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「年を取ればこんなもの」“入れ歯の痛み”を放置→半年後、手に力が入らなくなり…70代女性に告げられた“驚きの診断結果”

  • 2026.5.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「歯医者に行くほどじゃないわよ」

70代女性のAさん(仮名)が使っている入れ歯は、数年前に作ったものでした。最近は食事のたびに歯ぐきが痛み、硬いものをかむと外れそうになります。それでも「年を取ればこんなもの」と、歯科への相談をずっと先延ばしにしていました。

最初に変わったのは食卓でした。肉や根菜が消え、うどん、おかゆ、やわらかいパンばかりが並ぶように。家族も「好きなものを食べているなら大丈夫」と気にしていませんでした。

しかし半年ほどで体重は落ち、階段では息が切れ、買い物袋を持つ手に力が入らなくなりました。ようやく受診した歯科で告げられたのは、「入れ歯だけの問題ではありません。口の機能そのものが弱っています」という言葉でした。

今回はAさんのケースを通して、「かめない」ことが全身にどのような影響を与えるかについて解説します。

「かめない」が全身の筋肉を失っていく仕組み

入れ歯が合わないことは、ただの不便では終わりません。かむ力が落ちると、肉や魚、繊維の多い野菜といった「しっかりかまないと食べられないもの」を自然と避けるようになります。すると、筋肉の材料になるたんぱく質やビタミンが慢性的に足りなくなっていくのです。

【入れ歯の放置が"寝たきり"につながるフロー】

  • 入れ歯の不適合を放置: 歯ぐきの形は加齢で変わるため、合わなくなった入れ歯がかむたびに痛む
  • 食事内容の偏り: 痛みを避けて肉や野菜を遠ざけ、やわらかい炭水化物中心の食事に
  • たんぱく質不足: 筋肉の材料が足りなくなり、慢性的な低栄養状態に陥る
  • 筋力低下からフレイルへ: 足腰が弱り外出や運動が減る悪循環が始まる
  • 転倒・寝たきりのリスク上昇: 骨折をきっかけに寝たきりとなるケースも少なくない

「好き嫌い」と「体のSOS」の境界線

歯科の世界では、こうした口の機能のわずかな衰え(滑舌が悪くなる・食べこぼしが増える・軽くむせる・かめない食品が増える)を「オーラルフレイル」と呼んでいます。どれも一つひとつは「年のせいかな」で済まされがちですが、実はこれらが重なると、体全体の衰え(フレイル)の入り口になることがわかっています。

入れ歯を直せばすべて解決するわけではありません。体重減少には持病や運動量、孤立など多くの要因が絡みます。
ただ、口の不調はその「最初の一歩」になりやすい。日本の高齢者を長期にわたって追跡した研究でも、口の機能低下が重なった人ほど、要介護や寝たきりにつながるリスクが高いと報告されています。

家族が気づきたい3つのサイン

以下のようなサインがないか家族が確認できれば、体の衰えを防ぐことができるかもしれません。

1. 肉や野菜を避け、やわらかいものばかり選ぶ

以前は食べていたものを避け始めたら、好き嫌いではなく「かめないから食べない」に変わっている可能性があります。

2. むせ・食べこぼし・口の乾きが増えた

どれも「年だから仕方ない」と見過ごされやすい変化ですが、口の機能低下を映す重要なサインです。

3. 体重が減り、歩く速さが落ち、外出が減った

半年で2〜3kg以上の意図しない体重減少がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

まとめ

入れ歯の不具合を「我慢すれば済む」と思ってしまうのは、Aさんだけではありません。かめないことが食事の質を変え、栄養を偏らせ、やがて全身の筋力低下につながる。その静かな連鎖こそが、オーラルフレイルの怖さです。

「最近、お母さんのお皿に肉が残っていることが多いな」。そんな小さな気づきを、どうか見過ごさないでください。口は、体を支える入り口です。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として育児に奮闘しながら ママさん歯科医をしています。 歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw

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