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医師「インフルエンザの約10倍の感染力」→実は『はしか』の症状かも…GW中に気をつけるべき「3つのポイント」とは?

  • 2026.4.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

発熱や咳が出ると、つい「ただの風邪かな」と考えてしまいがちです。しかし、中には感染力が非常に強く、世界中で警戒されている「はしか(麻疹)」が潜んでいる可能性があることをご存知でしょうか。なぜ、はしかは初期段階で風邪と見分けがつかないのでしょうか。また、なぜ大型連休などの人が集まる時期に感染が拡大しやすいのでしょうか。

その理由とはしかを見分けるための重要なサインについて、医師の見解をもとに紐解きます。万が一の事態に備え、私たちが知っておくべき正しい知識と受診のルールを学んでおきましょう。

なぜ「はしか」は風邪と見分けにくいのか?

---熱や咳が出たとき、私たちはそれを風邪だと考えがちです。なぜ、はしかの初期症状は風邪とこれほど似ているのでしょうか?

松岡雄治さん:

はしかのウイルス(麻疹ウイルス)も風邪のウイルスも、気道や結膜といった粘膜から侵入して増殖し、同じ免疫反応を引き起こすため、初期症状がよく似たものになり見分けにくいのです。また、潜伏期間が長いことも判断が難しい一因になっています。

熱や咳が出たらよくある風邪だと考えるのは、病気の頻度からしてもごく自然なことで、実際に風邪であることがほとんどです。麻疹の初期症状について確認しましょう。

風邪に似た初期応答(カタル期)には、はしかも風邪もウイルスが気道や目の粘膜に侵入します。体がウイルスという異物を排除しようと免疫反応を起こすため、38℃台の発熱や咳、鼻水といった共通の炎症症状が出ます。

※カタルとは、鼻や喉の粘膜に起こる炎症を指す医学用語です。カタル期という名前からも風邪に似た症状が出る時期で見分けるのが難しい時期だとわかりますね。」

「ただの風邪」と様子見するのは危険?感染拡大の罠

---なぜ多くの人が『風邪だろう』と様子見をしてしまうのでしょうか。この『様子見』にどのようなリスクがあるのか教えてください。

松岡雄治さん:

「はしかは、感染症として広く知られていますが、潜伏期間が長いというウイルスとしての特性があります。

潜伏期間はおよそ10〜12日程度で、過去に一回だけワクチン接種をしているなどして多少免疫がある場合には、3週間ほどになることもあります。つまり、人混みに入るイベントがあったとしても、忘れた頃にふと症状が出るのです。その結果、はしかのカタル期の症状としては結びつけられず、ただの風邪と考えられやすいのです。

発熱や咳が出ている時期(カタル期)にはしかの感染力が最も強いため、感染拡大の恐れがある』ということが様子見の最大のリスクです。加えて、はしかは空気感染するというとても厄介な特徴があります。人混みを避けることが難しいGW中には非常に多くの感染者を生む可能性があります。

日本感染症学会は、はしかの感染力について次のようにまとめています。

  • はしかの感染力は、現存するすべての感染症のなかで最強クラスであり、家庭内などの密接な接触環境では、免疫のない人が感染者にさらされた場合、約90%が感染すると報告されている
  • インフルエンザの約10倍の感染力

GWに旅行していたり、医療機関を気軽に受診できない状況が重なったりして市販薬で様子を見ていると、感染を拡大するおそれがあります。」

手遅れになる前に!はしかを見分けるチェックポイントと正しい受診方法

---風邪とは異なる『はしか特有のサイン』はあるのでしょうか。家庭でできるチェック方法と、もし疑わしい場合の正しい受診行動を教えてください。

松岡雄治さん:

「はしかをカタル期の症状で見分けるのは困難ですが、カタル期終盤以降には見分けるポイントがあります。

【感染後、早い段階で見分けるためのポイント】

  • 潜伏期(約10〜12日間):感染しても無症状でウイルスが増殖します。
  • カタル期(約4〜5日間):38℃台の発熱や咳が出ます。症状が出始めてから3日程度は、風邪症状との見分けをつけるのは困難です。
  • 見分けるための第一のタイミング(カタル期終盤):発熱から3〜4日目頃、体温が一時的に37℃台に下がるタイミングがあります。この時期に口の中にはしか特有のサイン(白いぶつぶつ)が出現します。
  • 見分けるための第二のタイミング(発疹期):熱が下がった翌日、再び39〜40℃台の高熱が出て(二峰性の発熱)、全身に発疹が広がります。

【手遅れになる前に確認すべきサイン】

  • 目の充血や目やに(結膜症状)を伴う:麻疹ウイルスは気道だけでなく目の粘膜(結膜)でも増殖して強い炎症を起こすため、風邪よりもはっきりと目が赤くなります。
  • 発熱から数日後、頬の内側に白いぶつぶつ(コプリック斑)が出現する:熱が一時的に下がるカタル期が終わる頃に、奥歯のすぐ横の頬の内側に白いぶつぶつが出ます。直径約1mm大で、痛みはありません。
  • 二峰性の発熱を認める:一度、37℃程度まで熱が下がり、再度上昇するパターンははしかに特徴的です。

受診するべき適切なタイミングは、カタル症状に気づいた時です。はしかかもしれないと気になるときは、大袈裟かもしれないなどと心配せず、ぜひ一度医療機関にご相談ください。ただし、焦って直接受診しないようにしましょう。必ず事前に、電話で『麻疹の可能性がある』と伝え、医療機関の感染拡大防止のための指示に従って受診してください。また、ワクチンの接種歴も確認されるため、母子手帳などで確認しておきましょう。」

楽しい連休を台無しにしないために。「はしか」のサインを見逃さない

専門家の解説から分かった通り、はしかの初期症状は風邪と見分けがつきにくく、その間に感染を拡大させてしまうリスクがあります。特に潜伏期間が長く、かつ感染力が非常に強いという特性を知っておくことが重要です。

楽しい大型連休は、一方で医療が手薄になったり、受診を控えて予定を優先してしまったりしがちです。しかし、目の充血やコプリック斑、二峰性の発熱といった特徴的なサインがあれば、勇気を持って医療機関へ連絡してください。あなたのその決断が多くの方の感染を未然に防ぐかもしれません。ぜひ健康に気をつけて、連休明けも元気に過ごせるように心がけましょう。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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