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乗客「だから女の運転は…」渋滞で“5分遅延”したバス車内。→理不尽な声に対して運転士のリアルな本音

  • 2026.4.21
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

今回は、交通渋滞によって遅延した際のお話を紹介します。

私がバス運行管理の仕事に携わっていた10年ほど前、自治体が管理する市内循環バスの運転に就くことがありました。その際、バスが5分ほど遅延したときに起きた出来事です。

そのとき、バスの運転士は乗客や他車の安全を守るだけでなく、乗客からの心無い言葉に耐える精神力も欠かせないと知りました。

平成の終わりに近かったとはいえ、女性ドライバーが珍しい時代だったことも、乗客の言葉につながったと思います。

バスの遅延は誰のせい?

「バスは電車のようにレールの上を走っているわけではない」

遅延が発生するたびに、運転士が思ってしまう言葉です。実は、バスを利用する人が目にする時刻表は「目安」であり、必ず時間通りにバスが来るとは限りません。

運転士がさぼっているわけではなく、季節や天気、曜日によっても思いもよらぬ渋滞が発生する可能性があります。時刻表は、予期せぬ渋滞を見越した時間ではないため、渋滞に巻き込まれてしまうと、当然遅延につながってしまいます。

10年ほど前、私が市内循環バスを運行していた際、自然渋滞によって定刻より5分ほど遅れたことがありました。できるだけ遅れた時間を取り戻そうと努力しても、そんなときに限って、乗降に時間がかかるもの…

そして、さらに遅延の幅が広がっていきます。すると、運転席の後ろで「だから女の運転には乗りたくない。」という声がはっきり聞こえました。

突発的な渋滞は予測できるものではなく、「遅延の責任が直接私にあるとは言えないでしょ!」と心のなかでは思っていました。

言い返せないのが運転士の定め

トラブルにつながるため、もちろん不満を口にすることはありません。運転士にとって、接客接遇も重要な仕事です。

しかし、運転席の後部からは再び苦言が聞こえてきました。

「バスの時間が遅れているのは、運転がトロいせいだ。」
「もっとスピードを出せばいいのに…」

年配夫婦の声が聞こえてきましたが、おそらく夫婦は運転席の真後ろであるため、前方の渋滞が見えていないようでした。しかし、それからは遅延に対して言いたい放題の年配夫婦。

当時、私は運転士の実技試験や指導をおこなう立場にあり、安全運転や時間配分には人一倍気を配り、責任を持って業務にあたっていました。だからこそ、運転士の実技試験や指導も私自身が行っていたほどです。

しかし、そこでハッキリ言い返せないのがバス運転士の悲しいところ…ぐっと言葉を飲み込み、後ろから聞こえる嫌味に耐えつつ、安全運転に努めました。

嫌味に耐えながらの安全運転は想像以上の精神力が必要

運行状況や女性ドライバーであることへの苦言を聞きながら、安全運行を徹底するのは想像以上の精神力が必要です。

万が一、嫌味に踊らされた焦りの運行で事故を起こせば、運行はそこでストップします。つまり、乗客はさらに目的地へ到着する時間が遅れることになります。

バスの運転士は、乗客の命を預かっているため、プライベートで何があっても平常心を持ってハンドルを握らなければなりません。嬉しくても腹が立っていても、たとえ悲しい出来事があってもです。

もちろん、バスの運転中に嫌味を言われようと常に平常心で対応し、安心・安全な運行を遂行しなければなりません。そのためには、強い精神力が不可欠です。

ただし、高齢の夫婦が降車する際、「バスの遅延で、大変ご迷惑をおかけしました。」と謝罪としてお声がけしましたが、ご夫婦は無言のままバスを降りていかれました。

バス運転士も遅延は防ぎたい!安全運転のためにも協力してほしい

バスの運転士が女性でも男性でも、遅延するときは遅延します。交通渋滞は誰であっても防ぎようがないからです。

遅延は、運転士自身も焦るため極力避けたいものです。しかし、どうしても避けられない遅延もあります。

バスが遅延すれば、予定のある乗客の皆さまが焦り、イライラしてしまうお気持ちも痛いほどわかります。

しかし、焦りやプレッシャーは安全運転の最大の敵でもあります。誰もが急いでいる現代だからこそ、車内でのほんの少しの思いやりが、結果的に全員を安全に、確実に目的地へ送り届けることにつながるのではないでしょうか。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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