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「便秘解消のため」毎朝“バナナとヨーグルト”を食べ続けた40代女性→健康になれると思いきや…ある日、女性に起こった“異変”

  • 2026.5.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

 

皆様こんにちは。手術後の腸管の動きの低下(術後イレウス)や、それに伴うお腹の張りの管理に日々向き合っている麻酔科専門医の松岡です。

「腸内環境を整えれば健康になれる」40代女性・Cさん(仮名)は、便秘解消のために毎朝欠かさずバナナとヨーグルトを食べ、よく乳酸菌飲料を飲んでいました。

しかし、ある時を境に食後にお腹がパンパンに張るようになりました。苦しくてスカートのホックを外さなければならないほどになり、友人とのランチも楽しめなくなりました。お腹に良いことをしているはずなのに…。

原因不明の苦しみの中で、Cさんはおいしく食べる喜びを失ってしまいました。今回は、乳酸菌が招くお腹の不調を解説します。

小腸に「巨大なガス工場」ができる仕組み

「大腸に良いものを食べれば整う」という常識の裏で、その習慣が小腸にガスを停滞させている可能性があります。これが「SIBO(小腸内細菌増殖症)」と呼ばれる状態です。

本来、細菌が少ないはずの小腸で、何らかの原因により細菌が過剰に増殖してしまう。そこに「発酵性の糖質(食物繊維や一部の糖)」が流れ込むと、細菌がそれらをエサに爆発的な発酵を起こし、逃げ場のないガスが発生してお腹を内側から圧迫します。

小腸と大腸は「ガスの処理能力」が違う

  • 大腸: 太くて容積があり、ガスを消費する菌も存在するため、多少のガスが発生しても痛みには繋がりにくい構造です。
  • 小腸: 栄養を吸収するための「細くてデリケートな管」です。ここで大量のガスが発生すると、風船のようにパンパンに膨らみ、激しい膨満感や痛みを引き起こします。

「健康になりたい」という願いが裏目に出るとき

「便秘を治したい」「健康になりたい」。そう願って乳酸菌を習慣的に摂る気持ちは、よくわかります。

ただし、SIBOになりやすい人(便秘がちな人、胃酸を抑える薬を常用している人、お腹の手術歴がある人など)にとって、過剰な乳酸菌や食物繊維の摂取は、かえって小腸内の「ガス工場」にエサを送り続けることになりかねません。

こんなとき、「調子が悪いからもっと腸活を頑張ろう」と、さらに乳酸菌とバナナ(食物繊維)を摂取するのは、皮肉にも症状を悪化させる原因になることが最新の医学的知見でも指摘されています。

初期の段階であれば、乳酸菌や発酵性の糖質を控えることでガスは減ります。しかし、すでに小腸内に細菌が強固に定着している場合は、腸活の中止に加えて、専用の抗菌薬を用いて増えすぎた細菌を退治する必要があります。SIBOの背景には、小腸と大腸の機能の違いが背景にあるのです。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

「自分の努力が足りない」と誤解してお腹を限界まで痛めつけないようにしましょう。

具体的には、以下の危険なサインを見逃さないでください。

1.食後すぐ(1〜2時間以内)にお腹がパンパンに張る(膨満感)

大腸に届く前の「小腸」で異常発酵が起きている、SIBOの典型的なサインです。

2.乳酸菌飲料やヨーグルト、食物繊維(バナナなど)を摂った日ほど調子が悪い

細菌そのものが追加され、さらにエサとなる成分が供給されることで、小腸のガス工場が稼働している証拠です。この症状が出たら腸活は一度ストップしましょう。

3.下痢が続く、または体重が減る、貧血がある

大量のガスが正常な消化を妨げ、増えすぎた細菌が人間の栄養を横取りしている危険な警告サインです。専門的な抗菌薬治療が必要な段階に達しています。

自分の体の「声」を優先して

せっかくの健康意識が、SIBOを引き起こすことにつながってしまったとしてもご自身を責めることはありません。

お腹の異常な張りに心当たりがある方は、まず毎朝のヨーグルトや乳酸菌飲料などを「お休み」してみてください。お腹が平らに戻り、症状が和らげば改善のサインです。

ひとりで抱え込まず、消化器内科を受診して専門医に相談しましょう。おいしく食べる喜びを、一緒に取り戻していきましょう。


※本記事は一般的な医学的情報の提供を目的としており、個別の症状に対する診断を保証するものではありません。不調が続く場合は必ず医療機関を受診してください。

監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など

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