのため、16時からのルートはできるだけ「営業所から一番遠い家をスタート地点に、営業所へ向かって戻る順番」で組み立てていました。

16時になったと同時にスタートを切って、営業所になるべく早めに戻らなければ、18時以降の荷物の配達がどんどん遅れてしまいます。

チャイムを押しても、返事がなかった

14時から16時の時間帯の荷物と時間指定のない荷物を配り終えた後、A様のお宅に着いたのは、あと数分で16時という時間でした。

少し前に、予定より早く到着した同僚が後日お客様からご意見を頂戴したことを思い出しました。そのため、周辺の時間指定のない配達を終わらせてから16時ちょうどに配達をスタートしようとしましたが、この日に限ってA様のお宅周辺には配達先がありませんでした。

車の中で待機し、16時になったのを確認してから車を降り、玄関先に向かいます。

チャイムを押しましたが返事がありません。
声をかけて様子を見ましたが、物音ひとつしません。
もう一度チャイムを押して声をかけましたが、やはり返事はありませんでした。

時間指定をしているということは、この時間帯に届けて欲しいという希望でもあるのは承知しています。

でも実際に指定の時間に伺っても返事がありません。
この時間帯の荷物はまだいくつもあり、どの家も荷物の到着を待っています。
これ以上この場で待機するのは難しいと判断して、不在票を投函しました。

不在票に印字された時間は、16時5分でした。

17時半、電話がかかってきた

営業所に戻り、18時以降の荷物を積み込んでいた17時半ごろ、電話が鳴りました。

「あの、不在票が入っていたんですけど!」

電話口のお客様は、焦っているような、怒っているような声色でした。
情報を確認すると、16時にお伺いしたA様でした。

「今、不在票見つけたんですけど、これってどういうことですか?」
「すみません、お伺いした時にお返事がなく対応いただけなかったので、不在票を入れさせていただきました」

お客様の声色に焦りを覚えつつ、できるだけ冷静に、当時の様子を思い出しながら丁寧にお伝えしました。

もしかしたら在宅されていたけれどチャイムの音に気づかず、荷物が届かないことを不審に思ってポストを確認したところ不在票を見つけた、といった可能性もありました。

そんな私の不安をよそに、A様の次の言葉で、状況が少し見えてきました。

「16時から18時の時間帯って、まだ18時になってないじゃないですか!今帰ってきたばかりで指定の時間終わってないのになんで不在票入れていくんですか?今すぐ来てください!」

私が伺った時点で、やはりA様は確かにご不在だったようです。

そのため私は、ルール通りに不在票を入れて再配達の連絡を待っていましたが、A様にとっての「時間指定」とは、この時間帯の中で自分の都合に合わせて届けてくれるサービスだったのかもしれない、とその時に思いました。

A様には、次の稼働時間帯である18時から20時の中でお届けに伺う旨をお伝えし、再配達に向かいました。

「時間帯指定」の本当の意味

時間指定は、正式には「時間帯指定」というサービスです。

「この時間帯なら受け取りやすい」とお客様自身が指定できるもので、宅配員側の位置づけとしては「その時間帯のどこかでお届けする予定を組む」というスケジュール案です。

交通状況や荷物の量、天候などによっては、やむを得ず時間帯が前後することもあります。
また、時間帯の開始時間ちょうどに伺うこともあれば、終了間際になることもあります。

「この時間帯の中で、自分が戻った時に届けてもらえる」というご認識の方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながらそのようなオーダーメイドの対応は難しいのが現状です。

時間指定とコミュニケーション

時間指定をしてくださるお客様の中には、置き配を希望される方もいらっしゃいます。

置き配を希望しつつも「朝からずっと置きっぱなしでは盗難やいたずらが不安」という方や、「在宅している時間帯だが手が離せないかもしれない」といったご家庭の事情から、時間指定と置き配を併用される方がいらっしゃるのだと思います。

できるだけ不在の時間を短くしようといった思いが伝わります。

できれば直接受け取りたいけれど、わずかな時間でも家を離れなければいけなくなり、「不在の時は置いていってください」と、玄関に小さなメモを残してくださるお客様もいらっしゃいます。

また、何度もお伺いしている常連のお客様であれば、「この時間帯ならご在宅されている」といった生活リズムが掴めるようになります。そのため、16時からの指定であっても「このお客様は16時半には帰宅されるから、16時半過ぎに伺おう」とルートを決めたり、他の宅配員と情報を共有したりすることもあります。

時間帯を指定してくださることは、宅配員にとってもとてもありがたいことです。
ただ、指定をされた以上「この時間帯なら在宅している」というご準備をしていただけると、お互いにとってスムーズな受け取りにつながります。

スムーズに受け取るために、できること

「直接受け取りたいけれど、時間が読めない」という方には、いくつかの方法があります。

再配達の連絡の際に「18時以降なら在宅ですが、少しだけ不在にしてしまうので、18時半以降だと確実です」といったように、ひと言添えていただけると、宅配員側もルートを組みやすくなり、よりスムーズにお届けできます。

また、置き配の設定や、最寄りの営業所・コンビニ・宅配ロッカーでの受け取りを活用するのもひとつの方法です。
最寄りの営業所であれば、着払いやコレクト便、冷蔵便なども受け取れます。
ただし、いずれも保管期限がありますので、期限内のお受け取りをお願いします。

時間帯指定があることで、宅配員もルートが組みやすくなります。
「受け取りやすい時間帯」をうまく活用していただけると、双方にとって気持ちのよい受け取りにつながると思います。

宅配業界の未来へ

時間指定をしていたのに不在票が入っていた、という経験をされた方は、心理的に納得しにくく、つらく感じることはよくわかります。

宅配員たちは、ラクをしたくて不在票を残すわけではありません。
現在は人手不足の問題もあり、常に時間に追われている中で、できるだけ一度でお届けしたいという気持ちで動いています。

お客様に気持ちよく受け取っていただきたい、その思いはどの宅配員も同じです。

宅配というサービスが、お客様にとっても宅配員にとっても、もう少し余裕をもって支え合えるものになっていけたら、と願っています。

これからも、宅配員たちは、荷物と一緒に安心をお届けに走るのです。


ライター:miako

宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた"宅配のリアル"を、経験者ならではの視点で綴っています。 荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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